留学・国際交流

人生を大きく変えた1年間

参加学生氏名:
寺門 舞
メジャー:
国際政治論
入学年度:
2018年度
渡航年度:
2021年度秋学期~2022年度春学期
種  類:
交換留学
渡航先国 :
アメリカ合衆国
企業・受入先:
San Diego State University

渡航前

私が留学を決断した背景には高校時代に経験した悔しい想いがありました。高校生の時に短期留学を経験した私は、当時海外文化や英語に興味はあったものの全く英語を話すことができず、友達はおろかホストファミリーとすら話すことを怖がってしまうほどでした。本当は話したいし仲良くなりたいと思っていても、言葉が違うだけでこんなにも自分が変わってしまうことに悔しさを覚え、大学では留学してこんな自分を語学面からも内面からも変えたいと強く思ったことが最初のきっかけです。しかしながら、大学に入学した当初の私はサークル活動に熱中し、実を言うと留学出願締め切りの本当に直前まで、サークルを取るか留学を取るか迷っていました。当時の私にとってどちらも譲れないくらい大切で、限りある大学生活の中で成し遂げたいことでした。しかし上智大学の留学体験記を見るたびに自分もこの先輩たちのように全く新しい環境に飛び込んで自分の世界を広げたいという気持ちが抑えきれなくなっていき、そして悩みに悩んだ結果、本当に今しかできない経験はどちらなのか、私が出した答えは留学でした。

元々私は3年生の年にあたる2020年度秋出発の交換留学を予定していました。しかしコロナの影響により交換留学は中止になり、それからの約1年間は何度も出願し何度も中止になるという、不安で先の見えない日々を送りました。結果的に2021年度秋出発の留学は、休学をして卒業を1年遅らせた上で一か八かで挑んだラストチャンスだったのですか、ここに至るまでにゼミの担当教授や大学職員の方を始めとした多くの方々に相談に乗っていただきました。苦しくて不安な日々が続いた1年間でしたが、なぜ自分は留学に行きたいのか、留学に行って何を得たいのかを再確認できた、自分にとって有意義で必要な時間だったのではないかと今では感じています。2021年度の交換留学生として再び合格を頂いた後の留学準備期間も、ギリギリまで渡航できるか分からず、ようやく渡航の許可が出てからもコロナ禍の留学に関して前例がない中で、多くのことを2か月という期間で準備していかなくてはならない状況でした。私自身右も左も分からず心が折れそうになってしまっていた中で、大学職員の方々には多くの部分で支えていただき、特に留学担当の方にはいつも些細な質問にも親身になって答えていただいたり、丁寧なアドバイスをいただいたりしていました。ここまで学生たちの想いを一番に汲み取って考えてくださった方々が多くいて、私たち学生をたくさん支えてくださったからこそ、このコロナ禍の交換留学を実現できたのだと心の底から感じています。
留学先として私はアメリカのサンディエゴにあるSan Diego State Universityを選択しました。理由としては2点あり、第1に人種のるつぼとも言われるアメリカの中でも特にメキシコに近い場所に位置するサンディエゴでは、アメリカとメキシコの文化が混在する、サンディエゴ特有の地域性を見ることができるのではないかと考えたこと。そして第2に、SDSUの大学としての規模の大きさ(州立大学としては州内最大級)に惹かれたことが挙げられます。どちらも上智大学に通う限りでは経験できないことだと感じ、当都市、当大学への出願を決めました。また、アメリカの中でも特に生活費の高いサンディエゴで1年間過ごすにあたって、少しでも経済的負担を減らすために奨学金を利用しました。大学側からは多数の奨学金が紹介されていますが、その中でも私は業務スーパーの奨学金に応募しました。出願にあたって大学と教授、双方のご協力が必要だったのですが、どの大学担当者の方や教授も快く引き受けてくださり、無事奨学生として内定をいただくことができました。

留学中

留学には私は1つのテーマを持って挑みました。それは「何かを得るだけでなく、何かを与える存在になる」ということです。これを実践するために私は授業と課外の2点に注力しました。

まず授業に関して、留学先では上智大学で専攻しているアメリカ政治を学ぶべく政治学科に所属し、政治に関する授業を中心的に履修しながら、プレゼンや社会問題に関するディスカッションの授業など、自分から何かを発信できるような授業も同時に履修していました。特にプレゼンの授業では、あまり海外では知られていない日本文化を話題にいくつかのプレゼンを行い、クラスメイトに少しでも新しい視点を与えられればと考えていました。非ネイティブの私にとって英語でのプレゼンは決して容易なものではありませんでしたが、クラスメイトたちがどのプレゼンも楽しそうに聞いてくれたこと、そして最後のプレゼンが終わった時には「頑張ったね」とみんなが声をかけてくれた時のことは一生忘れません。

