研究会・出張報告(2010年度)

   研究会

日時:2011年2月18日(金) 17:30~19:45
場所:上智大学3-521号室

パネリスト:
岩崎えり奈氏(共立女子大学)
小野安昭氏(元駐チュニジア日本国大使)
栗田禎子氏(千葉大学)
長沢栄治氏(東京大学)

特別コメンテーター:
加藤恵美氏(笹川平和財団)
錦田愛子氏(東京外国語大学AA研)
渡邊祥子氏(東京大学)

司会:私市正年(上智大学)

概要:
 本シンポジウムは、1月27日の緊急シンポジウムに続き、第2回目の緊急シンポジウムとして開催された。チュニジアのジャスミン革命はついにエジプトのタハリール革命へて発展し、全く想像できなかったアラブ諸国における、市民・民衆を主体とした平和的な革命が達成された(とりあえず独裁的大統領を退陣させたと言う意味で)。これをどう評価するか、をめぐって活発な議論が交わされた。会場には、研究者だけでなく、マスコミ関係者、一般市民、ビジネスマン、アラブ諸国からの留学生など350人以上もの人が集まり、中東やイスラームがテーマのシンポジウムではいままで体験したことのない明るく、熱気に満ちた雰囲気が漂っていた。講師は、岩崎えり奈氏(共立女子大学)、小野安昭氏(元在チュニジア日本国大使)、栗田禎子氏(千葉大学)、長沢栄治氏(東京大学)の4氏で、議論は多岐にわたったが、(1)中東・北アフリカにおける一種の市民革命への変革の期待、(2)失業問題一般ではなく、高学歴者の失業問題の深刻さ、(3)1919年エジプト革命との比較の可能性、(4)新自由主義政策の矛盾、(5)人間の尊厳を凌辱する程の強権体制などが具体的指摘された。同時にまだ革命は進行中であり、推移を注意深く見守る必要があること、他のアラブ諸国に同様の変革が広がっていくのか、不透明であるなどの点が指摘された。
(私市正年)