第1回「ブラジル経済の現在地―時間軸、空間軸でみたブラジルの立ち位置―」
最近のブラジル経済については「未曾有の危機」、「オリンピックは大丈夫か」といった悲観的な記事が多くなっています。確かに、景気の後退、大統領弾劾プロセスに関するニュースを切り取るとそう見られるのは無理もありません。しかし実際は、過去に見られた経済低迷と今般の状況を比べた場合、共通点も少なくありません。今回の景気後退の出口を見定めるためにも、時間軸(歴史)、空間軸(グローバル経済におけるブラジルの位置)でもって現状を立体的に捉えてみましょう。
第2回「社会を民衆のものとするブラジルの市民運動―NGOの動向の分析を中心に―」
2013年のコンフェデ杯以降、ブラジルの市民が路上に出て社会的公正を求めるデモンストレーションを行う姿が日本でも報道されるようになりました。メディアの映像からは、教育・保健分野における基本的人権や政治的トランスペアレンシーを求めて行動する市民社会の姿を現しているようにも見えます。軍事政権以降、民衆の生きる権利と社会的公正をめざして活動を続けてきたNGOの声明をもとに、ブラジルの草の根民主主義を支える市民運動の動向を分析します。
第3回「試練に立つブラジル政治―民主化から30年が意味するもの
5月11日の上院本会議の決議を受けて、ルセフ大統領に対する弾劾法廷の設置が決定、職務停止のルセフに代わり、テメル大統領代行のもと、暫定政権が発足しました。民主化から30年余、相対的に安定していると思われてきたブラジルの政治に何がおきているのでしょうか。カルドーゾ、ルーラ、ルセフ政権を中心に、ブラジル政治が得たもの、そして積み残したものは何か、また地域大国ブラジルの政治混乱が南米を中心とする国際関係に与える影響についても考えていきます。
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