この度イベロアメリカ研究所では、ミゲル・アルトゥロ・ファハルド・ロハス教授(コロンビア、サンヒル大学、連帯経済研究所所長)をお迎えし、講演会を開催いたします。
コロンビアでは「連帯経済」の考え方は、古くは先スペイン期の互助の慣習に起源があります。制度としては1930年代に協同組合が法制化されましたが、その後、冷戦期を通じて主に官製の農村協同組合活動や金融組合が左翼運動をけん制しつつ推進されてゆきました。地域別にみると個性豊かな協同組合運動が進展し、それにはカトリック教会の社会活動が大きく影響を与えてきました。1990年代以降、グローバル化の進展とともに、こうした協同組合活動を中心としてきた連帯経済の実践に対し、より人々のイニシアティブと参加を重視した、オルタナティブな市場経済をめざす新しい動きが生まれてきました。
長年国内紛争に悩んできたコロンビアは、和平合意後の経済発展と格差解消を課題に掲げています。特に農村地域にとって、こうした連帯経済の活動は地域経済の活性化に裏付けられた平和構築という意味で、公共政策だけでなく、市民社会、国際協力機関にも新しい可能性として注目されつつあります。
講師のミゲル・ファハルド先生は、長年市民運動家として活躍しただけでなく、サンタンデール県というカトリック教会の社会活動と協同組合活動の経験が豊かな地域で連帯経済の精神に基づく大学創設運動にもかかわった、コロンビアの連帯経済研究と実践の第一人者です。また、コロンビアだけでなく、ラテンアメリカ諸国の連帯経済の運動と研究の大学間ネットワークの運営にも深くかかわってこられました。
今回の来日では伴侶のマリア・トリニダッド・ゴメス先生(サンヒル大学)とともに3週間、イベロアメリカ研究所で客員研究員として日本国内の実践例にも触れられました。本講演会では、そうした日本の経験との交差も踏まえてお話いただけると思います。皆さま是非万障お繰り合わせの上、ご来場ください。
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