授業紹介

アジア・アフリカ諸語と
グローバル・スタディーズ



総合グローバル学部では英語以外の言語の学習を選択必修としていますが、中でもアジア・アフリカの諸言語を学ぶことを推奨しています。上智大学では、中国語、コリア語に加え、インドネシア語、アラビア語、フィリピン語(以上3言語は上級まで)、ベトナム語、カンボジア語、タイ語、ビルマ語、ヒンディー語、ペルシア語、トルコ語、スワヒリ語(以上8言語は中級まで)の11のアジア・アフリカ言語が開講されています。

アジア・アフリカ諸語のすすめ

総合グローバル学部の学生は、学科科目として英語以外の言語を一つ、4単位まで学ばなくてはなりません(選択必修となっています)。その際、アジア・アフリカ諸語と呼ばれる13の言語のいずれかを選択することを学部は推奨しています。アジア・アフリカ諸語の学習は「地域に立脚したグローバル・スタディーズ」の鍵といえます。

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アジア・アフリカ諸語が重要な理由

アジア・アフリカ諸語がなぜ重要なのかといえば、上智が特徴とする地域に立脚したグローバル・スタディーズにとって、英語などを仲立ちとせずに、地域の人々の考えを直接に知ることのができるのが本当に大切だということがまずあります。実際、皆さんの学びの到達点として卒業論文・卒業研究を制作するのに、研究対象とする地域の言語がある程度まで理解できるのとまったく理解できないのとでは出来映えには大きな差が生じます。

第2に皆さんの将来の言語学習にとって、早いうちに英語などヨーロッパで使われてきたのとは異なる言語を学んだ方が、言語を獲得する能力一般に高い効果があるという点があります。言語を習得する基礎的な能力(ランガージュ)の活性化にはより同じような言語を学ぶより、より多彩な言語を学ぶことが望ましいとされます。

アジア・アフリカ諸語の履修

もちろん、ヨーロッパ諸語を学びたいという気持ちも否定されるものではありません。しかも、アジア・アフリカ諸語の多くは初級が1クラスしかないため、4単位の取得には最低2年がかかります。そうした事情を考えたときには、選択必修の言語にはヨーロッパ諸語を選び、第3の言語としてアジア・アフリカ諸語を学ぶという選択肢も有効といえます。大切なことは、言語は習得できて初めて意味をなすので、単位の取得を目的としてではなく、自分が今できる範囲でどの程度までどの言語をどのように学ぶかを、自分の学びや将来のために構想し、あくまでその一環として言語の授業の履修を考えることです。

アジア・アフリカ諸語を教える先生方の多くは(そして総合グローバル学部の教員の多くは過去にそれらの言語のクラスを担当した経験を有しています)、アジア・アフリカ諸語の美しさや魅力をよく知っています。あるいはそれこそが、学部がアジア・アフリカ諸語の学習を勧めるもっとも大きな理由かもしれません。

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アジアの言語

コリア語

日本の隣に位置する朝鮮半島で話されていることばは、「朝鮮語」「韓国語」「コリア語」のように複数の名称がありますが、上智大学では「コリア語」という名称を使用しています。

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「ハングル」という固有の文字

コリア語は「ハングル」という固有の文字で表記されます。ハングルは、1443年、朝鮮時代第4代目の「世宗大王」が民のために創った文字を意味する「訓民正音」と呼ばれています。誰が、いつ、どのような目的で創ったかが明らかな文字は、世界的にも極めて稀です。韓国では世宗大王がハングルを頒布した日である10月9日をハングルの日としています。

写真:(右)訓民正音を説明した漢文の解説書、(左)訓民正音の説明(出典:韓国民族文化大百科事典 http://encykorea.aks.ac.kr/)

コリア語と地域研究

コリア語は、大韓民国・朝鮮民主主義人民共和国を中心に、中国・日本・アメリカ・旧ソ連地域に、約7500万人の話者がいます。日本語とは語彙や語順に共通点が多く、日本語を母語とする人々にとって、もっとも親しみやすいと言語の一つです。子音と母音をあらわす記号が合理的に組み合わせられており、その仕組みを理解すればすぐに覚えることができます。2002年のサッカー日韓ワールドカップの開催以降、日本にもハングル表記の標識が増え、韓国ドラマ「冬のソナタ」(2002)がNHKで放映されたことをはじめ、K-POPの人気とも相まって韓流ブームが起こりました。
現在、韓流の人気がさらにグローバル化し、世界各地でコリア語を学ぶ人たちが増えていますが、コリア語を身に着けることによって、地域としての「朝鮮半島」を含む「東アジア」を総合的に把握するきっかけにもなります。朝鮮半島では、南と北、そして海外に離散したコリアンの言葉を網羅する「ギョレマル大辞典」の編纂が行われており、多様なコリア語話者の暮らしを記録する試みが始まっています。総じて、コリア語の習得は、諸地域における様々な関係性や歴史性のなかで新しい世界を見渡し、深い理解を目指す地域研究の扉を開いていくことに他なりません。

