人間の安全保障研究所

人間の安全保障研究所

研究所について

ミッション

社会科学研究を通した
「人間の安全保障」の実現へ

研究所について

上智大学・人間の安全保障研究所は、貧困、環境、医療、移民・難民、平和構築の5つを、国際社会が抱える「人間の安全保障」上の重要な課題として位置づけます。そのうえで、これらの課題解決に有効な政策・制度の設計を社会科学の研究手法を用いて行う国際的な連携拠点となることで、学術的な研究を通して人間の安全保障の実現に取り組んで行きます。

1) 社会科学の研究成果を通して人間の安全保障実現に取り組むこと、2) 現地の研究者と連携しつつ、現地の実情・問題に根ざした研究を進めることの2点は当研究所の基本方針であり、課題解決に不可欠な姿勢だと考えています。

上智大学は、文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に2016, 2017年度の2年連続で採択されました。2017年度採択事業では人間の安全保障に関する研究を中核にすえつつ、教育やキャリア形成支援とも連携して事業を進めます。当該事業において、その中核となる研究を担うために設立されたのが、人間の安全保障研究所です。

上智大学の研究ブランディング事業について

2017年度文部科学省「私立大学研究ブランディング事業」に、上智大学が申請した「『人間の安全保障』実現に取り組む国際的研究拠点大学としてのブランド形成」が採択されました。

上智大学の事業内容は、「人間の安全保障」確保に向けた国際的な研究拠点の構築を通して、グローバルかつ公益性の高い今日的課題の解決に向け、「他者のために他者とともに」研究推進する上智大学ブランドを確立しようというものです。また、研究面だけでなく、教育やキャリア形成支援と連携することで、人間の尊厳に配慮しながら社会の未来を牽引する国際的リーダーとなる人材を育成・輩出することによっても上智大学ブランドの確立を目指しています。

研究について

研究部門は、貧困、環境、保健・医療、移民・難民、平和構築の5つのユニットからなります。アフリカ、東南アジア・南アジアの開発途上地域を主な研究対象フィールドとして捉え、それぞれの研究ユニットは以下のような研究テーマを設定しています。

  • 【貧困】

    貧困層のリスク対応力(レジリエンス)を高めうる介入方法についての検証と、貧困削減に資する制度や貧困削減に至るメカニズムの特定

    アジアやアフリカに集中する多くの貧困層は、各種の公的・民間サービスから取り残されており、突発的な災害や経済・金融危機などに対して極めて脆弱な生活を余儀なくされています。私たちの研究では、ランダム化比較試験(RCTs)などの社会実験も用いながら、貧困層のリスク対応力(レジリエンス)を高めうる介入方法について検証し、貧困削減に資する制度や貧困削減に至るメカニズムの特定を目指します。

  • 【環境】

    グローバルな視点に基づいた途上国における環境問題の解決方法とその経済への影響

    途上国の経済開発は地球温暖化や大気、水質、土壌の汚染といった環境問題を引き起こします。経済がグローバル化している今日、先進国の企業活動が貿易・投資を通じて途上国の環境に影響し、途上国の汚染が国境を越えて先進国にも影響することから、その解決にはグローバルな視点が必要です。本プロジェクトは、先進国と途上国の国際経済関係を考慮しながら途上国の環境問題への解決策を経済学の視点から提示します。また、その解決策が途上国と先進国における人々の暮らしに与える影響を明らかにします。

  • 【保健・医療】

    ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた保健・医療制度改革の検証と、ガバナンス強化への政策提言

    全ての人々に保健・医療へのアクセスを保障するユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成は、国際社会の重要課題の一つです。近年、アフリカやアジア諸国では、UHCの達成に向け、国民皆保険の導入や、保健・医療人材の労働条件の見直し等、制度改革が進んでいます。これらの改革は、既存のヘルスシステムの抜本的な変化を伴い、多くの国が実施上の課題に直面しています。本事業では、アフリカやアジアで実施中の保健・医療制度改革の効果と課題を分析し、改革に必要なガバナンスの仕組みについて政策提言をまとめます。

  • 【移民・難民】

    移民・難民が直面する脅威の構造、および、脅威のリスクを緩和する制度設計を分野横断的な理論と実証によって明らかにする

    紛争や貧困などの国内脅威から逃れるべく、現在約6,500万人の難民や国内避難民が存在し、脅威から逃れることを目的とした移民も同時に存在しています。こうした移民・難民が社会経済的ステータスに関して直面するリスクの構造を理論的および実証的に分析し、国内および国際社会による解決を可能とする制度設計に取り組みます。特に、教育・医療・労働・福祉・人口倫理・インセンティブおよび制度の持続可能性など、社会科学的分析を分野横断的に展開することでこうした取り組みを行います。

  • 【平和構築】

    国家の統治機構を再生させ持続的な平和を樹立する、「平和構築」を実現するための提言

    難民問題へ対処するには、難民への支援充実はもちろんですが、そもそも難民発生の原因になっている内戦や国家破綻を克服すること、すなわち国家の統治機構を再生させ持続的な平和を樹立する、「平和構築」が不可欠です。上智大学では「平和構築」の実現に向けて、学生と市民、専門家が共に検討し解決策を模索するプロジェクトや、教員がフィールド調査にもとづいて具体的な政策提言を行う活動を行ってきました。こうした現場での調査と平和構築に向けた提言を引き続き行っていきます。