教員紹介

学生による教員インタビュー
久志本裕子准教授

中央大学の総合政策学部を卒業後、マレーシアでのフィールドワークを行う。その後マレーシアの大学で教員を経験し、現在は上智大学の教員として、東南アジアのムスリム社会や多文化教育の観点から「異なる価値観の人がどうしたら一緒に生きていけるのか?」ということを学生に問いかけている。授業では「いかに自分の視野や思考に偏りがあるのか?」を痛感させられる。

どんな授業を担当されていますか

「東南アジアとイスラーム社会」「東南アジアの教育と文化」などの授業を担当していて、色々な地域について触れるようにしています。知識を持って帰って終わりではなく、自分に通じるものを見つけてもらえる授業を目指すことで、イスラームや東南アジアにあまり関心がない生徒でも楽しめるような授業に工夫しています。

久志本准教授にとって大学での学びとは

大学での勉強は自分を救うものであってほしいと思っています。「なぜ学校に行くの?」「なぜ宿題をするの?」という疑問に囚われる必要がないからこそ、人のためにする勉強ではなく、自分のために行う勉強を見つけて欲しいです。具体的にはアジア・アフリカ諸語をぜひ学んで欲しいです。世界で広く使用されない言語をやってみると、メジャーな言語を使っていては見えない「マイナー目線での新しい世界」が見えてきて面白いですよ。

授業を通して、学生に伝えたいことは

私が研究しているイスラームの発想は、グローバルな視点で見るとマイノリティの考え方です。そのイスラームを軸にして世界を見ると、全く違う視点から世界を捉えることができるのです。実は世界には「こうじゃなくちゃいけない」という決まりはないことに気づくきっかけになり、「別の見方があるのではないか?」という視点を得ることができるのです。例えば、日本の社会では男性の髪が短いことが当たり前ですが、実は長いことが当たり前の社会もあります。女性がスカーフを被るのもイスラームの世界では当たり前ですが、イスラームの世界から一歩外に出れば違います。 このように世界には価値観の異なる社会がたくさんあるのです。文化人類学の視点で社会を捉え直すことにより、「自分が囚われている枠から出る」という体験を伝えたいですね。私は自分自身がムスリムということもあり、「着ぐるみをきて世界を観察しているような感覚」で世界を見ています。そのような体験を学生にも出来るだけ共有して、自分が今まで知ることのなかった新しい価値観や視点を持ち帰ってもらいたいです。