研究会・出張報告（2006年度）

• カイロにおけるイスラーム運動関連の調査

期間：2007年2月25日～3月4日（8日間）
国名：エジプト
出張者：横田貴之（日本国際問題研究所研究員）

概要：
　今回の出張の主たる目的は、カイロにおいてムスリム同胞団に関する調査を実施することであった。具体的な調査内容とその成果は次のとおりである。第1に、同胞団メンバーへの聞き取り調査を行い、その活動実態を把握すること。出張者は同胞団最高指導者顧問アブドゥルハミード・ガザーリーなど指導者層とのインタビューを行い、最近の政府弾圧に対して従来どおり民主化を求め続けるとする基本方針を確認した。第2に、ワサト党メンバーへの聞き取り調査を実施すること。党首アブー・アラー・マーディーは国外滞在中のため会うことができなかったが、党本部に居合わせた党員とキファーヤ運動など民主化運動や同胞団との関係についてインタビューを行った。エジプトでは民主化が依然として重要争点であり、その実現のためにあらゆる勢力と協力の下で政府に圧力をかけていることが明らかとなった。第3に、同胞団関連の文献を収集すること。政府による弾圧のため同胞団書店は閉鎖されていたが、古書店から1940-50年代に刊行された同胞団雑誌『ムスリム同胞団』と『ダアワ』を約20部入手することに成功した。当該古書店には文献収集の継続を依頼した。（横田貴之）