上智大学アジア人材養成研究センターは、世界遺産アンコール・ワットにご関心のある方を対象に、
国際シンポジウム「カンボジア・アンコール王朝の水利都市とアンコール・ワット建立」をウェビナーで開催いたします。海外からもご視聴いただけますが、開催時間は日本時間となっておりますのでご留意ください。皆様のご参加をお待ちしております。
B.P.グロリエ論文が1979年に『フランス極東学院紀要』(BEFEO)に掲載され、これまで賛否をめぐり大論争が続いてきた。同論文は、アンコール王朝大繁栄の「経済活動」を裏付ける画期的論文であった。スールヤヴァルマン2世が登位した1113年頃の経済的背景を図式化すると、「当時の貯水池(バライ)→二期作→食糧の確保→人口の増加→敷地決定→作業員確保」の仮説となる。王朝の大舞台となる扇状地は、北北東から南南西にかけて傾斜し、約1キロ行って約1メートル下がり、その下方で田地を耕作する。これがアンコール王朝の集約農業の原点であった。扇状地の上部の高いところに貯水池(バライ)を盛土工事で造り、そこへ雨水や河川の水を引き入れ、バライの内側と外側に小溝をつけ、副水路とした。排水口から水路により田地へ給水された。王は37年かかってアンコール・ワットの大伽藍を造営した。しかし一部は未完成であった。その基礎部分は187メートル×215メートル、中央部の5基の尖塔の高さが65メートル(現在の9階建てのビルに相当する)。さらに環濠が幅200メートル、周囲が5.5キロメートル、18段の敷石壁に囲まれ、約500万立方メートルの水量を貯えている。大工事であった。建設における水利工事は上首尾であった。 私たちは、B.P.グロリエ調査報告に基づき、さらにJICAが作製した5000分の1の地形図データを使ってグロリエの「水利都市論」の背景を立証するものである。第1回目の「水利都市国際シンポジウム」は2000年に開催し、今回はその第2回目にあたる。1965年G.セデスが指摘した碑文の史料限界論を受けて、さらにNASAおよびフランス極東学院による綿密な科学的調査成果に立脚し、巨大石造伽藍を造営できた当時のクメール人の民族エネルギーとその叡智を、ここに「水利都市論」として議論するものである。
【日 時】 | 2022年11月5日(土) 13:00 ~ 17:30 (日本時間) |
【申 込 み】 | https://zoom.us/webinar/register/WN_p4afox8YRdqjcyqZMpMCCg |
【会 場】 | オンライン Zoomウェビナー |
【予 稿 集】 | こちらから |
【講 師】 | 坪井善明 (早稲田大学名誉教授) 石澤良昭(上智大学アジア人材養成研究センター所長) Dr.ロランド・フレッチャー(シドニー大学/オーストラリア) Dr.ドミニク・スーティフ(フランス極東学院/シェムリアップ) H.E.ハン・ペウ(カンボジア王国政府アプサラ機構総裁/シェムリアップ) (以上、講演順) |
【詳 細】 | 詳細はこちら |
【主 催】 | 上智大学アジア人材養成研究センター |
【対 象】 | アンコール・ワットにご関心のある方 |
【言 語】 | 英語・日本語(同時通訳) |
【参 加 費】 | 無料 |
【問 合 先】 | 上智大学アジア人材養成研究センター Email:sacrhd@ml.sophia.ac.jp TEL:03-3238-4136 FAX:03-3238-4138 |