写真:朝鮮半島の南北で使用されている国や地域名を記した「ギョレマル世界地図」(出典:「ギョレマル大辞典」南北共同編纂事業会 https://www.gyeoremal.or.kr/

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インドネシア語

インドネシア語はインドネシアの国語ですが、マレーシア、シンガポール、ブルネイ、タイ南部など広い地域で使われている「マレー語」とほぼ同じです。シンプルで、多くの人と話せる言語です。

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インドネシア語とマレー語

今インドネシア語と呼ばれている言語は、長い間東南アジアの海をつなぐ交易で広く使われてきたマレー語がインドネシアの国語として発展したものです。特に15世紀ごろから東南アジアにイスラームが本格的に伝わる中で、アラビア文字で書かれるようになり、タイ南部からフィリピン南部までを一つの「マレー世界」としてつなぐ言語ともなりました。オランダやイギリスによる植民地支配の下でアルファベットでの表記が一般的になりましたが、アラビア文字で書かれたマレー・インドネシア語(ジャウィ)もこの地域のイスラーム教徒にとっては文化的に重要な存在であり続けています。日本語の古典と現代語に相当するような言語の変化はないので、インドネシア語を学び、さらにアラビア文字を学べば、何世紀も前にマレー語で書かれた文献も読めるようになり、世界が大きく広がります。

写真:アラビア文字表記のマレー語(ジャウィ)で書かれた古い宗教書

インドネシア語の特徴

たくさんの人々が自分の母語に加えて使う共通語として発展してきたマレー・インドネシア語は、とても学びやすい言語です。アルファベットでほとんどローマ字読みで発音ができ、文法もとてもシンプルなので、すぐに簡単な自己紹介をすることも可能です。例えば、「私の名前は〇〇です」は “Nama saya 〇〇”, nama(ナマ・名前)とsaya(サヤ・私)と自分の名前を並べるだけです。マレーシアの華人など、第二言語として使う人も多いので、話す人によって発音や文法が違うことも許容されやすく、間違いを恐れず気楽に話すことができます。インドネシアでもマレーシアでも、都市部では英語で話せる人も多いですが、農村部では英語は通じない場面も多々ありますし、新聞や公的な文書なども多くはインドネシア語やマレー語で出されます。インドネシア語の映画やドラマ、音楽などのポップカルチャーもとてもユニークで面白いです。上智大学のインドネシア語は初級から上級まであるので、メディアも活用して使いこなせるようになってください!

写真:インドネシア人とマレーシア人が混ざってインドネシア語で話している様子

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カンボジア語

カンボジア語は主にカンボジア国内で使用されていることばで、カンボジアの人口は約1,530万人(2019年カンボジア国勢調査)です。日本国内にも約16,300人弱が在留し(2021年12月出入国在留管理庁)、その3割が神奈川県を中心とした関東地域で生活しています。カンボジア語が理解できれば、あなたの身近にいるカンボジア語を話す人たちのことに気が付くかもしれません。

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発音、文法、文字の特徴

カンボジア語を学ぶ人にとって、発音や文法は比較的平易に感じられ面白いように達成感が得られるかもしれません。初めて旅先のカンボジアでカンボジアの人とカンボジア語でコミュニケーションが取れた時、たとえば「ミエン ソンサー(恋人がいます)」や「カフェー タック ドッホコー タッコー(冷たいコンデンスミルク入りコーヒー)」が通じたときの嬉しさは何物にも代えがたい喜びです。しかしその楽しい気持ちのまま大学でカンボジア語の授業に出た途端、見慣れぬ形の文字を目の前にして一気に学習意欲が低下してしまう人も少なからずいます。発想を変えてみましょう。一見複雑に思える33の子音文字と23の母音記号はその組み合わせをゲーム感覚で覚えれば、あとは語彙(綴り)を増やすだけです。既にコンピューター上の文字コードも統一され、スマートフォンやパソコンで入力可能になったこともデジタルネイティブ世代の学習意欲を後押ししています。

