留学・国際交流

「私にとっての留学とはなにか」

参加学生氏名:
村上 理
メジャー:
市民社会・国際協力論
入学年度:
2015年度
渡航年度:
2016年度秋学期
種  類:
交換留学(SAIMS)
渡航先国 :
インドネシア
企業・受入先:
Bogor Agricultural University Food Science・Human Ecology

こんにちは、私は総合グローバル学科3年の村上 理(むらかみ ただし)と申します。私は、インドネシア共和国のボゴールという地域にあるボゴール農科大学に、2016 年 8 月から 2017 年 1 月に在籍していました。その後は、留学中から続けていた現地企業でのインターンシップ(就業体験)を 3 月の帰国直前まで続けました。ボゴールは同国首都ジャカルタから 20 ㎞程度離れた場所にあります。日本でいえば、埼玉県のような場所です。

私がこの留学をした理由は大きく2つあります。
1 つ目は、インドネシア共和国への興味です。総合グローバル学科の授業でも度々取り上げられ、ASEANで一番の人口と国土面積を有するという点で、「今後人生におけるどこかのタイミングで、この国とは関わるだろうな」と感じました。そして、その国で実際に生活をすることで、どのような方々が、どのような場所で、どのような生活をしているかを知るために留学を決意しました。

2 つ目は、普段と違うことを学んで視野を広げたかったからです。現在に至るまで、いわゆる、文系学生であった私は、理系の世界を一切見ることなく人生を終えてしまうことに歯がゆさを感じていました。その結果、留学先では日本の大学では学べないような、食品化学の授業も取得しました。

渡航前

留学準備時には、大きく 2 つのことをしました。
1 つ目は、奨学金の確保です。
留学には渡航費と滞在費等が非常に負担となります。特に物価の高い国であるほど、必要となる費用も増大します。幸いにも、インドネシアの物価は低いことから、この懸念は解消されました。また、SAIMSという東南アジア渡航限定の留学制度のおかげで、渡航費の全額支給及び、滞在中は月7万円を頂きながら、学業に専念することが出来ました。インドネシアにおける7万円は、大卒初任給約2ヶ月分に相当するので、余剰資金は貯金やフィールドワークへの資金としました。私を含め、家計に不安があり、留学をためらっている方がいらっしゃれば、是非奨学金制度についてお調べすることをお勧めします。
上智大学は毎年数多くの留学生を送り出していることから、「返済不要の」奨学金制度が非常に充実しています。

2 つ目は、関連する授業の参加です。
現地での生活にいち早く適応する為に、インドネシア語の授業と総合グローバル学科で開講されている、インドネシアに関わる授業に参加しました。語学の授業ではインドネシア出身の先生から、同国の文化や政治についても学ぶ機会もあり、それを総合グローバル学科の学びに適応することが非常に多かったです。

渡航中

留学先の大学は、自然豊かなキャンパスで、寮の周りも自然にあふれていました。授業では環境学と社会学と食品化学の授業を取得しました。全部英語で開講されていることから、語学に不安はありましたが、先生にも生徒にとっても、英語が第二言語であったことから、お互いに気兼ねなく、わからない単語や内容が聞き合うことが出来ました。また朝 7 時開始、午後 3 時終了という完全朝方の授業スケジュールだったので、非常に健康的な生活を送ることができました。余談ですが、日本では値段の高いマンゴーなどのフルーツも、現地では 50 円ぐらいだったので、いつも朝ごはんはフルーツでした。インドネシア留学ならではの楽しみですね。

環境学と社会学については、ディスカッションの機会も多く、現地の学生と意見をぶつけ合いました。
また、本や授業だけではわからない、発展に伴う環境変化や、イスラーム化についての現地学生の生の声を聞く機会が多々ありました。
特に印象的だったのは、社会学の授業の一環として、農村で 3 日間生活した際に、高齢者の方々が「スハルト」という人物の治世を懐かしんでいたことです。何故これが、私にとって印象的だったのかを知りたい方は、是非総合グローバル学科の学びを通じて学んでいただけると嬉しいです。

私にとって、国際関係と地域研究の二つから立脚する、総合グローバル学科の学びは、留学中の様々な事象に対して、仮説を立てる上で非常に重要でした。例えば、インドネシアの GDP は成長しているのかという疑問が湧いたときに、この要因を地域研究で分析するのであれば、政治経済等、インドネシア国内での要因を考慮することができます。一方で国際関係から分析するのであれば、マレーシアやオーストラリアなどの周辺国やもっと広い国々との関係から要因を考慮することができます。地域に根差した視点、国際関係という大局での視点、現代においては両者での視点がいかなるものにも不可欠ではないのだと私は考えます。留学で得た最大の成果物は、この自分なりに仮説を立てて、それを検証するというプロセスを体に染みつけたことだと感じています。もっと簡単に言えば、「本や新聞でこんなことを知ったのだけど、実際はどうなの?」と、周りの方々に聞くなど、自分で直接足を運んで確かめるといった思考回路が出来上がりました。

帰国後

帰国後も、大学、特に学部のサポートは非常に手厚く、インドネシアで取得した単位の換算についても、迅速に対応していただきました。この点につきましては、非常に感謝がつきませんし、この文章をご覧になっている皆さんにも、総合グローバル学科に入学していただき、留学という選択肢を推奨できる最大の要因であります。

また、現地で学んだことを授業内外で、先生や友人と共有する過程で頂くアドバイスや指摘は、現地について、より深い学びを追求しようとするモチベーションになり、レポートなどの成果物もより高い品質を得ることが出来ました。例えば、2017 年に、インドネシアの首都ジャカルタでは州知事選挙がありました。この選挙についてインドネシア国内が紛糾したのですが、その際に先生方に意見を求めると、様々な新たな視点を得ることが出来ました。また友人の中にも中華系インドネシアにルーツを持つ方がおり、その方からの意見も印象的でした。
現在就職活動を控え、直近の将来策定を行う時期となっていますが、その際にも私は、将来的にインドネシアと関わる機会のある仕事を希望するつもりです。

仲間達との辛い料理パーティー

週末の習慣であった農作業のお手伝い

FGS を目指す皆さんに伝えたいこと

この文章をご覧の皆様にお伝えしたいのは、あくまで留学というのは目的を達成するための手段であるということです。留学をしなくても、様々な地域でのフィールドワークや、国内での研究会やゼミを通じて、深い学びを得ている友人が総合グローバル学科には多数在籍しています。つまり、総合グローバル学科には、留学をしなくても、世界について学びを深める機会は多数存在しているということを強くお伝えしたいです。そのような状況で、私が留学を選択した理由は、あくまで自分にとって、インドネシアについて持つ疑問を解決するのに、留学という手段が最も的確であったからです。この文章をご覧の皆様には、留学という選択肢は勿論、ゼミや課外活動という幅広い選択肢を持ったうえで、大学生活においてあなたにとっては何が重要なのか、意志決定を行っていただけると幸いです。 総合グローバル学科は今年で設立 4 年目の学科です。まだまだこの学科には、より多様な学生や先生同士が交流し、化学反応を起こすことが不可欠です。ですから、留学には興味がなくても、もし世界で起きている問題に何かしらの興味があり、その問題を現地と世界という両方の視点で勉強したい、とお考えであれば是非、総合グローバル学科を受験することをお勧めしたいです。

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