メッセージ

メッセージ

自分を知り、地域を知り、世界を知る。自らを磨き抜き、はばたけ、グローバル社会に!

総合グローバル学部(Faculty of Global Studies)は、今年、創設10年を迎えます。上智大学の研究と教育に長い歴史と伝統を有する国際関係論と地域研究が両輪になって、「グローバルスタディーズ」を展開するために創設された上智大学ならではの学部です。

学部長
都留 康子

世界全体の動きを俯瞰する国際関係論と、個々の地域で暮らす人々の生活に細やかな目配りをする地域研究、このようなグローバルとローカルな視点を同時に学べるというカリキュラムは他大学には類のないもので、FGSは上智のグローバル教育の新たな発展を刻む一歩を踏み出したのです。

ところで、みなさんは「グローバル」という言葉に何を思い浮かべますか?
10年前と比べて、パンデミックを経験した今では、SNSでの会話やオンライン会議はあたりまえ、学びの場もオンラインやネットに求められ、ボーダレス化が一層加速したようにも思えます。一方で、領土・領域や資源をめぐる紛争や対立も、フェークニュースに翻弄され、解決がなされないまま放置されています。難民や人権侵害、貧困や格差の問題、地球環境問題など、これらはグローバルな問題であるとともに、それぞれの地域特有の問題もありましょう。いずれも、多様な原因が複雑に絡み合い、解決策を模索するのは簡単ではありません。

諸問題を扱うには、地域の歴史や社会を知ることはもちろん、グローバル社会の中で位置付けて、理論的に検討することも必要になります。ここに歴史学、社会学、政治学、人類学、教育学などからの多様なアプローチが可能であり、学際的な視点も求められます。そして、FGSの特徴は、地域を知るためのツールとして、13のアジア・アフリカ諸言語など、多様な言語を選択的に学べることにあります。ネット情報を無自覚に信じるのではなく、現実の地域、社会を、まず自分の目で見て確認し、新たな発見ができる仕組みを用意しています。

このようにFGSは多様なアプローチ方法、科目を用意していますが、受け身で何かを学ぶところではありません。自分が何をしたいのかを常に問い直し、実現するための方途を模索、アプローチ方法を自覚的に選択し、挑戦していく姿勢を私たちは期待し、そうした学生を国際関係論と地域研究の26名の専任教員が支えていきます。

FGSの目的は、グローバル人材を育てることにあります。でも、それは、国際機関や海外で働くことだけを意味するのではありません。社会の多様性を理解し、時代の流れを冷静に広く細やかな視点から見ることが出来る人、国内であれ国外であれ、自分の深い学びに裏打ちされた専門的な仕事の現場で活躍できる人を大切に育てたいと願っています。