1982年から2年間、イラン・イラク戦争真っ最中のイランで暮らしました。当時は戦争中というだけでなく、イラン・イスラム革命の直後で、イランといえば「狂信的で反動的な−国家というイメージが強く、そんな国に暮らすということは正気の沙汰と思われませんでした。しかし、実際に暮らしてみると、世間でいわれているイメージとは大違いで、日常生活は滞りなく行われており、戦争中であることをつい忘れてしまいそうになることもありました。また、確かにイスラム色が強烈になった面は否定できませんが、人々は彼らなりにそうした状況に対応しようとしていることがよく理解できました。さらに、その当時から一部の国はイランを反動的なテロ国家と決めつけ、様々な形での圧力を加えていましたが、そうした批判は何かピントはずれであり、また意図的なものであるように感じました。そうした体験を踏まえ、イラン世界の深層に少しでも近づければと考えています。
先入観をもたずに純粋にこの地域に関心をもつ学生諸君と、この点を考えていきたいと思っています。