学部での学び

先輩たちの履修例

1人1人のグローバル×ローカル

総合グローバル学部では、各自の関心に沿って様々な形で履修を組み立てることができます。入学時の関心がそのまま深めていく人もいれば、幅広いトピックの授業を履修しながら自分が本当に関心を持てることは何かを探っていく人もいます。以下では、実際に先輩たちがどのようなことを考えながら4年生まで履修を進めていったのか、インタビューにもとづいて事例を紹介します。(注:カリキュラムの一部は現行のものと異なります)

Yさんの場合(メジャー:アジア研究 マイナー:市民社会・国際協力論)

2019年入学、卒業後は人材系企業に就職予定。
インドネシアの言語と社会について学ぶ中で「草の根」から世の中を見る面白さを発見。
多様な生き方があることを前提に、個々の可能性を広げる仕事へ。

詳しく見る

入学時の関心

高校生の時から、国際政治に関心がありました。きっかけは、中学でアフリカの動画、児童労働の動画を見てからモヤモヤした感情を持っていたことです。それについて学ぶには国際政治が良いのではないかと考えて国際系の学部を受験し、総合グローバル学部を選択しました。

1年次の履修

1年次には必修科目を中心に履修しましたが、選択できる科目の中でまず取ろうと思ったのは関心に一番近いと思った「グローバル化と政治学」でした。地域系の科目では「アフリカ研究概説」「中東研究概説」等を履修しました。
1年間勉強してみると、国際政治には社会を構造的に上から見るという見方が多いけれどもあまり自分には合わないかもしれないと感じ、もっと根の方から社会を見る方が面白いと考えるようになりました。
また、1年生の終わりにサークルのプログラムで2か月間インドネシアに行く機会があり、そこでアジアが面白いということに気づいて2年からインドネシア語を履修することに決め、メジャーもアジアにしようと考えを変えました。

2年次の履修

まず、インドネシア語初級を履修しました。アジア系の授業もこれまで取っていなかったので、2年からたくさん履修しました。特にイスラームなど宗教に興味があったので、中東に関する授業や、全学共通科目の「諸宗教における自然と人間」等も履修しました。
2年生の秋学期にはインドネシアについて研究したいと考え、ゼミ選択ではアジア地域研究のゼミを選択し、メジャーをアジアすることに決めました。アジア研究領域の授業では、「東南アジアのイスラームと社会」や「フィールドワーク論」などを通じて、草の根の方から世の中を見て、現状に疑いを持つという考え方を学びました。
他にも、全学共通科目の「文化復興と民族:北米先住民の現在」でカナダの先住民とアイヌについて学んだり、インドネシア語の授業でインドネシアの地域独自の儀礼などを学んだことで、自分の生きている社会に疑いを持ってみる感覚が面白いと感じました。

3年次の履修

アジア研究領域の科目群から履修を続け、特に「アジアの環境と開発」に興味を持ちました。地域研究では様々な地域の人たちの今の生き方を感じることができるのが面白いと思います。
インドネシア語も続けて中級を履修しました。インドネシアに行ったときに小学生の知り合いなどもたくさんできて、インドネシア語ができないと会話ができない、向こうの人と会話がしたいというモチベーションがあってインドネシア語を続けていくうちに、インドネシアの文化にも触れて、インドネシアについてもっと学びたいと思うようになりました。

4年次の履修

インドネシア語の上級を引き続き履修しました。アジア研究領域の科目を履修する中で、「南アジア社会経済論」がとても面白く、東南アジアだけではなく南アジアにも目を向けることができました。「アジアのグローバル企業」は他の国の成長がものすごいことに気づき、日本を外から見ることができました。自分がもともと持っていた興味から外れているものを取っていると、新たな関心に気づけて面白いです。
私は幅広く人の生き方に興味があって、他学部履修で「言語聴覚障害学」等、様々な人について学ぶことができる授業を履修していく中で、そういう多様な人がいることを前提に、その人たちに対してどういうことができるか、ということを考えるようになり、人の可能性を広げることのできる就職先を選びました。
卒業論文では、インドネシアで1か月ほどフィールドワークをしてきたので、それに基づいてインドネシアのムスリムの女性がスカーフをかぶるのはなぜかについて、単に宗教でそう教えているから、という理由だけではない背景を明らかにすることを目指して執筆を進めています。

閉じる

Sさんの場合(メジャー:中東・アフリカ研究 マイナー:市民社会・国際協力論)

2019年入学、卒業後はイギリスの大学院に進学後、国際協力関係の就職を希望。
中東とイスラームへの関心をもって入学し、国際協力研究を通じて「性教育」というテーマに出会う。
視野を広げながら自分の関心を研ぎ澄まし、中東と性教育のテーマをさらに深めることを目指す。

