永井 敦子NAGAI, Atsuko

  • 職位教授
  • 専門20世紀フランス小説、特にジュリアン・グラック、アンドレ・マルローなど。シュルレアリスム。

授業について

文献演習では、ジャン=ポール・サルトルの『ユダヤ人』の精読、西アフリカの民間伝承(フランス語にしたもの)など、文学研究では1920年代末から30年代末までのフランスのシュルレアリスム運動が抱えていた問題の整理と、その影響を受けた日本の詩人の作品の分析などをしています。

最近研究していること

シュルレアリスム運動については、第二次世界大戦期以降のアンドレ・ブルトンらの著作を、この運動が発生した第一次世界大戦終了期のテキストの、同時代の社会・文化状況に照らした読み替えの試みと捉え、その視点から分析しています。
日本のシュルレアリスムについては、シュルレアリスムに影響をうけた多様な詩人たちを包括するアウトラインを探りつつ、個別の作品のフランス語訳を続けています。
そのほか、西アフリカの民間伝承、アンドレ・マルローの著作分析なども継続中です。

私のこの一枚

私が研究している作家、ジュリアン・グラック(Julien Gracq : 1910-2007) の故郷、フランス西部のサン=フローラン=ル=ヴィエイユという町の丘の上から、フランス最長の川、ロワール川を見下ろした風景です。川は中洲でふたつに分かれています。川面は穏やかに見えますが、あちこちに渦ができていて、とても危険です。グラックは地理学を学び、パリで高校教師をしながら、休暇になると故郷に戻って作家活動をしていました。家の窓から見た故郷の風景が、作家の自然観や世界観の土台を作ったのはないでしょうか。