留学・国際交流

「わたしの過去と未来をつなぐ、ジュネーブ留学」

参加学生氏名:
川村 ひなの
メジャー:
市民社会・国際協力論
入学年度:
2017年度
渡航年度:
2019年度秋学期~2020年度春学期
種  類:
交換留学
渡航先国 :
スイス
企業・受入先:
ジュネーブ大学 社会科学部(Faculté des sciences de la société)

私は総合グローバル学部で、「移民・難民との共生」をテーマに学び続けてきました。このテーマに関心を持ったきっかけは、高校時代でのフランス留学です。フランスのとある公立高校へ留学した私はクラスメイトのSさんと仲良くなり、話をしてみると彼女はアルジェリアから宗教的理由でフランスに逃れてきた背景がある、いわゆる「難民」であることがわかりました。私は、同年代のクラスメイトが抱える事情に衝撃を受け、それ以降「難民問題」に関心を持つようになり、上智大学の総合グローバル学部に入学しました。

大学では、国際関係論、地域研究、市民社会論などさまざまな視点から「移民・難民との共生」というテーマに触れることができ、特に市民社会論の授業を受ける中で、ローカルな市民社会組織の日々の実践が「共生」の実現に不可欠だと感じるようになりました。海外の事例などにも触れるうちに、「高校時代にかつて住んでいたヨーロッパではどんな市民による実践があるのだろう」というヨーロッパの移民社会への興味関心も高まり、フランス語力をより向上させたい気持ちもあったため、「国際都市」と呼ばれるスイスのジュネーブへ行くことを決めました。

留学を決めてからは、まずフランス語の感覚を取り戻すため、フランス語のラジオを聞いたり資格試験の受験をしたりしていました。また、留学先であるジュネーブは物価が高いと知り、日々の生活費を賄うための奨学金を得ることにしました。奨学金は「業務スーパージャパンドリーム財団」というところから頂いたもので、留学後には奨学生同士で意見交換する場もあり、留学全体を通して支えていただきました。

留学先のジュネーブ大学では社会学を専攻し、移民・難民に関する授業やジェンダー研究・ポストコロニアル研究にも授業で触れました。FGS でもジェンダー論の授業を受けたことはありましたが、ジュネーブ大で特に印象に残った授業は「ジェンダーと、身体と性の社会的構築」という科目です。一つの科目であらゆる種類のジェンダー研究に触れ、歴史学的視点から人類学的視点、社会学的視点、医学的視点などさまざまな視点から社会のジェンダーシステムを学びました。この授業を通し、現在世界各地で盛んに行われているフェミニズム運動を知ることができ、それと同時に日本のジェンダーシステムの問題点を考えたりすることもできました。

勉強以外の面でも貴重な体験をしました。まず、私は留学生が多く住んでいる学生寮で生活していたため、共同スペースで一緒に料理をしたりしながら、多くの留学生と政治や社会について語り合うことができました。また、国際女性デーの際にはジュネーブの街中で市民によるデモがあり、プラカードを友達と自作するなどクリエイティブで楽しい「抗議行動」の雰囲気に驚きました。私はフランス留学中にもデモ行動に参加したことがありましたが、フランスもスイスも参加する市民がとても熱気を帯びている印象で、日本のデモ行動にもいつか参加してみたいと感じるようになりました。

留学後は、留学中には挑戦できていたことが「日本ではできない」という言い訳をせず挑戦する、という目標を掲げ、積極的に市民活動に参加するようになりました。もともと「移民・難民の共生」というテーマに関心を持ち大学で学んでいましたが、ただ座学で学んでいるだけでは「共生」は実現されないと改めて気付いたからです。具体的には、外国人労働者を支援する NPO に入って抗議行動に参加したり、「入管法改正案」が出された際に何度も国会前に行って座り込みの抗議行動に参加したりしました。これらの実践を座学に繋げるべく、卒業研究では「日本の入管制度」をテーマに教材を制作しました。教材は、ゼミのプロジェクトの一環で行った仮放免当事者へのインタビューを証言にしたものを活用し、日本の市民が問題を「自分ごと」に捉え、いかに行動すべきか考えられる設計になっています。

このように、フランス留学という私の過去の経験から芽生えた上智大での学びへの意欲と、ジュネーブという場所への関心が、今回の留学でのさまざまな体験を導き、それらの体験がさらに留学後の学びを発展させました。私の過去と未来を繋いだジュネーブ留学を支えてくれた全ての人々に、改めて感謝いたします。

FGS を目指す皆さんに伝えたいこと

FGSは非常に自由度の高いカリキュラムになっています。だからこそ、自分で学びをデザインしなければならず、必然的に主体性が求められます。大学に入り、FGS の授業を受けてから主体性を育てていくことはもちろんできると思いますが、できれば大学入学前の今から、興味関心のあることに目を向け主体的に行動するという姿勢を育んでいって欲しいです。主体的な姿勢があればきっと、FGSでの学びは大学時代を通して発展していくと思いますし、大学以外の場や人々にも積極的に出会うことができると思います。「大学以外の場」というのがもし留学だとしたら、ぜひ留学前の興味関心と留学後のアクションをつなげるような体験をしてきてください。FGS留学体験記で報告を読むのを楽しみにしています!

Neuchâtel という地域へ旅行し、留学生仲間と登山

国際女性デー(3/8)に留学生仲間とプラカードを自作

自作したプラカード(それぞれの言語で「姉妹愛」を書いた)

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