私たちの生き方の選択や、その方向性を定める政治的な決定は、ローカルなレベルならば地方政治、ナショナルならば国政の場でなされてきました。グローバル化した今日では、環境問題、食品の安全の問題などを通じて、国境を越える現象が私たちの人生に直接影響を及ぼすようになりました。さらに、私たちが何を食べて何を着るかという日常の何気ない消費者としての選択が、遠くの国の生産者の生活に大きな影響を与えることもあります。自分の快適で幸福な生活のために、遠い国に住む生産者である他人の生活を踏みにじりたくないと思っても、地球規模の政府は存在せず、市民の政治的意志を反映させる回路もありません。こうした現実に対して、市民がどのようにみずからの政治的な意志を表現し、決定に参加すべく試み、その成果はいかなるものかを明らかにするが私の研究テーマです。皆さんも、食べ物や着る物などをつうじて、日常生活で外国となんらかの形でつながったグローバルな相互依存を生きています。このようなグローバルな市民社会の成り立ちを学ぶことで、国境を越えた相互依存のよりよいあり方を模索してみませんか。