研究会・出張報告(2008年度)
出張報告- アルジェリアにおけるイスラーム運動の調査(2008年8月8日~9月3日)
期間:2008年8月8日~9月3日
国名:アルジェリア
出張者:私市正年
概要:
本出張においては以下の調査を実施した。第一に国立図書館に通い、1989年末から90年代初めのFIS関係の新聞、雑誌を調べ、とくにFISが大衆に呼びかけるレトリックの調査を行った。またカスバ地区、エルビアール地区、クッバ地区において聞き取り調査を行い、1990年代の選挙においてFISに投票したか否か、今、FISとテロリズムとの関係を質問した。
第二に研究分担者のZoubir Arous 氏、トレムサーニー氏、ジェルバル氏らと数回意見交換を行い、イスラーム運動の挫折の一原因たる社会階層の対立(とくに貧困下層と中間層との対立)を生み出す歴史的背景について議論した。
第三に中世史の軽視と現代アルジェリア政治の不安定との関係を論じるため、「アラブ文化フェスティバル」において、「アルジェリア歴史教育の問題」と題する講演を行った。会場はリヤード・アルファトゥフ。講演はアラビア語で行った。
第四にフレンダのジャック・ベルク研究センター、イブン・ハルドゥーンが『歴史序説(ムカッディマ)』を執筆した洞窟、FLNの秘密会議の行われたスーマームなどを訪れ、イスラーム運動の歴史的背景について現地研究者と議論を行った。
(私市正年)