エチオピアで80年代に起こった飢饉ならびに内戦に関心を持ちアフリカ研究を始めました。特にエチオピア北部に居住するティグライ人に注目して19世紀後半以後のエチオピア史を研究してきました。エチオピアは植民地支配をほとんど受けていない国ですが、他のアフリカと同じく多数の民族を抱えています。エチオピアの現在の政治を分析するうえでも国家と民族の関係を歴史的に研究する意義は大きいと考えています。近年は、1993年にエチオピアから独立したエリトリア政治史の研究も行っています。第二次世界大戦後のエリトリアの脱植民地化の過程は隣国エチオピアの国益ならびに国際関係、特に冷戦の構図が深く影響しています。脱植民地化の過程だけではなく、エリトリアの独立運動、現在のエリトリアとエチオピアの関係悪化を理解するためには両国関係だけでなく、両国を取り巻く国際関係も非常に重要な分析対象だと考えています。北東アフリカのエリトリアやソマリアの脱植民地化の研究を通じて、アフリカと国際関係、アフリカの脱植民地化と国連といったテーマも視野に研究を進めています。
その他、70年代、80年代にエチオピア内戦を戦った女性兵士や戦後に結成された女性組合の活動の分析を通じてエチオピアにおける女性解放思想の浸透、ローカルNGOの活動についても研究をおこなっています。