授業紹介:市民社会論概説
教員からのコメント Comment of Professor
「市民社会」と言われても具体的なイメージが湧いてこない人は多いでしょう。国家や経済とは異なる論理で構成された私たちの日常生活の領域を想像するとよいかもしれません。私たちが日々、考え、行動するときに、それは必ずしも「国家」の論理に基づいていません。例えば、外国にルーツがあると思われる人と出会い、友達になるときに、まず初めに「この人の在留資格はなんだろう」とは考えないでしょう。でも、国家にとっては、外国人は在留許可制度の枠内でしか存在していません。あるいは、友達を、「この人と一緒にいれば、得になるかも」と、経済的な損得勘定だけで選ぶことはないでしょう。市民社会とは、そのような国家の論理でもなければ、経済の論理でもなく、「市民の論理」で構成された領域です。現在は、グローバリゼーションなど大きな社会変動を経て、これまで通りの国家や経済の論理が、市民が経験する日常生活の現実とずれが生じています。そこで、社会の仕組みを変えるために市民が行動したことでもたらされた変化も数多く存在します。市民社会論では、「社会秩序」が市民の働きかけで、どのように変化してきたのかを考察するための、基礎的な理論を学び、それを私たちの日常生活に応用して考える授業です。
学生からの声 class interview
①授業概要
本授業では、市民社会学の本質を理解するうえで重要となる基本概念を学ぶことを目的としている。授業では、市民社会論における代表的な議論と、それに関連する具体的な事例が紹介される。学生はそれらを自らの経験や問題意識と結びつけて考察することで、市民社会に対する理解を段階的に深めていく。
②この授業を履修しようと思った理由
市民社会学という学問分野に対する理解が十分でなかった中で、本授業が近代国民国家や欧米の政治文化、さらにはミドルクラス男性を前提としてきた市民社会論を、ポストコロニアリズムの視点から批判的に捉え、グローバル化した社会に適合的に理解する力を養うことを目的としている点に強い関心を持ち、履修を決めた。
③この授業の魅力
大学で扱われる理論は抽象度が高く、しばしば理解が難しい。一方で本授業では、理論的議論を具体的な事例と結びつけて説明するため、実感を伴った内容理解ができる。稲葉教授が提示する事例は適切で分かりやすいだけでなく、それ自体が興味深く、学生が主体的かつ意欲的に学び続けられる点が、本授業最大の魅力である。
④この授業で学んだことを次にどう繋げたいですか
本授業を通して、自身の関心を持つ学問領域が広がった。入学当初は地域研究を中心に学びたいと考えていたが、本授業を通して市民社会学の面白さを理解し、現在では関心の中心が市民社会学へと移行した。今後は、地域研究で培った視点と市民社会学の理論を結びつけながら、より多角的に社会を捉えていきたいと考えている。
(本夛 まひな 総合グローバル学部1年生)
① 授業概要
この授業では、市民社会の基本的な考え方を、身近な例や国際社会の事例を通して学ぶことができます。難しい理論も具体例と結びつけて理解できるため、現実の社会や世界の問題と照らしながら自分なりに考えられるようになる授業です。
② この授業を履修しようと思った理由
1・2 年次の学部の選択必修科目であったことから検討しました。国際社会を理解する上で重要な市民社会の考え方や理論を学ぶ必要があると考え、選択必修の中でも最終的にこの授業の履修を決めました。
③ この授業の魅力
理解しにくい抽象的な概念を具体例を通してわかりやすく学ぶことができる点が魅力だと感じています。難しい理論も現実の社会や世界の問題と結びつけて理解し、理論を踏まえて物事を考えられるようになり、考え方の幅が広がったと感じます。
④ この授業で学んだことを次にどう繋げたいですか
この授業で学んだ市民社会の考え方や理論は、これから発展的な学びを進めるうえでの基盤になると思います。国際社会や社会問題を考える際の視点として活かし、より深く現実の課題を分析できる力を身につけていきたいです。
( 榎阪愛七 総合グローバル学部1年生)
