研究会・出張報告(2006年度)

   出張報告

期間:2007年2月19日 ~ 2007年2月26日(8日間)
国名:インドネシア
出張者:西芳実(東京大学大学院総合文化研究科助教)

概要:
 ジャカルタの国立国会図書館においてオランダ領東インド/インドネシアで発行されたイスラム関係の定期刊行物(主としてローマ字表記のインドネシア語雑誌)の所蔵状況を確認した。ジャウィ表記の定期刊行物については、2006年から刊行を開始し「インドネシアで初めてのジャウィ誌」を名乗る『チャハヤ・ヌサンタラ』誌の編集部を訪問して刊行の経緯や意図、編集方針などについて聞き取り調査を行なった。
 2月24日からはバンダアチェのスイスベル・ホテルで開催された第一回アチェ・インド洋研究国際会議にオブザーバーとして参加した。紛争地や大規模自然災害の被災地として注目を集めてきたアチェについては実践的な提言をめざす調査・研究の進展が著しいが、本国際会議ではそうした調査・研究の成果とともに従来からの考古学や歴史学、文化人類学の成果が報告され、TSUNAMI後のアチェが研究者の取り組み方という点においても緊急段階を終え、新たな段階に入ったことを感じさせた。アチェ住民も多く出席し、特にアチェにおけるイスラム法の施行に関するセッションでは積極的な発言が見られ、イスラム法のあり方をめぐってはアチェ社会内部に多様な考え方があることが確認された。(西芳実)