留学・国際交流

「大学生活と挑戦の留学」

参加学生氏名:
K.Y.
メジャー:
中東・アフリカ研究
入学年度:
2017年度
渡航年度:
2019年度秋学期~2020年度春学期
種  類:
交換留学
渡航先国 :
リトアニア
企業・受入先:
Vilnius University(Institute of International Relations and Political Science)

私は高校生の時から国際的な仕事がしたい、そのために海外で勉強したいと思っていました。歴史が好きで、国際協力や地域研究にも興味があり、語学の勉強も好きだったので、留学制度の整っている上智大学で、より広くいろいろなことを学べると思った FGS に進学しました。そして3年生の秋学期からリトアニアのヴィリニュスという街に留学しました。留学では旧ソ連圏の勉強をしようと思っていたので、中央アジアや東ヨーロッパを中心に志望校を探していて、最終的に多くの国から留学生を受け入れており、留学生にとって環境が整っている、そして自分の興味関心のある分野を勉強できるという基準で大学を選択しました。
私の専攻は中東の地域研究でしたが、卒業論文ではリトアニアについて扱うことにしました。留学が決まってからリトアニアの基礎知識から勉強して、現地でも簡単なフィールドワークがしたいと考えていました。しかし、実際に行ってみると、留学生同士の交流はあってもあまり現地の学生とかかわる機会がありませんでした。そこで自分で人脈を構築しなければと思い、リトアニア語の勉強をして、積極的に現地のイベントに参加し、日本語を教えるバイトをして、大学外でもリトアニア人の友人をつくりました。 リトアニアは非常に親日国であると感じました。杉原千畝のつながりがあることや、日本や韓国の文化にあこがれる人が多く、ゲームや漫画の話を学生同士ですることも多かったです。若い人だけではなく、買い物中に独学で日本語を勉強したというおばあちゃんが日本語で話しかけてくれたこともありました。
一方で、リトアニアは日本ではメジャーな国ではないですし、留学先の大学は新しい協定校だったこともあり、行くまでに情報収集に苦労しました。リトアニアで生活している日本人は本当に少なく、同期の留学生はみんな顔見知りになるほどでした。リトアニアに関する情報はほとんどなくて、ツテもないので大学の手続き以外の生活のことは自分で調べ、在住の日本人や過去にリトアニアへ行ったことのある人を紹介してもらいながら準備を進めました。また、宗教的な知識や歴史の知識の持っている前提が違う中で、他の学生よりも一生懸命勉強する必要がありました。授業形態はとても自由で最初の数時間以外は学生のプレゼンやディスカッションで形成されている、ゼミのような形式の授業が多かったです。

このような環境下では、自分がフィールドワークや大学での勉強をする中で、根気よく、そしてめぐってくる好機をめいっぱい活用して自分から活動すること、これをするかどうかがものすごく差になって表れてくると感じました。自分はどちらかというと積極性に欠けるタイプだと思っていたので、それを克服するいい機会になったと思います。自分にとって未知の国だったからこそこれがかなったのだと思います。もし周りになんでも教えてくれる人や、世話を焼いてくれる人がいたら、情報が調べたらどんどん出てくるような環境だったら、その状況に甘んじて自分から何かをしようとする機会が減っていたかもしれません。
自分がいろいろなことに対して前向きに、積極的になれたことの要因として、FGSで学んだことも大きく関係していると思っています。学部で勉強した知識はもちろん役に立っていましたが、4年間 FGSに所属して一番良いところだと感じていることは、多様性を受け入れる土壌のある人たちが集まっている環境であると思っています。大学で学ぶSDGsや環境問題、人権やジェンダーの問題など、学ぶだけでなく目標の実現のために行動している人がたくさんいました。いろいろなことに興味を持ち、自ら学んで自分の在り方を選択し、それを周りにも示していける人が多いと思います。その中で結局「一般的」と思われる選択をすることも、その前提にそれを選択できるということが大事なのだと実感しました。

そのような環境の中で、自分の意見を公言するということ、自分で選び決定するということに慣れていき、それが留学経験で役立ったと感じました。自分が積極的になれることはもちろん、周りの多様性を受け入れ、自分の「当たり前」を見直し、相手を理解して対話することにもつながったと思っています。
また、私の留学期間は就職活動の期間でもありました。同時に取り組むことは根気のいることでしたが、同時にやっていたからこそ、なおさら自分のことを見直すきっかけとなりました。自分がどういう人間なのか、いろんな人に囲まれた環境で俯瞰して見つめなおすことができたし、自分が何をしたいか、改めて留学で何を成し遂げたいのかを考えたことはとても有意義だったと感じています。

入学当時は国際関係の仕事をしたいと考えていた私は、結局国際関係ではない会社の内定を受けました。しかし、国際関係を学ぶこと、多文化共生を学ぶことで得られたものは基本的な対人のあるべきスタンスであり、それはどんなフィールドでも生きてくるものだと思います。一人一人違う人間である以上、同じ国籍でも個人は違う文化の中で生きています。それを理解することは意義のあることだし、留学経験と FGSで過ごした数年間で得られた成果だと思います。多文化共生や国際関係を学ぶことは直接国際関係の仕事を生業にすることにもちろんつながります。また、そういった仕事をするうえではグローバルな視点は持っていなければならないものだと思います。しかし同時に社会に出ていろいろな人とかかわる中でも同じように、最も必要なことであり、同時により多くの「当たり前」を共有しているからこそ難しいことでもあると考えています。国際的に活躍したいと考えている人にとって FGSはとても良い環境ですが、どんな進路選択をしても FGS で学べることはこれからとても役に立っていくことと思います。

自分の留学は新型コロナウイルスの影響で予定より三か月も早く終わってしまいました。できなかったことや心残り、入学してから準備してきたことを考えてすごく悔しい思いをしました。しかしそれを好機ととらえて帰国後に新しいことに挑戦しましたし、やりきれなかったからこそ次の目標ができました。帰国してからもオンラインで時差を乗り越えて授業をとったし、単位にならない授業や修士課程の授業も留学先の教授に頼んで受けさせてもらいました。このように帰国後も前向きにいられたのは留学をしたからこそだと今は思っています。

留学に行くことはもちろんFGSでできることはたくさんあります。大学生は自由ですが、その自由さを生かす術を身に着けることが大事だと思います。自分の興味関心に皆さんが持っている積極性を向けて、めぐってくる好機をとらえて、FGSの学生であるという利点をいっぱいに生かした学生生活を送ってほしいです。

ヴィリニュス大学と旧市街

ヴィリニュス大聖堂とクリスマスマーケット


大聖堂広場にて

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