詳しく見る

入学時の関心

中学校の時から中東に興味がありました。きっかけは、マララさんのニュースをテレビで見たことで、初めてそういう状況の子どもがいることを知ってショックを受けたと同時に、宗教の重要性にも初めて気が付きました。服装がきれいだな、モスクのきらびやかな感じなどにひかれました。高校の時にはカタールに留学して、そこでパレスチナやシリアからの難民と友人になりました。友人はお金持ちでしたが、難民というだけで教育の機会に壁があるのに気づきました。アラビア語と中東に関する勉強をすると同時に、世界の様々なことを知りたいと思い総合グローバル学部を選びました。

1年次の履修

入学して1年からアラビア語はまず絶対取ろうと、真っ先に履修しました。他の科目についても、自分が面白いと思えるのが最優先で、中東はもちろん、他の地域も取るようにした。他の地域にもイスラームは広がっているし、イスラームに狭めて考えるよりも他の所も学んだうえで、中東に本当に興味があるのか確かめようと思いました。中東以外では、東南アジアが面白いと思いました。

2年次の履修

2年生は300番台の授業が取れるようになるので、楽しみにしていた中東に関する授業を履修していきました。もともと難民に関心があったのですが、1年の時に国際協力論概説を受講したときに性教育について扱っていたのに関心を持ち、そこから自分も日本やカタールでの体験を結び付けて中東、イスラーム社会の性教育についてより深めたいと考えるようになりました。そうすると教育について知らなければならないと考え、また国際協力についても知りたいと思い授業を履修していきました。

3年次の履修

ゼミ選択の時には、中東と性教育を合わせて研究したいということで、中東のジェンダーを研究するゼミを選択しました。400番台の特講も受講しました。「国際教育開発」では15人くらいで毎回2人組がプレゼンを行っていくのですが興味がある地域が皆違ったので、いろいろな地域の教育事情について学べて面白かったです。特に「イスラームとジェンダー」は自分の関心にぴったりでした。3年の春には就職活動をしましたが、結局国際協力を目指して進学することに決めました。3年生ではグローバルインターンシップを履修し、JICAでインターンシップをしました。そこでの経験から、イギリスの大学院に進学したいと進路を固めました。

4年次の履修

4年生ではゼミと卒業論文を中心に履修しています。「中東ジェンダー論」では、講義でも映画でも、内容を自分の中でいったん消化して、今まで読んできた文献などと結びついていないかを探しつつ、自分の中で議論を戦わせる方法を学ぶことができました。 卒業論文はアラビア半島における性教育とリプロダクティブヘルスに関するテーマを考えています。また、4年から国際協力NGOのインターンシップとして、母子保健に関する仕事をしています。総合グローバル学部の授業はとても楽しく、いろんな国の事例を使って考えることができるし、基礎をしっかり学ぶことができました。インターンシップで体験したことを、授業で学んだことといろいろな形で結びつけることができています。今後は開発系のイギリスの大学院で中東について学び、将来は国際機関で働いてみたいのでまずはNGOなどに入り、途上国での経験を積めたらと考えています。

閉じる

Nさんの場合(メジャー:国際政治論 マイナー:中東・アフリカ研究)

2019年入学、卒業後はIT通信系企業に就職予定。
「何となく国際系」から、アメリカとジェンダーへの強い関心へ。
個別と全体を組み合わせてみる見方、多様な生き方を当たり前と捉える視点を身に着ける。

詳しく見る

入学時の関心

高校の授業で受けていた世界史、政治経済が面白くて、何となくグローバルなことやっていれば将来活躍できそうだな、と思って国際系に絞って受験しました。総合グローバル学部はまだ新しい学部だったので、その中で一緒に創っていける部分があるのではないかと考え選びました。

1年次の履修

必修の授業を中心に履修していきましたが、期待よりも面白かったです。以前から政治とか世の中で起きていることに興味はあったので、「平和学」など国際関係の授業を履修していくと、現代史をしっかり深堀して、今起きていることを色んな側面から考えるということは今までしたことがなかったことに気づきました。その視点で国際情勢を見ていくと、新しい視点で物事が見えてきます。途上国で起きている紛争も、その内部の関係に先進国が関わっているなど、様々なロジックがつながっていった結果対立が起きているということが分かってきました。
語学についても、元々英語力に不安があったのだけれどもその人に合ったレベルで語学を学べるし、英語を使いたい人は英語で授業を受けることもできるという形で、それぞれの能力に合ったいろいろな授業が用意されているのがよかったです。一方で、自分でやりたいことを決めないと浅くなってしまうということに気づきました。

2年次の履修

メディアに元々興味があったのですが、春学期に履修した「アメリカ政治外交」の授業で、メディアと政治の絡みを説明していたのが衝撃的に面白かったので、メジャーを国際政治にする方向性がきまりました。
マイナーで選ぶ地域については、1年ではいろいろ幅広く見ていったのですが、その中でも1年で履修した「アフリカ研究概説」や「中東イスラーム研究」に興味を持ったので、中東アフリカをマイナーに選びました。特にサークル活動でジェンダーについて考える機会が多くあり、男性としてジェンダーを学ぶことで新しい視点が出てくるのではないかと考え、秋学期には「アフリカとジェンダー」を履修しました。ジェンダーの問題を考える中で、社会を変えていくためにはまず大学から、とソフィア祭実行委員会で従来の画一化された男性らしさ、女性らしさを前提とする「ミスコン」をやめる運動にも関わりました。

