進路

上智での出会いと学び

進路区分 就職(企業)
進路先 情報通信関係
氏名 N.T.
メジャー 市民社会・国際協力論 マイナー 中東・アフリカ研究
入学 2020年4月 卒業 2024年3月

内定先を選んだ理由:
IT企業のコンサルタント職に内定をいただき、そちらに入社することに決めました。理由としては、2点あります。1点目は、①「学び続けることが好き」、②「課題を解決することが好き」という自身の適性と一致しているからです。①に関しては、FGSでメジャー・マイナーの領域に留まらず、政治学、ヨーロッパ、北米など幅広い分野に触れた他、学部横断型プログラムであるグローバル・コンピテンシー・プログラム (以下: GCP) の受講や模擬国連サークルでの活動など、知的好奇心を満たし続けてきました。そのため、常に進化し続けるテクノロジーを学ぶ必要のあるIT業界は自身の適性と一致すると考え、志望しました。②に関しては、課外活動やアルバイトなどで組織や人々が抱えている課題を特定し、解決や成功に導いた経験があること、そしてそれらの過程で論理的、多角的に考えるというFGSでの学びを通して培われた力が発揮されたため、それらをコンサルタント職に活かすことができると考えました。

2点目は、女性活躍や積極的なDiversity & Inclusion (以下: D&I)を推進しているからです。FGSでの授業を通して、女性活躍やD&Iの実現の重要性を学びました。印象的であったのは、人権の観点からはもちろんのこと、経済や社会の活性化の観点からもD&Iは欠かせないということです。この学びを踏まえて、日本社会の発展に貢献したいとより一層思うようになり、「女性活躍やD&Iを積極的に推し進めているか」を就職活動の軸の1つとしました。内定先の企業では、D&Iという言葉がない時代から長年に渡り推し進めており、実際に数々の女性役員がいるなどD&Iがカルチャーとして根付いていることから、自身の就活軸と一致していると考えました。

学生時代を振り返って:
上智大学に入学したことは私の人生の中の大きな転換期の1つです。FGSでの4年間を振り返って、グローバルとローカルの双方向の視点から学んだことでグローバル・イシューについて多角的に、そして立体的に捉えることができるようになりました。自身の中に内面化されている固定観念の存在に気がつき、「当たり前は当たり前ではない」と学ぶことができたことは大きな収穫だったと思います。「常識を疑う」という姿勢は大学での学びだけでなく、サークル活動やアルバイトなど様々な場面で役立ちました。

中でも私の価値観を大きく変えたのはオリエンタリズムです。東南アジアの国に滞在していた際のボランティア活動を通して「可哀想な子たちを助けてあげたい」と考えるようになったと同時に、「『先進国である』日本が援助を積極的に行ってあげなければならない」と使命感に駆られるようになりました。また、帰国後に滞在国について質問される中で「自分は周囲が抱く帰国生像 (欧米出身の英語が流暢な帰国生) とは一致していない『途上国』からの帰国生」と考えるようになり、周囲のイメージと一致せず期待に応えることができないことに葛藤を感じるようになりました。さらに、滞在国に対する周囲のイメージは貧困や事件などネガティブなものが多く、そのような国の滞在経験を伝えることを控えるようになりました。しかし、FGSでの学びを通してそれは「『先進国出身』の人からの一方的な視点」であること、そしてそれには「日本の方が東南アジアよりも優位にある」というオリエンタリズムの視点が含まれていることに気が付き、自身の視野の狭さを自覚しました。そして事象を多角的に捉えることが重要であると学びました。これらの気づきをもとに、「オリエンタリズムの観点から見るアジア圏に滞在経験のある帰国生の自己概念の形成」というテーマで卒業論文を執筆し、帰国生としての自身の経験とFGSでの学びをつなげることができました。このようなFGSでの学び、そしてそこから得た視点やスキルは卒業後のキャリアでも大いに活かすことができると確信しています。

FGSでの学び以外では模擬国連、学生団体、アルバイト、GCP、ヘルパーなど様々な活動に注力してきました。模擬国連は一国の大使になりきり国際問題を議論する活動ですが、その活動を通して国際問題は一筋縄では解決が難しく、合意可能領域を探ることがいかに大変であるかを痛感しました。また、模擬国連では会議の運営にも複数回携わり、円滑な会議運営ができるよう尽力しました。大学3年次には全国大会の運営を担い、広報統括として大会のPR活動に注力しました。別の学生団体においても半年間部署のリーダーとして活動し、マネジメント能力や計画力を身につけました、さらに、塾講師のアルバイトを通して課題解決能力、言語化能力など今後社会で生きていく上で欠かせないスキルを得ることができ、FGSでの学びとはまた異なるかけがえのないものとなりました。

FGSを目指す皆さんに伝えたいこと:
2点お伝えしたいことがあります。1点目は、常に国内外含めて何が起こっているかアンテナを張っていてほしいということです。FGSでは環境問題、紛争など様々なグローバル・イシューを国際関係論というグローバルな視点と地域研究というローカルな視点の双方を用いて学びます。グローバルと聞くと、日本国外を想定するかもしれませんが、グローバル・イシューは越境的なものであり、日本も含まれています。日頃からニュースをチェックしたり、読書をしたりすること、そして自分自身もグローバル社会の一員であるという意識を持つことでFGSでの学びが深まると思います。そして、これは入試対策にも繋がるでしょう。ここで一番お伝えしたいことはそのアンテナを入学後も貼り続けてほしいということです。大学合格はゴールではなく、スタートであり、学問への第一歩です。

2点目は、様々なことに躊躇せずに挑戦し、そこでの学びと出会いを大切にしてほしいということです。大学生は自由な時間が多く、その時間をどのように使うかはみなさん次第です。自分のやりたいことができる、そしてそのような挑戦を後押ししてくれる環境があることは非常にありがたいことです。FGSでの学びを課外活動などでアウトプットすることでさらに学びが深まりますし、多角的に理解できるようになります。また、様々な場所でネットワークを構築することで、さらに自身の価値観が広がりますし、人生の可能性が広がると思います。少しでも興味を持ったら挑戦してみましょう。FGSにはその挑戦を後押ししてくれる環境があり仲間がいます。

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