写真:毎日掲載される新聞の干支占いを読むのも楽しみのひとつ(『ラスメイカンプチア』2006年3月2日付)

上智大学とカンボジア

上智大学とカンボジアの繋がりは長く深く、直接的には1979年12月に始まったソフィア・ミッション「インドシナ難民に愛の手を」及びその後の難民キャンプへの支援活動を端緒としています(もっと昔に遡るならば、16世紀頃イエズス会の宣教師たちがカンボジアへ派遣されたことが記録に残っています)。以来上智大学は教職員と学生が、社会奉仕活動を通じてカンボジアの人々と深く関わってきました。本学が提供しているカンボジアに関わる多様な講義科目は、相手の歴史や文化への理解を踏まえて現地での実践的活動に繋げてもらいたいという希望が前提にあります。語学科目としてのカンボジア語(初級、中級)もこのような意図のもとで開設されました。カンボジア語を通じて、あなたもソフィア・ミッションの扉の向こうへ行ってみませんか。

写真:アンコール・ワット修復活動も本学の取り組みのひとつ(三輪悟氏撮影)

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タイ語

タイ国内の公用語です。とはいえ、ラーオ語(ラオス)は文字や発音もよく似ていますし、クメール語(カンボジア)由来の言葉も多くあります。東南アジア大陸部言語の入門には、モッテコイです!

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タイ語の魅力

タイ文字には、子音が44字、母音が32種類あります。加えて、5つある声調を示す記号が4つあります。文字が多い!声調がわからない!と悲観するなかれ。実は取っ付きやすい言語でもあります。「です」「ます」のような丁寧語があり、語尾に「カ」や「クラップ」を付けると、目上の人たちと話す時も問題ありません。語順としては英語に近いのですが、時制などによる語彙変化は無いし、そもそも時制に細かくありません。主語もほぼ省略します。受動態もほとんどありません。また、「行った方がいいよ」「どうしたらいい?」「とても良いね」などの「いい」が全て「ディー(良い)」で共通していたり、「私」や「あなた」のような人称がたくさんあったり、日本語と感覚が似ている部分も多いです(英語ではそうなりませんよね)。単語の組み合わせによって意味が変わる熟語タイプが多く、比較的少ない語彙で会話が楽しめます。ぜひタイ語に触れてみて、アルファベット以外の文字の面白さ、声調言語の楽しさ、可愛らし文字を堪能してみてください。

写真:さまざまなフォントのタイ語で書かれる店の看板

タイ語を通じてタイを知る

言語は文化を反映します。例えば、「冷たい心」と言った時、日本語なら冷淡な人など、ちょっと悪い意味を思い浮かべるかもしれません。しかし、タイは逆です。冷静な人という意味で、良い意味になります。これは、熱帯気候のタイにおいて、「冷たい」ことは即ち良いこと、心地いいことだからです。また、王語や僧語などがあったり、身分によって使用すべき言葉が決められている点などは、昨今タイで課題になっている「社会階層問題」に繋がることかもしれません。言語を学ぶことは、興味のある国や地域の文化を知る入り口になります。タイに興味のある人は、ぜひ一度タイ語に触れてみてください。タイの人々の考え方や価値観の一端が見えてもっとタイを知りたくなったり、逆に自分の常識に疑問を感じたり、いろんな発見が待っているでしょう。

写真:2020年のデモの一幕。タイ語や英語で、政治や社会に求める改革について記入している

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ビルマ語

ビルマ語はミャンマー連邦共和国の公用語であり、多民族を抱える国家における共通語でもあります。アルファベットではなく、視力検査の時の記号のような丸い文字を使って書き表します。

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ミャンマーとビルマ語

ミャンマーは東南アジア大陸部の西側に位置しており、インド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接しています。ビルマ語は、東南アジア大陸部から中国、インドに広がるチベット・ビルマ系言語の一つになりますが、使われるのはミャンマー国内のみとなります。[写真:ライトアップされたシュエダゴンパゴダ]

