日時:2002年4月20日(土)13:00-19:30
場所:上智大学四ッ谷キャンパス9号館3階359号室
出席者:12名
東南アジアにおけるイスラム近代化運動の興隆とアラビア語・ジャウィを用いた刊行物の展開については,これまでの研究会(第5回,8回など)でもすでに報告がなされてきたが,今回の発表者・服部美奈氏はその一潮流として,西スマトラのジャウィ新聞「アル・ムニール」(1911-1916)やその継続紙,および改革派の指導者達によるジャウィ書籍についての概要を紹介した(ジャウィ文書研究会ニューズレター第2号IV参照).前回研究会に続き,外国語圏の研究者も積極的に議論に参加できるよう,今回の報告および質疑とも英語で行われた.質疑応答では,例えばペゴン使用の伝統があり,19世紀以降は大量のアラブ移民をも受け入れてきたジャワ島ではなく,なぜ西スマトラのミナンカバウ社会でとりわけそのような改革運動が開花し,インドネシア初のジャウィ新聞刊行にまで至ったのか,といった社会背景などの諸ファクターに焦点がおかれた.フロア窶狽ゥらの見解やコメントは,(1)西スマトラあるいはミナンカバウといった特定の地域・民族固有の要素,(2)当時の西スマトラで影響力を持つウラマー達の独自の思想・活動,(3)植民地政府や中近東世界との関係,(4)印刷技術・学校制度などリテラシーに関する近代技術の導入と普及の状況,などに分かれ,各自が活発に発言・意見交換を行なった.<奥島美夏>
「上智アジア学」20号(上智大学アジア文化研究所より,2003年3月発行予定)にジャウィ文書研究特集を組み,そこで本研究会の活動の成果報告を行うことになっていたが,その企画について議論を行い,研究報告篇,マニュアル篇,資料篇の三部構成とすることにした.<川島 緑>
レジュメ作成担当者:菅原由美(東京外国語大学大学院),西 芳実(東京大学)
今回から本格的にAl Munirの講読を行った.今回は,レジュメ作成担当者の提案により,講読参加者が事前に電子メイルで担当者に翻字したものを送り,担当者がそれを編集して当日参加者に配布し,異論がでた部分を中心に検討した.この方法により,効率的に講読を進めることができた.終了予定時間を1時間以上延長したが,予定していた部分の講読を終えることができた.いくつか,不明の部分もあったが,これらについては今後も検討を続けて行きたい. <川島 緑>