研究会・出張報告(2015年度)
出張報告- トルコ出張報告(2016年1月14日~1月21日)
期間:2016年1月14日~1月21日
国名:トルコ(イスタンブル、アンカラ)
出張者:荒井康一(上智大学アジア文化研究所客員所員)
概要:
2015年、トルコは再選挙を含む2度の総選挙を経験し、ISなどによるテロ問題でも揺れている。出張者は、アンカラにて統計局・水利庁・国立図書館、イスタンブルにて古書店街などを訪問し、最新の状況について資料・データ・情報収集をおこなった。
訪問時は平穏を取り戻していたものの、トルコ最大の観光地スルタンアフメット地区にてテロ事件が発生したばかりということもあり、警官が数多くみられ、バザールや駅の改札などで金属探知機による検査が行われるなど、これまでに比べ、かなり警備も厳重になっていた。
収集したデータからは、クルド語系住民が多い東部を中心に、マイノリティの票が与党から野党へかなり流れていたことが明らかになったほか、アレヴィ派の票の一部が共和人民党から親クルド政党へと移動していたことも判明した。このことは、これまでAKPが進めてきた「クルド問題解決プロセス」と「アレヴィ開放」政策の限界を示しているのかもしれない。AKP政権は、ISによるテロ事件をきっかけにPKKへの軍事作戦を再開しており、今後のマイノリティ政策の変化も懸念される。
文責:荒井康一(上智大学アジア文化研究所客員所員)