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☆研究活動記録  「台風ヨロンダ、フィリピン中部を襲う」寺田 勇文

2013年11月15日

台風

                                 総合グローバル学部 寺田 勇文

2013年11月8日〜9日に、フィリピン中部ビサヤ地方の島々を台風30号(フィリピン名ヨランダ)が襲いかかりました。

 レイテ島、サマール島はフィリピンの台風銀座で、いつも大きな被害がもたらされ、たくさんの人々が亡くなり、家屋を失う地域です。貧しい農村、漁村地帯で、自然災害に対する防備は十分ではないどころか、何も備えがないところも少なくありません。集中豪雨のために山や丘が崩れ、土砂が町や村を襲います。この地方では大都会であるレイテ島タクロバン市(人口22万人)は海に面しています。台風が直撃し、強風が吹き荒れ、4〜5メートルの高潮が襲いかかってきたら、持ちこたえるのは難しかったでしょう。20数年前にタクロバンに出かけたことがありますが、その時も台風がやってきて、国内線のフィリピン航空でマニラにもどるまで、2〜3日待機しなくてはなりませんでした。

 

  すでに報じられているように数千人から1万人近くの死者を数えることになるかも知れません。フィリピン国軍が輸送機や船舶をフル回転させて、医療部隊、兵士、支援物資を近くのセブから輸送していますが、その輸送機やヘリコプターにしても十分な数があるわけではありません。利用できる輸送機はせいぜい数機です。

 

  日本ではなにごとにつけ東京一極集中が問題にされますが、フィリピンのそれとは比べものになりません。16世紀後半に始まるスペイン統治期、19世紀末からのアメリカ統治期を通じて、常にすべての機能がマニラ首都圏に集中してきているので、レイテ島、サマール島でなにか起こった場合、マニラ中心のマスメディアは対処できません。東北大震災の時も、最初の数日間は被災の全体状況を把握できませんでしたが、今回のフィリピンではもっと深刻です。電話やインターネット回線がもともと脆弱な地域です。タクロバンには被災直後に、携帯電話回線会社の車両が運びこまれましたが、これは被災地で基地局として機能させるためです。

 

  それでも、フィリピンの希望の一つは民間の人たち、NGOがすぐに人を派遣し、支援物資を集めては次々と送りこむことです。フィリピン国内からの支援、海外からの支援が一刻も早く、被災地にとどきますように(2013年11月11日)。

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