講演会

「アンデス・アマゾンの宇宙観とアート」

講師

ロベルト・ママニ・ママニ(ボリビア人画家)・加藤薫(神奈川大学教授)

日時2006年12月1日日(金)午後 6 時
場所

上智大学中央図書館総合研究棟 9 階 L-921 会議室

使用言語

スペイン語

通訳

なし

参加費・予約

参加費無料・予約不要

主催・共催・後援

上智大学イベロアメリカ研究所

概要

画家ママニ・ママニは 1962 年コチャバンバ生まれ。現在は首都ラ・パスに住むが、人口の約 55%を占めるインディへナ(先住民の末裔)へのアイデンティティーを強く意識した作風で知られる。簡潔な具象イメージの表象はナイーブ画的とも言えるが、アンデス山地の清涼であざやか、かつ多彩な自然の色とその変化を反映した複雑かつ変化に富む多層な色面で構成されており、よくメキシコのルフィノ・タマヨに比せられる。

ボリビア固有の自然環境と歴史体験の中で育まれてきた民族の記憶を分かりやすい普遍的な記号に還元し、整理された統一感ある構図に配置するが、色彩は多重化した大地の波動のリズムに委ねている。
キリスト教の天使(外来のスペイン植民地時代の遺産)などを描く場合もあくまで土着の記憶と整合性のある文化伝統のマニフェストに仕上げている。しかし、インカ文明以前から現代にまで継承されてきている神話や伝承、幻視の神秘体験や奇跡・逸話などのフォークロアに傾倒する美術作家の作品とは一線を画す。

ボリビアにはグローバル化する国際的美術市場に対応した形でのコンテンポラリー・アートも存在する。
だが真に創造的な個性とは、DNA に刻まれた過去の記憶と無縁ではありえない。ママニ・ママニの作品は20世紀のメインストリーム現代美術からの逸脱ではあるが、今になるとその呪縛からいち早く解放された系譜の作品と言える。 (文:加藤薫-プロモ・アルテ ギャラリー ホームページより)