『学生時代を振り返って』
進路区分 | 就職(企業) | ||
---|---|---|---|
進路先 | 株式会社リンク・セオリー・ジャパン | ||
氏名 | 髙橋 空 | ||
メジャー | 市民社会・国際協力論 | マイナー | アジア研究 |
入学 | 2016年4月 | 卒業 | 2021年3月 |
私は、ファッションに関連した職業に就くことが幼い頃からの夢でした。大学入学前は漠然と、アパレルメーカーや繊維商社、ファッション雑誌など関連する企業に就職したいと考えていました。FGS の講義でフェアトレードや SDGs について学び、希望の就職先が明確になりました。具体的には、サプライチェーンの管理やトレーサビリティを実現しやすい、自社で企画製造を行う SPA(製造卸小売業)のアパレルメーカーです。「サステイナブル」はファッション・トレンドとなっており、実態が伴っていないと感じる企業が多く見受けられます。内定先を選んだポイントは、トレンドとしてではなく、サステイナブル・ファッションの実現に向けて、実際に行動している企業であることです。入社後は、サプライチェーンのマネジメント業務に携わることを目標に、FGS での学びを活かしていきたいと思います。
学生時代を振り返って
私は FGS に入学し、アパレル産業における倫理的消費について学びたいという希望を実現できました。同時に、自分自身のマジョリティ性やマイノリティ性を見つめ直し、今後どのようにグローバル社会で生きていくかについて考える時間を過ごしました。
学生時代に私が身を持って学んだことは、グローバル・イシューを他人事としてではなく、自分事として考え、行動することの重要性と難しさです。私は FGS に入学する前、「途上国」で生じている搾取労働を、国際協力の力で解決したいと考えていました。しかし、搾取されているのは、「途上国」の人々だけではありません。日本でも技能実習生や大学生のアルバイトなどで搾取労働が生じています。FGSの講義を通して、私は日常にある社会問題に気がつくことができました。
日常にある社会問題に気がついた後、問題を解決するために行動する必要があります。行動することに関して、私は在学中に 2 つの立場から難しさを感じました。1 つ目は自分自身が、助けを求める立場になった時です。私は、大学 3 年生の時に経済的理由から就学を継続することが難しくなりました。その時、私は家庭の経済状況により進学が制限される社会を問題視することなく、すべて自分自身の責任だと考え、助けを求めることを躊躇していました。国際協力をしたい、社会問題を解決したいと思いながら、いざ助けを求める立場になると、声をあげることができない自分自身に驚きました。先生や友人に助けていただき、卒業することができましたが、この経験から助けを求めること自体の難しさや当事者が抱える精神的負担を学びました。2 つ目は、国際協力する側の立場として、社会問題を解決するために行動した時です。大学4年生の時に、ゼミでアメリカの大学との交流プロジェクト(COIL)を行いました。
アパレル産業における技能実習生問題についてチームで動画を作成したのですが、完成後に動画を SNSなどで拡散することに抵抗を感じました。問題を自分事として考えておらず、完成した動画の内容や質に自信がなかったからです。この経験から、問題を自分事として捉え行動する難しさを実感しました。
国際協力で社会をより良くしたいと願うことは簡単ですが、その先のステップである、社会問題に気がつくことや自分事として捉えること、行動することは難しいということを FGS での学生生活を通して学びました。難しさを理由に考えることや行動することをやめることなく、卒業後も FGS での学びを活かし、社会に貢献できるよう成長したいと思います。
FGS を目指す皆さんに伝えたいこと:
私が FGS を目指す皆さんに伝えたいことは、好きなこと、興味があることを学ぶことが大切ということです。私の高校時代は、あまりエシカルやサステイナブルと言う言葉が広まっておらず、アパレル産業が引き起こす社会問題について、上智大学で学んでいると周囲に話すと、「なぜ上智でファッションを?」と言う反応が返ってきました。しかし、物事には様々な側面があります。周りの意見に過剰に反応することなく、自分自身の考えで進路を選択して欲しいです。好きなことについて、批判的に学び、負の側面を知ることは時に辛くもありますが、好きなことだからこそ、パッションを持って学ぶことができると思います。私は、FGS で自分の好きなことに真摯に向き合い学ぶ時間を過ごしたので、きっと皆さんも過ごせると思います。