世界を新しく知るために
進路区分 | 就職(企業) | ||
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進路先 | 東武トップツアーズ株式会社 | ||
氏名 | 新井 千珠 | ||
メジャー | アジア研究 | マイナー | 国際政治論 |
入学 | 2019年4月 | 卒業 | 2023年3月 |
学生時代を振り返って/FGS で何を学んだか/学んでよかったと思うこと:
私は小学生の頃のマレーシアやインドネシアに旅行した経験や高校時代に世界史を選択していたことから、入学当初よりアジア地域や国際関係などに興味を持っていました。そのため1年次には、東南アジアをはじめとしたアジア地域についてその歴史や現状を学びつつ、政治学の基本的な考え方や国際秩序について学ぶ講義、様々な国際事象を身近な問題として捉えてその要因と解決について考えるような講義を受講し、自分が興味を持った分野を概括的に学んでいました。2年次から3年次にかけては、より具体的に学びを深めていくため東南アジアの文化遺産や教育、多様な社会について、また外交政策における意思決定や文化人類学などについて詳細に学ぶ講義などを受講しました。メジャーとしてはアジア研究を専攻し、フィリピンやマレーシアの社会と政治について学びつつ、東南アジアという地域から世界や日本の社会を見て学びや気づきを得たり、人類学的な観点から自分と異なる人々を理解するために鍵となる「他者の合理性」などについて学んだりしていました。そして卒業論文は学生へのインタビュー調査を踏まえ「大学における異文化間交流を通じたイスラームへの偏見の削減」をテーマとして執筆しました。こうして見るとぶれることなく卒論執筆まで学んできたようにも思われますが、メジャーにと考えていた国際協力分野が自分には合わず、学ぶ目標を見失って成績が下がるという挫折も経験しています。それでもここまで来られたのは、FGSの広く深く学びを追求できるカリキュラムのおかげだと実感しています。自分の学びたいことを探り、突き詰められる最高の環境でした。また、学問に真面目に取り組み共に切磋琢磨できる友人がいたことも大変有り難いことでした。
また感覚的なお話にはなってしまいますが、私はいつも履修を組む際には「自分の興味関心の赴くままに」という向きが強くありました。しかし不思議なことに、ばらばらに選択したように思えても毎学期必ずあるところで学びのすべてが繋がったと感じる瞬間があり、その度に学ぶ楽しさや喜びを感じていました。それはつまり、この学部で得られる学びが体系的であるということを示しているのではないでしょうか。また、一つの視点ではなく、同じ問題を異なった立場から見ることで得られる気づきは大きなものです。この世界で起きていること、問題になっていることをどの視点で捉えるかによってその見え方は大きく変わります。同じ問題でも、東南アジアの視点で見た時と日本やその他の西欧諸国からの視点とでは正反対の見え方になることさえあります。このように「自らの視点を一度離れて、違う場所から眺めてみた時に何が見えてくるのか」というのは、この世界を理解し様々な問題を解決しようとする時に非常に重要なポイントとなると思います。また、地域研究を通じて遠い存在だった国や地域が近くなり、国際情勢に関するものや外交関係のニュースを自ら分析しながら見ることができるようにもなり、諸問題を自分ごととして捉えられるようになったという変化も実感しています。私が4年間を通して最も学んでよかったと感じていることは、この学部ではそうした「世界を見る枠組み」を新しく得ることができるということです。私はどのような問題、地球規模の課題でも、まず自分ごととして考えること、そして多角的な視点から捉えることが重要なのではないかと考えています。FGSはその基本的な姿勢を身につけるための学びができる良い場所であると思います。
内定先を選んだ理由:
旅行が好きだということもありますが、大学で学ぶ上で「自分と大きく異なる人々」との関わりやそうした人々への理解というものが一つ自分のテーマとしてあったということも大きく関係していると思います。私は中学時代の経験から日本人にはまだ馴染みのないイスラームの考え方や、ムスリムに対する日本人の態度や反応などについて興味を持っていました。そうした背景から大学では「うまく自分とは違う『文化』などを持つ人を理解していくためには」ということを考えてきました。例えば訪日旅行の場合には海外からの旅行客を受け入れることになりますが、彼らとは宗教やその他の文化的なもの、慣習や生活様式などあらゆる点で私たちとの差異があります。旅行会社はそこをしっかりと理解し、充実した時間を過ごすお手伝いをする必要があります。卒業論文のテーマでもイスラームへの理解というところに焦点を当てましたが、イスラームに限らず自分とは異なる人に対して彼らなりの合理性があるということを理解しつつ、ニーズの背景にあるものまで汲み取っていくことはより良い体験価値を生み出すためには重要なことです。そうした意味で、これまで学んだことが活かせるのではないかと考えて旅行系の会社に決めました。
FGS を目指す皆さんに伝えたいこと:
大学に行く目的は人それぞれあって良いとは思いますが、皆さんには「自分の学びたいことを学べる場所」に行けるようにぜひ沢山努力してほしいなと感じています。私自身この学部との出会いは電撃的なもので、「ここ以外にはない、ドンピシャだ」というほどでしたし、私の周りにもそのような人は多いです。もちろん、今の時点で何を学ぼうか決まっていなくても入学後に様々な講義を受講していく中で方針は徐々に固まっていくものですので安心してください。私も専攻を決めて卒業論文を書くまでには紆余曲折がありました。学べる範囲が広く、深いことがこの学部の特色です。どんな些細なことでも良いですので今からでも自分の好奇心を大切にしてほしいです。それが自身の深い学びへとつながります。また、今から広い視野を持って物事を見るように訓練すると良いのではないかと思います。特に公募制推薦や指定校制推薦入試で受験を考えている方は限定しすぎずに様々な社会問題や地域の情勢について調べたり、一つの問題に関して複数の視点から眺めてみたりすることをお勧めします。
入学を見据えて能力的なことをアドバイスするならば、まずは英語の勉強を特に頑張ってください。受験英語など必要ないと言われる方も稀にいらっしゃいますが、日本語のみで得られる情報の量と英語など諸外国語で調べて得られる情報の量とでは大きな違いがあります。実際私も学部での勉強でそれを痛感したことが何度もあります。専攻する分野に関係なく特に英語で文献を読む機会というのはありますので、その際には英語の長文を読む力は必要になります。また英語以外の言語については入学後にもしっかりと学べますので焦る必要はありません。
そして、この学部にはバイタリティの溢れる人たちが集まっており、日々刺激を受けながら学ぶことができます。社会問題や国際情勢などに関して講義外でも真面目に議論し合い意見を交わせる場があることは大きな魅力だと感じます。学びへの強い意欲がある方には最高の環境ではないでしょうか。