ビルマ語の特徴

ビルマ語の語順は日本語と似ており、主語、目的語、動詞の順に並びますので馴染みやすい言語です。ビルマ文字はアルファベットではなく、視力検査の時の記号のような丸い文字を使って書き表します。発音には、日本語では区別しない有気音と無気音があり、中国語のような声調もあります。外国人である私たちにとっては発音が難しくても、前後の文脈から理解可能なことが多く、気にするほどではありません。[写真:道路名の標識。英語とビルマ語の両方で書かれている]ビルマ語を学べる大学は日本全国でもほんのわずかですので、貴重な機会を生かして学んでいきましょう。

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ヒンディー語

ヒンディー語はインドの公用語の一つです。インドにはヒンディー語の他に憲法上で認められている22の言語をもって行政や教育が行われています。

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ヒンディー語と南アジアの諸言語

インドには公的に認められた22の言語がありますが、日常生活の言葉はその数十倍もあります。しかし、インドで一番多くの人が利用する言語、あるいは多くの人が理解できる言語といえばヒンディー語です。ヒンディー語とサンスクリット語は一つのルーツを持ち、ヒンディー語とアラビア語が混ざったウルドゥ語もルーツが同じなので、インド、パキスタンや中東の人々とコミュニケーションをとるためにもヒンディー語は役に立つでしょう。

ヒンディー語を使って

ヒンディー語が使えると、ボリウッド映画を楽しむこともできます。また、ヒンディー語およびヒンディー語に近い言語が使われているインド、パキスタン、中東地域の旅行に役立つだけでなく、世界的ビジネスにも役立つといえるでしょう。ヒンディー語はまた、アジアだけではなく、欧米など世界に広がるインド系の移民の人々(インド・ディアスポラ)の第一言語としても重要です。日本にもそうしたインドにルーツを持つ人々がたくさん住んでいます。世界のインド系の人々について学び、つながるための鍵となる言語といえます。

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中東・アフリカの言語

アラビア語

アラビア語は国連公用語のひとつでもあり、世界中のアラビア語話者は3億人から4億人いるとも言われています。イスラームの聖典クルアーンはアラビア語で書かれているため、中東地域で広く話されているのみならず、イスラームの信仰がさかんな東南アジアなどでも学ばれている言語です。右から左に書くアラビア文字が使用されているため難しい印象がありますが、文字は26のアルファベットで構成されているので、一度覚えてしまえば漢字のような難しさはありません。標準語にあたる正則アラビア語に加えて、各地域の方言の多様性に富んだ言葉です。

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アラビア語以外の言葉への翻訳を認めないクルアーン。それは、預言者ムハンマドが神からの啓示を受けた言葉がまさにアラビア語であるからです。7世紀から連綿と受け継がれるアラビア語は、装飾文字のようなビジュアル面での美しさに加えて、韻を踏んだ詩の流れるような響きの美しさも特徴のひとつです。かつて世界の中心であったこの地域の言語は、他の言語にも影響を与えてきました。たとえばアラビア語で「砂糖」を意味する「sukkar(スッカル)」は英語の「sugar」の語源となったとされています。アラビア語で「米」を意味する「ruzz(ルッズ)」は日本語の「うるち」の語源と言われています。文字、文法、口語の多様性のために難解と思われがちですが、基本的な文法と語彙を組み合わせれば、かなり話せる言語でもあります。上智大学では、初級、中級、上級のコースが設置されていて、文字や文法、発音などの初歩から高度な内容までを学ぶことができます。中東地域を知るためにも、そして欧米地域の移民文化を知るためにも、アラビア語を学んでみませんか?

グローバル化の時代をむかえ、中東地域以外で暮らすアラビア語話者も多くいます。パリやロンドンの街角で、アラブの食材店に立ち寄れば、たちまちアラビア語の世界に引き込まれます。またアラビア語の看板を目にすることも少なくありません。逆に、中東諸国で暮らす外国人も少なくありません。とくにアラビア湾岸の産油国には多くの外国人労働者が出稼ぎに来ています。レストランやお店ではどこでも英語が使えるほか、たとえばレストランのメニューにもアラビア語と英語が併記されるのが一般的となっています。

