研究会・出張報告(2007年度)
出張報告- ブルネイ、シンガポールにおける文献調査(2007年8月5日~2007年8月22日)
期間:2007年8月5日(水)~2007年8月22日(水)
国名:ブルネイ、シンガポール
出張者:坪井祐司(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所・共同研究員)
概要:
イスラム書籍の流通および出版状況の調査及び資料収集を目的として、ブルネイ、シンガポールの二カ国を訪れた。
ブルネイ(8月5日~9日)
ブルネイでは、言語出版局(Dewan Bahasa dan Pustaka)、歴史センター(Pusat Sejarah)、ブルネイ博物館(Muzium Brunei)、イスラム宣教センター(Pusat Dakwah Islamiah)、教育省カリキュラム開発局出版部門(Unit Perbitan, Jabatan Perkembangan Kurikulum, Kementerian Pendidikan)、ブルネイ大学(Universiti Brunei Darussalam)およびいくつかの書店を訪れ、ブルネイにおけるイスラム書籍の出版活動に関する聞き取り調査および資料収集を行った。
その結果として、①ブルネイにおいて流通するアラビア語のイスラム書籍の大部分は中東の出版物の輸入であること、②公用語であるマレー語によるイスラム書籍の出版活動の中心的な主体は政府機関であること、③アラビア文字表記のマレー語(ジャウィ)の出版活動は隣国のマレーシアやインドネシアと比べ活発であるが、これも政府機関が主体となっていること、などが明らかとなった。
シンガポール(8月10日~22日)
シンガポールでは、国立シンガポール大学(National University of Singapore)、国立図書館(National Library)、イスラム・マレー問題研究所(Centre for Research on Islamic and Malay Affairs)およびいくつかの書店を訪れ、シンガポールにおけるイスラム書籍の出版活動に関する聞き取り調査および資料収集を行った。
その結果として、①シンガポールにおいて流通するアラビア語のイスラム書籍はブルネイ同様輸入品が多いが、その出版地は隣国のマレーシア、インドネシアのものが中心であること、②シンガポールにおける出版活動はほぼ民間書店に限定されること、③なかでも、プスタカ・ナショナル(Pustaka Nasional)社がブク・マドラサ(Buku Madrasah)と呼ばれる学生向けのアラビア語によるイスラムの教科書を多く出版していること、④それ以外のイスラム書籍の出版活動はマレー語、英語のものにほぼ限定されること、などが明らかとなった。
(坪井祐司)