課外活動として私は、日本語クラスのTA(授業補助)を担当し、留学先の大学で日本語を学ぶ現地学生達の語学面での支援を行いました。20人ほどの学生で構成されディスカッション形式で進行していくクラスにおいて私は、文法や語彙面での支援だけでなく、トピックとなる日本文化や習慣について実体験に基づいた例を多く共有していました。また、学生達とは授業外でも集まる機会を設け、勉強以外のこともたくさん話し、彼らから見た日本の姿に多く触れることもできました。これら一連の経験の中で気付いたことは、今まで私はあまりにも日本の外の世界ばかりに目を向けていたということです。総合グローバル学部では世界について複数の視点を持って広く学んできました。自分の外の世界を学ぶことは純粋に楽しく、視野がどんどん広がっていく感覚は今でも大好きです。しかし今回のTAとしての経験を通して初めて外から見た日本を知り、今までずっと外を向いていた興味のベクトルを内向きにできたことで、改めて日本という国の魅力や特異性に気付くことができたと感じます。何かを与えたいという思いの下、始めたTAで、まさか自文化の理解を得るとは思いもしませんでしたが、この経験が世界について学び理解していく上で自らにまた新たな視点をもたらす良いものになったと考えています。

これらに加え、アメリカ各地への旅行も留学の中で印象に残っていることのうちの1つです。留学先の大学は留学生の受入が活発で、アメリカだけでなく世界各国から来た留学生たちと交友関係を築きやすい環境でした。こうしてできた友人たちとアメリカ各地を周り、都市ごとの違いに触れ、旅先でも新たな人に出会い、交友の輪が広がっていく経験は、留学でしか味わえない体験だと感じています。

留学から得たもの

留学を通して得たものの中に、「自分に対する理解」があります。留学先は自己紹介で名前、学部を言った後に、「で将来何がしたいの?」とすぐに聞かれるような世界でした。本当に私がやりたいことは何なのか、将来どんな人間になっていたいか、留学を通して嫌でも自分に向き合わないとやっていけない環境に身を置けたからこそ、こうしたことに対して本当の意味で考えていけたのだと思います。そして、様々な人に出会い、多様な考えに触れ、異なる価値観を知っていく中で、今までの自分は知らず知らずのうちに敷かれたレールの上を走っていたのかもしれないと気付くようになりました。何よりも大切なことは「自分はどうしたいか」という自分軸であるという考え方は、どこか他人の目や意見を必要以上に気にしてしまっていた私にとって、留学中に得た最大の学びであると言えます。

また、留学を通して自分の世界が大きく広がったことも間違いありません。中でも交友関係の幅は、留学前の私とは比べ物にならないほど大きく広がり、自分の視野をさらに広げる1つの要因となりました。ここで築いた友人関係は今でも交流があり、私にとって一生モノの財産です。今春から私は社会人となり、今までのようには海外の友人のもとを訪ねるということが出来なくなるだろうと予想されます。しかしたとえ会う機会が減ってしまうとしても、私はこの留学を通して世界に広がった友人の輪をこれからも変わらずに大切にしていこうと心に決めています。そして今後の人生においても人との出会いやご縁を大事にし、仕事を通して更にその交友関係のネットワークを広げていくのが今の私の目標です。

FGSで留学を目指す皆さんに伝えたいこと

皆さんの中には私のように留学に行くかどうかまだ迷っている人がいるかもしれません。留学に限らず、大学で挑戦してみたいことがあれば怖がらずにまずその一歩を踏み出してみてほしいなと、私は思います。この留学という経験を通して私が身をもって感じた通り、自分たちの挑戦を支えてくれる人、想いを汲み取ってくれる人がFGSにはたくさんいます。是非自分のやりたいことにとことん向き合って、色んなことに挑戦してみてください。また、もし実際に留学に行くとなった際、まずはなぜ自分は留学に行きたいのか、何をしたいのか、その目的意識をしっかり持ってみてほしいです。英語を勉強したいのか、友人を作りたいのか、勉強したいのか、留学の目的は十人十色でその目的によって自分がどんな行動を選択すればいいのか、その判断軸が大きく変わります。良くも悪くも留学の経験を活かすか活かさないかは自分次第です。

最後に、私は留学に行って本当に良かったと思っています。1年間という長い月日を海外という全く新しい環境の中で過ごすことは、もちろん楽しいことばかりではありませんでした。しかしそうした辛いことも含めて、自分の人生に何倍もの厚みを持たせてくれたかけがえのない経験だと思いますし、「あの時留学を選択して良かった、諦めなくて良かった」と心の底から感じています。私にとってこの1年間は、自分の人生を大きく変える分岐点になりました。

皆さんがFGS生として過ごしていく中で、何か1つでも自分が本当にやりたいと思える何かに出会えること、そしてそれに向かって挑戦し実現していけるよう、陰ながら祈っています!素敵な大学生活になりますように!

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