授業紹介

授業紹介:グローバル化と発展途上国

担当教員:高島 亮
カテゴリ:専門(300番シリーズ)
レポート日:2024/11/26

教員からのコメント Comment of Professor

世界のほとんどの国の経済が市場経済制度をベースに機能しつつ、各々の経済は相互に影響しあい、また同時に世界経済の影響を逃れ得ない。途上国経済もその例外ではなく、経済の自由化やグローバル化が急速に進み、その恩恵とリスクを常に合わせ持つ。本講義ではそうした途上国経済で見られる諸現象の中でもマクロ経済の側面に絞って考察することを目標とする。

どんなにグローバル化した経済でも市場経済としての特性を失うわけではない。前半ではまず、グローバル経済との関係を考慮せず、一市場経済においてどのように生産、所得、雇用(失業)、物価、利子率などが決まるのかを学ぶ。また、政府や中央銀行の政策がこうしたマクロ経済の諸現象にどの様な影響を及ぼすのかを考察する。

後半では、国際収支の概念を理解することで、途上国経済が世界経済とどのように結ばれているか、すなわちモノ・カネ(資本)がどのように国境をまたいで移動しているのかを考察する。また、これに伴い異なる通貨の交換が起こるため、為替の概念や決定メカニズムを学ぶ。最後に、多くの途上国が金融(資本)市場を自由化・グローバル化する過程において経験してきた金融危機・債務危機・通貨危機について考察する。こうした経済危機は生活コストを高騰させ人々の暮らしを困窮に追いやり、長期にわたり経済発展の芽を摘む。また、こうしたことへの市民の不満が時の政権の崩壊を導いたりもしてきた。本講義では途上国経済の実情や歴史的体験を構造的に理解すべく、マクロ経済の側面に焦点を当て考察する。

学生からの声 class interview

① 授業概要
本講義では、グローバル経済における様々な経済活動が特定の地域(特に途上国)に与える影響に関して学習する。その上で、まず、生産、所得、雇用、物価、利子率といった市場経済の基本的な仕組みを理解し、それに影響を与える金融市場の役割や問題に関して学習する。

② この授業を履修しようと思った理由
学部内で開講されている経済学の授業を受講する中で、途上国が抱える様々な分野における問題が、国内だけでなく、国際システムの構造的な課題に起因している側面があることを学んだ。本講義では金融市場に焦点があてられるが、それが途上国や世界経済にどのような影響を与えているのかを学びたいと考え、受講に至った。

③ この授業の魅力
金融という抽象的な分野を重点的に扱うが、経済学の初学者であっても理解できるよう丁寧な解説がなされ、その基本的な構造、現状の制度が抱える課題について知ることができる。これらの知識を通じて金融市場と私たちの生活の関わりや乖離を把握し、金融市場を多角的に考察する視点を得られる点が魅力である。

④ この授業で学んだことを次にどうつなげたいですか
本講義で学んだことを通じて、途上国・先進国を問わず、各国で生じている様々な現象について考える際、国内の状況理解に留まらず、より広い視点からその現象が生じている原因を分析することにつなげたい。

(鈴村薫 総合グローバル学部3年生)

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