研究会・出張報告(2010年度)

   研究会


Panel: Diversity and Uniformity in the Muslim West
*早稲田大学拠点との共催

日時:2011年7月19日(月) 14:30~16:30
Organizer: KISAICHI Masatoshi (Sophia University, Japan)
Chairperson: Abdelahad Sebti (Universite de Mohammed V, Morocco)

Speakers:
1. KISAICHI Masatoshi
“Andalusian People in the Ulema Societies in the 12th and 14th Century Maghreb Cities”
2. SATO Kentaro (National Institutes for the Humanities /Waseda University)
“Yannayr and Ansara: Seasonal festivities in the Muslim West”
3. KURODA Yuga (Waseda University)
“The Views of Muslims held by Iberian Peninsula Christians”

概要:
 この部会では、マグリブ・アンダルスが歴史的(8世紀~15世紀ころまで)に共通のイスラーム世界として認識されていたのか、あるいはどのような共有性を見出すことができるのか、という大きな枠組みを設定し、その上でムスリム・キリスト教徒・ユダヤ教徒間の互いの他者認識、祭りに見られる共存の実態、交流の歴史などが具体的史料に基づき報告され、議論された。スペインはいうまでもなくアンダルス世界の中心地であり、この問題は非常に関心の強い(ある意味ではデリケートな)テーマであり、会場はほぼ満員であった。従って、報告に対する反応は予想以上に強く、質疑も活発で日本の学界で同種のテーマのセッションを開催したときとは全く異なる熱気が感じられた。その意味では本セッションを設けたことは大成功であった。本セッションを通じて、イスラーム世界とも西欧世界とも等距離に立てる日本が橋渡し役を担いつつ、異なる宗教・文明の交流の歴史を検証する重要性があらためて再認識された。このような枠組みでの学術交流は今後も継続・発展させるべきであろう。
 なお、報告者と報告タイトルは以下の通りである。
黒田祐我(早稲田大学)「イベリア半島のキリスト教徒が抱いていたムスリム観」
佐藤健太郎(人間文化研究機構・早稲田大学)「Yannayr とAnsara-西方ムスリム世界における季節祭」
私市正年(上智大学)「12-14世紀マグリブ諸都市のウラマー社会におけるアンダルシア人」
 司会と総合コメントは、Abdelahad SEBTI氏(ムハンマド5世大学・モロッコ)がつとめた。
(私市正年)