ビジネスの世界でも、全体を見渡す「鳥の目」、複眼的に見る「虫の目」、流れを読む「魚の目」が大事だとよく言われますが(元々は経済学者の伊東元重先生の言葉です)、視点のダイナミズムが大切なのはビジネスに限ったことではありません。今や私たちの身の回りのすべてが世界と繋がっていると言えるほど、私たちの暮らしはダイナミックです。その、目もくらむような展開の複雑さを見通すことのできる視座を養うのが、総合グローバル学部の目標です。私が専門にする人類学は、世界の人々の暮らしに向けた細やかな目線から出発して、仰ぎ見るように人という種のありようの全体を考えようという分野であり、皆さんが関心を持つのが政治であれ、経済であれ、文化であれ、部分から全体を見通すという方向での考え方のヒントを与えてくれるはずです。そして地域としての専門である中東は、今日の世界の動きの一端を特徴的に窺い知ることができるというだけではなく、その長い歴史や古い伝統も含めて、ほどよく皆さんの常識を揺さぶってくれることが期待できる地域です。ぜひ、アジア、中東、アフリカの現実を通して、世界の過去と現在と未来について一緒に考えてみましょう。