進路

『本当にやりたいことを追求できる場所』

進路区分 就職(企業)
進路先 株式会社講談社
氏名 等々力 萌夏
メジャー 中東・アフリカ地域研究 マイナー 国際政治論
入学 2017年4月 卒業 2021年3月

 高校三年生の冬、進路指導室で私は頭を抱えていました。なかなか上がらない模試の点数にではなく、前例が少なかった TEAP 入試の論述対策にでもなく、学部選びという受験の基礎中の基礎に。候補の一つは、ジャーナリズムから文芸創作までを学べる文学部の亜種、もう一つは FGS でした。これらは本来比較対象には上がらない、全く異なる種類の学部ですが、私の「本当にやりたいこと」への欲深さが、この奇妙な状況を作り出していたのです。ここでは、本当に勉強したいことと本当に行きたい進路に板挟みにされた私が、FGS を選んでよかったと思う理由を共有します。

学生時代を振り返って:
 本当に勉強したいことと、本当に行きたい就職先は必ずしも同じ方向にあるとは限りません。私は幼少期から本に親しみ、本に守られてきたため、出版社への就職を希望していました。出版社へ就職したいなら、前述した文学部の亜種や上智大学文学部新聞学科のように、ジャーナリズムや出版を専攻できる学部学科を選択することが一見近道のように思えます。しかし本当に勉強したいのは、自分と縁遠い国や地域についてでした。グローバル化と情報化が進み、世界は近くなったように見える一方、私たちは顕在化したテロや紛争・貧困などを見てみぬふりをすることに慣れてしまっているのではないかという危機感があり、新聞の国際欄だけは食い入るように読み込んでいました。この乖離を解決するにあたり、私はとりあえず目の前を優先することにしました。すなわち、より近いステージである大学で本当に勉強したいことのために、FGS へ進学することを決めました。

 結果として、FGS への進学は出版社を目指す就職活動へのマイナスになるどころか、大きくプラスになりました。その理由の一つに、FGS の自由度の高さがあります。FGS は「総合」グルーバル学部という名の通り、自分の選択によって好きなことを好きなように学ぶことが出来る学部です。例えば、私が入学当初に興味を持っていたのはグローバルとローカルが融合する FGSの中でもよりグローバル寄りの国際関係論でしたが、多種多様な授業を受けていく中で、自分の興味が中東地域研究に移っていくのを感じ、最終的なメジャー専攻は中東・アフリカ地域研究を選択しました。4 年間もあれば人間の興味関心は移り変わります。特に欲張りで好奇心の旺盛な私にとって、FGS の柔軟さと自由さは大きな魅力でしたし、その自由さがあったからこそ選ぶことができた中東地域研究という専攻は、世間ではまだまだ物珍しい分野と捉えられることもあり、就職活動でも興味を持っていろいろと聞いていただけることが多かったです。
 また、多様な価値観に触れる機会を得られたことも、FGS の良いところだと思います。授業では国内外のマイノリティの置かれた困難な状況について頻繁に取り扱われたり、中東・アフリカの芸術や文化に親しんだりと、世界へ触れ、その向き合い方を考えるきっかけが常にそばにある四年間でした。他者との向き合い方を考え続けたことは、コンテンツを読み解く際のヒントにもなりましたし、この四年間は今後コンテンツを制作する側になったときもずっと灯台として照らしてくれると思います。

FGS を目指す皆さんに伝えたいこと:
 選ぶことはいつも難しいものだと思います。私が悩んだ学部選びも、メジャー・マイナーの選択も、ゼミ選びも、サークル選びも、すべて選択です。高校生までは「正解の選択」が用意されていることもありますが、大学に入ってからは正解がない中で、すべて自分で選び取っていく必要があります。しかし、恐れることはありません。FGS には、その選択を正解とまでは言えなくても、「ここを選んでよかった」と思える四年間を自分で作り上げていく環境が備わっています。やりたいことがここにあるのなら、安心して飛び込んで、充実した大学生活を送ってください。

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