戦後引揚げ70周年記念シンポジウムが12月4日に上智大学で開催されました。

2017.06.27

戦後引揚げ70周年記念シンポジウム
戦後引揚げと性暴力を語る
-『奥底の悲しみ』(2015)・『水子のうた』(1977)上映会-

1. 日 時
2016年12月4日(日)13時30分~17時

2. 会 場
上智大学(四谷キャンパス)2号館3階309室

3. 開催趣旨
 アジア・太平洋戦争の敗戦時、外地(植民地等)に住んでいた日本人(民間人)は350万人を数えていた。外地で敗戦を迎え「難民」となった彼らは剥き出しの暴力に晒され、女性たちのなかには苛烈な性暴力の標的となった人も少なくなかった。集団引揚げが本格化する1946年春には、彼女たちを迎える引揚港の周囲に「堕胎」や性病治療を目的とする施設が開設され、たとえば福岡県の二日市保養所では数百件の「堕胎」手術が実施された。
 だが戦後史においてこの経験・記憶は長らく抑圧されてきた。歴史学やフェミニストに先がけて掘り起こし、世に問うたのは福岡・山口の報道機関によるドキュメンタリー作品だった。RKB毎日放送『水子のうたードキュメント引揚孤児と女たち』(1977)はその嚆矢であり、学術研究にも多大なインパクトを残した。また山口放送『奥底の悲しみー戦後70年、引揚げ者の記憶』(2015)は、2015年の日本放送文化大賞グランプリや民放連賞報道番組部門最優秀賞を受賞する等高い評価を得ている。
 そこで、戦後引揚げ70周年を記念し、これら二作品を手がかりに「戦後引揚げと性暴力」について振り返りたい。二作品を上映、ついでシンポジウムに移り、『奥底の悲しみ』制作を担当した佐々木聡氏、女性や福祉の分野を中心に長らく日本社会をリードしてきた樋口恵子氏、性暴力被害と引揚援護について研究する新進気鋭の山本めゆ氏が登壇し、今日におけるこれらの経験・記憶に向き合うことの意義を論じていく。なお、これは国民の物語ではない。「戦争と性暴力」という普遍的なテーマにつながる企画としたい。

4. プログラム
司会進行 蘭信三(上智大学)

開会の挨拶(13:30~13:40)

第1部 上映会(13:40~15:00)
『奥底の悲しみ』(2015)、『水子のうた』(1977)の上映

第2部 シンポジウム(15:00~17:00)
佐々木聡(山口放送ディレクター)
樋口恵子(東京家政大学女性未来研究所所長・同名誉教授)
山本めゆ(日本学術振興会特別研究員PD・津田塾大学)
総合討論(16:15~17:00)

閉会の挨拶

【主 催】
科学研究費補助金基盤研究(A)(研究代表:上智大学・蘭信三)
「二〇世紀東アジアをめぐる人の移動に関する総合的研究」

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