「興味を追い続けた交換留学」
高校時代に北アイルランド問題のことを知り、なぜ人は自分のアイデンティティを守るために武力を使ってまで人と戦うのかということに興味を持ち、このテーマを学際的に学べるFGSへの入学を決めました。1 年生の頃から漠然と交換留学をして、自分の視野を広げたいと感じていましたが、様々な講義を通してナショナリズムや本問題のことを学ぶうちにより留学への意欲が強くなっていきました。
その結果、私が留学を決意した理由は、やはり大学生活を通してずっと興味を持って研究してきた北アイルランド問題を現地で学ぶことでより深く理解したいと感じたからです。そのため、上智大学と唯一アイルランドで交換留学協定を結んでいる Dublin City Universityに3年次の秋学期に1 学期間留学をしました。
留学前は現地での学びをより有意義なものにするため、専攻のマイナーに選択していたヨーロッパ研究に関連する講義や紛争に関する講義を受講し、ヨーロッパ地域の市民社会や紛争解決についての理論を学びました。 そしていよいよ出国の日が訪れ、私の留学生活が始まりました。当初はビザの取得や住む寮の変更など、勉強面以外でかなり苦労しましたが、最終的にはなんとか全て解決し、現地での生活に慣れることができました。 留学先の大学ではアイルランドの政治や市民社会など、研究に直接結びつくものからEUの歴史やヨーロッパのポピュリズムに関する講義まで広く学びました。今思い返してもEUの構成国の一つでもあるアイルランドでの学びは当事者の目から様々な問題を捉えられたのでとでも有意義だったと感じます。さらにクリスマス休暇を利用して、イギリス領北アイルランドのベルファストを訪れ、かつて激しい紛争があり、今も不穏な空気が漂う北アイルランド問題をよりリアルに感じることができました。
FGSではグローバルイシューをマクロとミクロ双方の視点から捉えるということを学べるので、その強みが留学先で本問題を学ぶときにアイルランドという国家とEUやヨーロッパなどといった地域の枠組みから複合的に見る際に役立ったと感じています。 このような研究に役立つ知識に加えて、留学を通して様々な価値観に触れ合うこともできました。 まず、私が留学したDublin City University は特にEU内からの留学生が非常に多く、受講した多くの講義で様々なバックグラウンドを持つ学生と共同で多くの課題やプレゼンテーションに取り組んで視野を広げることができました。また、講義の形式も日本と比べて教授とのディスカッションを通して行われることが多いため、なぜそう思うのか?ということをしっかりと説明する力も身についたと感じます。
学外活動ではダンスサークルに所属し、現地の学生のチームの一員としてイベントなどに参加しました。課題や小テストなどが多い中、かなり多忙な毎日でしたが、圧倒的に自分がマイノリティであるコミュニティの中でチームの文化を理解し、良いパフォーマンスを発揮できるように全員で一生懸命努力したことは今でも忘れられない経験です。
他にも、私は大学のキャンパス内にあるキッチンなどは共同の寮で約半年間暮らしたため、同じフロアに住んでいた学生と毎日コミュニケーションをとる必要がありました。そのような面でも外国語能力以外にも相手の文化を理解し、尊重する大切さを学ぶ良い経験ができたと思います。さらに半年間で多くの友達ができ、日々助け合いながら刺激の多い生活を送ることができました。
帰国後は留学先で学んだことをもとに研究の仕上げとなる卒論の執筆を進めました。その際でも実際に問題の当該地域に行ったという経験が、よりテーマに対して問題意識を持って取り組めたと思います。今後も留学先で学んだことを活かして様々な場面で相手を理解することを意識していきたいです。
最後に FGSを目指す皆さんに「問題意識を持つことの大切さ」を伝えたいです。FGSでは様々な理論や事象を勉強できますが、今自分が気になるテーマや問題意識が無いと、ただ膨大な情報を日々インプットするだけになってしまうと思います。しかしどんなに漠然としていて、たとえそれが途中で変わっても何か FGS で追及したいものを持っていると、どの講義でも必ず自分の興味にマッチしてもっと調べたい!と思う内容に出会えるはずです。また、自分の興味が FGSで学べる広い学問分野の中でたくさんの切り口から研究できることはとても面白いと思うので、まずは自分の興味から探してみることをおすすめします!