コンフォートゾーンから抜け出す挑戦の日々
スウェーデンでの留学を決めた理由
私は大学3年の秋学期から約1年間、スウェーデンの西部に位置するヨーテボリ(Gothenburg)という街で留学をしています。スウェーデンを選んだ理由は主に二つです。一つは、ジェンダー平等において先進的と言われているスウェーデンにおいて、日常でどのような取り組みが実践されているのかを学びたかったためです。そして二つめは、環境先進国であるスウェーデンでのサステイナブルな生活を直接勉強したいと思ったからです。
今回の交換留学は私にとって初の長期留学だったため、渡航前の手続き等に戸惑うこともあり苦労しました。しかし昨年同じ大学に留学された先輩や大学の教員の方々などのお力添えをいただいたおかげで着々と準備を進めることができ、渡航日には高揚感を胸に日本を旅立つことができました。当時を振り返ると、渡航前に自らサポートを求めることが非常に重要だったと思います。
留学先大学での学び
冒頭でも述べたように、私はジェンダー平等について興味があったため、現地の大学では主にジェンダー平等と教育に関する授業を取っています。特に大きな学びとなったのは、講義内で自身の意見を持ち、発言することの大切さです。
現地で授業を受けていて私が驚いたのは、現地の学生や留学生の発言数の多さです。日本で授業を受けていたとき、私は「受け身」で講義を受けてしまっていました。講義の内容に対して自ら質問をしたり、発言をしたりすることに強い意識を向けられていなかったのです。しかし現地の授業ではディスカッションが授業の中に取り込まれていることが多く、自ら発言することが重要視されていると感じました。この経験をバネに、現在では積極的に意見を発言したり、ディスカッションでわからないことがあったら、恥ずかしがらずに質問したりするようにしています。今後も周りとなんとなく意見を合わせるのではなく、自分はどのように考えているのかということを能動的に意識し発言していきたいと考えています。
FGSでの学びを活かせていると感じる点は、社会問題を網羅的に捉える視点です。FGSでは地球規模の社会課題を、グローバルやローカルという複合的な視点で考えることの重要性を学んできました。例えばFGSの講義ではジェンダー平等を日本の視点のみから議論するのではなく、ヨーロッパや他のアジア諸国の事例も鑑みながら研究していました。そのような視点は留学先での授業でも活かせています。先述したように、現地の講義では留学生同士のディスカッションの機会が豊富です。その際に、一つの社会課題を「複眼的な視点」で議論することを意識していることで、ディスカッションに貢献できていると実感します。
留学生活がもたらした価値観の変化
留学をしていく中で、日を追うごとに様々な価値観を吸収しています。中でも印象的だったことが三つあります。一つは、現地の方たちが「休むこと」をとても大切にしているという点です。スウェーデンへ渡航する前から、現地の育休取得率の高さなどには関心がありました。しかし育休に限らず、ほとんどの現地学生が大学入学前にギャップイヤーを挟んでいたり、休学などで休むことが社会でタブー視されていなかったりすることも知りました。それらを踏まえ、私自身も社会や他人からどのように見られるかではなく、自分自身がどのような人生を歩みたいのかということを大切にし、その手段として「休み」が必要であれば肯定的に休むことや、時間に余白をもつことを実践したいと思いました。
そして二つめに自分自身の中で凝り固まっている「常識」を考え直すことの重要性も学びました。渡航前、私は大学卒業後すぐに就職する以外の選択肢を想定しておらず、卒業後は就職することが「常識」だと考えていました。しかし、現地の学生と交流する中で、彼ら自身がやりたいことや感じた価値観を尊重していると感じることが多々ありました。もしそれらの価値観が社会で「常識」とされていなかったとしても、彼ら自身の考えを優先している姿にとても刺激を受けました。そこで私も留学期間中はより視野を広げながら自身の将来設計をしていきたいと強く考えるようになりました。
三つめは、語学に対する捉え方の変化です。具体的には、英語はあくまでコミュニケーションの手段にすぎないと考えられるようになりました。留学当初は自分自身の英語を完璧にしようと考えてしまい、ついアクセントや文法の正しさなどを過度に気にしてしまうことが度々ありました。自分で思うように会話ができなかったときは必要以上に落ち込んでしまうことも少なくなかったです。しかし英語での会話を重ねていくうちに、自分自身の英語ではなく相手との会話や、「今この瞬間」を楽しまないともったいないと気付きました。そこから、語学はあくまでもコミュニケーションの手段にすぎないため、完璧を求めすぎないようにしようと思えるようになりました。もちろん向上心を持って語学勉強に励むことも大切です。ただ、最初から完璧を求めるのではなく、楽しむことを忘れずに自身の語学力を伸ばしていきたいと考えるようになりました。
FGSで留学を目指す皆さんに伝えたいこと
語学力に限らず、留学で得られる経験・学びの幅は限りなく広いです。異なる価値観に触れあったり、慣れ親しんだ日本という環境から抜け出しさまざまなことに挑戦したりする日々はかけがえのないものだと感じています。まるで、毎日新しい価値観のシャワーを浴びているような感覚です。
もちろん24時間365日楽しいことばかりではありません。自分の至らなさに嫌悪感を抱いたり、周りの留学生と比較して強い劣等感を抱いたりするときもあります。しかし、そのような「影」ともいえる経験があるからこそ、何か一つでも目標を達成できた「光」の経験をとてもありがたく感じることができ、言葉で表しきれない嬉しさに包まれます。
現在、少しでも留学に興味のある方は是非一歩踏み出していただきたいです。一生の財産になるような経験になると思います!応援しています!