3年次の履修

国際政治系の授業を中心に履修しました。かなり幅広く履修しましたが、特に「EUと紛争解決」等はニュースで見るタイムリーな話題を扱っていたりして面白かったです。「国際安全保障論」も抽象的で難しい話も多かったけれど、理論と事例を使って今起きている現象を解釈する方法を教えてもらえて考え方が身につきました。アメリカ政治外交のゼミではディスカッションが多く、先輩の卒業論文の報告を聞いて議論するなどとても楽しかったです。

4年次の履修

4年生はゼミと卒業論文を中心に履修しました。ジェンダーについて学んだことと、アメリカ政治について学んだことを合わせてアメリカの女性議員について論文を書くことに決めました。国際関係と地域研究の双方を学ぶ中で、ジェンダーといってもランキング順で上位の国でも、その地域の中でよく見ると本当に女性に心地よい社会になっているとは限らないなど、グローバルに見ているだけでは見えてこないところが個別の事象をきちんと見ると初めて見えてくることが分かりました。 
就職活動は二年の春休みからインターンなどを始めていましたが、グループワークをすることが多かったので、大学の授業でディスカッションなど双方向のコミュニケーションを取り入れている科目を履修していたのが役立ちました。何より、総合グローバル学部で人間として物事を見る時に個別によく見なければいけないところと、俯瞰して見なくてはならないところを組み合わせて考えることが身についたのがよかったと思います。今の世界で何が起きているかとか、ジェンダーとか環境といった問題について知っていたり、いろんな価値観があって当然と考えることは、総合グローバルにいると当たり前に思えるのですが、採用が決まった会社では、そう考えられる人が社会にまだまだ少ないので、会社の中にそういう空気を入れてほしいと言われました。就職先ではこうした考え方を活かして、よりよい社会を創り出す仕事が出来ればと考えています。

閉じる

Wさんの場合(メジャー:市民社会・国際協力論 マイナー:アジア研究)

2019年入学、卒業後は人材系企業に就職予定。
入学時からのジェンダーへの関心を南アジアに地域を絞って掘り下げていく方向性を発見。
社会学を通じてより広いマイノリティへと関心を広げ、「誰でも自分の可能性を見つけられる社会」を目指すように。

詳しく見る

入学時の関心

高校のゼミでジェンダーについての論文を書いたことがきっかけで、現代の世界でジェンダーがどのように問題になっているのかを学びたいと考えて総合グローバル学部を選択しました。

1年次の履修

必修がたくさんあったので、まず必修から取っていきました。もともと、抽象的な、答えのないような問題を考えるのが好きだったので、哲学、思想に関わるような科目が特に面白かったです。総合グローバル学部の選択必修科目「市民社会論概説」ではそうした問いをたくさん考える機会が得られてとても面白かったので、市民社会論をもっと学びたいと思うようになりました。地域では経済格差やジェンダーの問題が一番イメージしやすかった南アジアについての科目を履修して、アジアに関心を持ちましたが、まだ地域は絞り切れていませんでした。

2年次の履修

「アフリカジェンダー論」「イスラームとジェンダー」など、二年生から履修できるジェンダーに関わる科目を履修し始めました。「国際協力論1,2」は、ジェンダーの話だけではなく広くSDGsなど開発に関わる問題を扱うのですが、ジェンダーに関する深い知識と経験を持つ先生のもとで学びを深めたいとゼミ選択の決め手になりました。また、ジェンダーに限らずより広くマイノリティについて考えたいと思い、他学部履修で「セクシュアリティの社会学」「逸脱の社会学」を履修しました。これらの学びが、「誰もが自分の力を信じて進んでいける社会を作りたい」という就職活動の方向性につながっていきました。

3年次の履修

市民社会をメジャー、アジア研究をマイナーとすることが決まったので、アジア研究の科目を中心に履修していきました。「アジアと人権」や「朝鮮半島の社会と文化」など、アジアの広い地域について学びながらジェンダーの問題を考えていく中で、ジェンダーの問題を資本主義のあり方と結び付けて考えるというところに自分の関心があることに気づきました。視野を広める上で特に面白かったのは「環境と人間」で、人間の始まりから歴史を追ってどのように今のような考え方、社会の在り方が創られていったのかを学ぶことができました。3年生の秋学期は履修をゼミだけにして、就職活動に集中しました。

4年次の履修

就職が早く決まったので、メジャーで不足している単位を中心に履修していきました。「国際経済学I」はメジャー科目の一つとして履修したのですが、これまであまり関心がなかった経済という側面が、ものを買うことなど日常の自分の選択が世界の在り方と深く結びついていることに気づくことができて、これからもっと学びたいと思えるようになりました。他学部履修ではずっと関心があった美術に関する授業を履修したり、思想や人の考え方というものが面白いなと思って「認知心理学」の授業を履修してみたりしています。まだまだ知らない面白い授業がたくさんありそうなので、最後の一学期で履修していきたいです。

閉じる