留学・国際交流

「アフリカの地に立ち、感じた自分の無力さ。そして覚悟。」

参加学生氏名:
吉田 梨乃
メジャー:
未定(渡航時1年生)
入学年度:
2016年度
渡航年度:
2016年度秋学期
種  類:
フィールドワーク
渡航先国 :
ウガンダ共和国・ルワンダ共和国
企業・受入先:
上智大学教員が実施する支援活動のフィールドワークに同行

アフリカの地に立ち、感じた自分の無力さ。そして覚悟。

私の大切にしている言葉に「百聞は一見に如かず(百回聞くよりも自分の目で見たものを信じるとの意)」があります。高校生の時から国際協力の世界に関心を持って以来、途上国と呼ばれるカンボジア・ネパール・ベトナムに赴いてきました。大学入学前、私は教科書で 1994 年に 100 万人近くの人々が虐殺された東アフリカの小国・ルワンダの歴史を知り、強い怒りを覚えました。「いつか跡地に足を運んでみたい」と思いながら、私の大学生活はスタートしました。

一年生の秋学期、看護学科の武井弥生先生が実施する支援活動のフィールドワークに同行させていただく機会を得ることができました。FGS の教授方にサポートをしてもらいながら、一年生の春休みを使って人生初のアフリカ大陸・ウガンダ共和国を訪れました。ウガンダは内戦が 20 年続いた国で、反政府勢力により人々に残虐な行為が繰り広げられました。北部地域に住むアチョリ族は、その内戦によって迫害され、海外支援も届かない村の中で今でも自給自足の決して豊かとは言い難い生活をしています。 先生とのフィールドワークの後、隣国であるルワンダにバスで国境越えをし、虐殺跡地を訪れることもできました。

ウガンダで出会った、内戦によって兵士として 10 年以上駆り出された過去を持つ元子供兵。家族全員が誘拐され、反政府勢力による迫害を目の前で見たという女性。ルワンダでは、一夜で 4 万 5 千人ものツチ族が殺されたムランビ虐殺博物館に足を運び、ミイラ化した大量の遺体を目の前にしました。内戦によって傷ついた人々の癒えることのない心と当時の歴史をすべて理解することは、平和ボケしたただの日本人大学生である私には不可能なことでした。経験を語る彼らを目の前にしても、何と言葉をかけたらいいのかさえも私には分かりませんでした。ウガンダ北部では、現在も内戦中である南スーダンとの国境がほんの数キロ先という地に立ちました。人権侵害が今現在も行われるこの世界に「私は何もできないんだ。」と、強い無力感を覚えたのを今でも記憶しています。

虐殺跡地に山積みされた服。私が生まれるたった 3 年前、ここで残虐な殺戮が行われた。

しかし、アフリカという地に立ち、無力感に打ちのめされたこの経験があったからこそ「人権侵害のない世界を実現する」という志を私は持つことができました。実は大学入学当初、自分の将来やりたいことや興味分野が曖昧なままでいました。このウガンダとルワンダへの渡航で見たもの、出会った人々、すべての経験が、私が将来の志を持つことになるかけがえのないものとなったのです。 帰国後、私はアフリカ地域研究を副専攻とし、政治や歴史を通して内戦の背景について学ぶ授業を履修しました。実践活動では、国際人権 NGO である Human Rights Watch 東京事務局でのインターンシップを始めました。無力だからこそ、ひたすらもがいていくしかないのだと自分自身に言い聞かせる日々です。定まらなかった将来の具体的な目標も決まりました。大学卒業後は、人権学の修士号獲得を目指してイギリスの大学院に進み、「人々の権利を守るために働く国連職員になる」覚悟を決められました。
まだまだ目標には程遠いけれど、FGS での学びを通して、一歩ずつ夢に向かって前に進んでいきます。

FGS を目指す皆さんに伝えたいこと

“小さな勇気が大きな結果に繋がる”ことです。私がこの渡航で得られた経験は先生に「渡航に同行させてください」と口にする、小さな勇気を振り絞ったことから始まりました。しかし、チャンスが無数に転がっているという恵まれた環境にいる私たちに必要なのは、「ほんの小さな勇気」たったそれだけです。自信がなかったとしても、経験やスキルが足りないと思ったとしても、勇気を振り絞って行動することで自分の世界はどこまでも広げられます。大学という環境はそんなチャンスをつかみ、経験を積んで、成長できる場所です。FGS で一緒に世界に挑戦しましょう。待っています。

内戦跡地であるウガンダ北部の小さな小学校の子供達と。

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