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トルコ語

上智大学で教えられるトルコ語はトルコ共和国の国語であるトルコ語ですが、トルコ語はより広くテュルク系諸語と括られる言語グループに属しており、テュルク系諸語はバルカン・東欧、ロシア、イランなどで少数派言語として息づいている他、コーカサスや中央アジア、新疆ウイグル自治区では多数派の言語です。またドイツを中心に欧州に大きな移民街がありますが、近年はオーストラリアやアメリカ、そしてもちろん日本も含め、世界各地にトルコ出身移民が広がっており、世界各地でトルコ語を話すチャンスがあります。上智大学では初級と中級が開設されていますが、初級を終えた時点で、簡単なトルコ語の文章の読み書きが可能になります。中級ではより高度な文章の読み書きや会話を習得できます。総合グローバル学部には自主研究という授業があり、これまでに何人もの学生がトルコ語講読の目的で履修をし、トルコ語文献を読んで、卒論の構想や執筆に役立ててきました。学部のカリキュラムを上手に使って利用すれば、トルコ研究をかなり深く進めることができます。

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アジアと欧州の架け橋を体現するトルコ語

現代トルコ語は、アタテュルク期の文字改革の結果、中東諸言語のなかでは珍しくローマ字で表記されます。また、一般にウラル・アルタイ語族に分類され、シルクロード付近の諸言語、つまりテュルク語系諸語、モンゴル語、コリア語、そして日本語と多くの共通の特徴を有しています。なにより語順が同じであり、名詞に助詞的な要素を付け加えて格を表すこと、日本語より子音と母音が少し多いけれど発音がしやすいこともあり、日本語話者には大変に学びやすいです。他方で欧州系諸語のように6種類の人称変化形があります。カタカナ表記の外来語が日本でも氾濫するのと同様に、フランス語を中心に英語とも共通する言葉が多く輸入されてきた他、歴史文化的交流を反映してアラビア語やペルシア語の文法要素や用語も多く、まさにアジアと欧州の結節点としてのトルコを言語としても体現しているといえます。(写真は、欧州側の旧市街と新市街を結ぶガラタ橋。週末は太公望で賑わう。)

交換留学提携校 がトルコにあります

上智にはトルコに交換留学の提携校があります。イスタンブル・ビルギ(Bilgi)大学はイスタンブル中心部の観光地・繁華街である旧市街と新市街の両方に程近く、最近は大学脇にトラムが開通したことから、より便利になりました。ビルギ大学ではすべての講義が英語で提供されていますが、トルコ語を知っていると教室外の友人関係やキャンパス外の日常生活がより楽しく豊かなものになること請け合いです。(写真はビルギ大学の学食の様子。)

写真 イスタンブールビルギ大学の食堂のメニュー

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ペルシア語

ペルシア語は、アラビア語やトルコ語と並ぶ中東主要3言語のひとつです。中東の大国イランの公用語となっていますが、アフガニスタンで話されるダリー語やタジキスタンの公用語タジク語もまたペルシア語の仲間です。さらに、たとえばインドのヒンディー語やパキスタンのウルドゥー語などとも近縁関係をもつ言語です。

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東洋のフランス語

言語学的にはインド・ヨーロッパ語族のイラン語派に属する言語ですが、7世紀以降、イラン地域がイスラム圏に組み込まれたことでセム系言語であるアラビア語の強い影響を受けました。そのため、表記にはアラビア文字を使っていますし、アラビア語の語彙もたくさん入っていますが、当然のことながらインド・ヨーロッパ系の語彙も少なくありません。一つ例を挙げれば、兄弟のことをペルシア語ではbarādarといいますが、これは英語のbrotherなどと語源は同じです。
母語として各地で話されるほかに、かつてはムガル帝国やオスマン帝国などを含むきわめて広大な地域において使われていました。その美しい響きから「東洋のフランス語」とも言われ、ペルシア語を母語としない人々にとっても教養としてペルシア語やペルシア文学に精通することは、エリートのたしなみと考えられていたからです。かつての日本における漢文に近い存在といえばいいでしょうか。[写真1:ある地方都市にあるマドラサ(イスラーム社会の伝統的高等教育機関)の入り口]

ペルシア語学習

ペルシア語は、アラビア文字で表記されるので一見近づきがたいところがありますが、インド・ヨーロッパ系の言語ですので、文法などは英語など皆さんが知っている言語と共通するところが少なくありません。他方で、述語が文末に来ることも多く(常にではありません)、その点でも、日本語話者にとってはとっつきやすい言語です。日本語との対訳の本格的なペルシア語辞典もありますので、文字や文法に慣れてしまえば、やさしい文章を読み進めるようになれるまでそれほど時間はかかりません。上智大学のペルシア語講座は初級と中級からなっていますが、中級まで終えれば、さらに自分でペルシア語学習を進めていく自信がつくでしょう。[写真2:イランの町中の看板も読めるようになります]

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