研究会・出張報告(2008年度)

   研究会

*文科省委託事業公募研究との共催
日時:2009年2月21日(土)15:00~17:00
場所:上智大学2-630a号室
発表:小村明子(上智大学)海外調査報告「イギリスのムスリム社会の現状」

概要:
 報告は、イギリスのイスラームとムスリム・コミュニティの調査結果を中心に行われ、以下の点について発表と議論がなされた。特に、イギリスのムスリム人口の3分の1が居住しているといわれるロンドン市内のムスリム街や主要なモスクを中心に、モスクでの活動状況と、ムスリムへのインタビューを行なった。
 まずロンドンにおいては、簡便な礼拝所である「ムサッラー」を含めた礼拝施設が把握できないほど存在している。ムスリムは移民の2世や3世だけでなく、改宗者も多くいる。
 ロンドンは国籍ごとに住み分けをしているわけではないが、いくつかの地域に分けることができる。それ故、モスクもその地域に住む人々の特色を反映している。例えば、ロンドンの東はバングラデシュ人とソマリア人が多数居住しており、それを反映して、その地域のモスクでの活動もベンガル語やソマリ語でのアラビア語クラスが行われている。
 街中では、ハラール・レストランが多く、全身を全てヴェールで覆ったムスリム女性の姿をよく見かけることができる。モスクの数もムスリム人口も多いので、ロンドンではムスリム社会を受け入れているようにみえるが、イスラームが本当にロンドンの地域社会に受け入れられているのかどうかを知ることは、今後の調査の課題である。
 (小村明子・上智大学大学院グローバルスタディーズ研究科博士後期課程)