研究会・出張報告(2006年度)
出張報告- インドネシアにおけるジャウィ文書調査
期間:2007年3月12日 ~2007年3月21日(10日間)
国名:インドネシア
出張者:山本博之(京都大学地域研究統合情報センター准教授)
概要:
インドネシアの出版におけるジャウィ文字の使用について調査するため、(1)ヒダヤトゥラ大学を訪問してインドネシアのイスラム系出版物に関する歴史的経緯について情報・意見の交換を行った。1950年代まではマラヤ・シンガポールとインドネシアの間で出版物を通じた交流が見られるが、1960年代に入るとマレーシアとインドネシアの出版物どうしの交流が限定的になってきたことなどを確認した。(2)ジャカルタ市内のチャハヤ・ヌサンタラ出版社を訪問し、近年のジャウィ文字による出版について調査を行った。マレーシアにおけるジャウィ出版の影響を受けてインドネシアでも2006年にジャウィによる定期刊行物である『チャハヤ・ヌサンタラ』が創刊されたこと、ただし発行部数と流通は限られており、読者の対象は主にイスラム寄宿塾が想定されていることなどの情報を得た。(3)国立図書館を訪問し、現地語定期刊行物の資料収集を行った。国立図書館に所蔵されている雑誌の一覧を確認したうえで、『ヒダヤトゥッラー』や『サビリ』など、現在のインドネシアにおけるイスラム系定期刊行物のうち主要なものの過去数年分の記事を入手した。(山本博之)