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緊急人道支援講座 -緊急人道支援の道を目指す皆さんへ-

 今日、人々の生命・生活が脅かされる人道的危機(紛争、自然災害、感染症等)は世界中で起きており、その対応が急がれています。国内でも自然災害が頻繁に起きており、緊急人道支援に関わる人材の育成が急がれています。
 本講座は、緊急人道支援に取り組むための基礎的知識やスキルを身に付け、その後のキャリアに生かしてもらうことを目的としています。春期講座では、緊急人道支援の範囲や原則(中立性や公平性など)、支援の仕組みや最新の動向、特定課題の理解を目指します。秋期の講座では、プロジェクトマネジメントや交渉、安全管理といった緊急人道支援のスキルを身に付けます。講師は、国際機関やNGO、JICA、赤十字、民間などで、緊急人道支援の最前線で経験を積まれた方々です。講座は、講義と演習を組み合わせ、効果的な学びを得られるように工夫されています。

コーディネーター

小松 太郎(監修)
上智大学総合人間科学部教育学科教授
元UNESCO・国連コソボミッション教育担当官
小松 太郎
木村 万里子
日本国際ボランティアセンター(JVC)
パレスチナ事業現地代表
木村 万里子

アドバイザー

忍足 謙朗
元国連世界食糧計画(WFP)
アジア地域局長
忍足 謙朗
  • 対面での講義実施時の様子(現在はオンラインで行われています)

  • オンライン授業風景

講師

講師陣は、元国連WFPアジア地域局長ほか、赤十字国際委員会(ICRC)、国境なき医師団(MSF)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、国連開発計画(UNDP)、支援の質とアカウンタビリティ向上ネットワーク(JQAN)、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)、教育協力NGOネットワーク(JNNE)、国際協力機構(JICA)等の職員が担当予定です。これらの講師の多くが、各種研修トレーナーとしての実績を有しています。

受講料

・一般の方 40,000円
・上智大学学部生・大学院生、上智大学短期大学部生、助産学専攻科生 20,000円
 ※研究生、科目等履修生、聴講生は除く
・学校法人上智学院が設置する学校の卒業生 36,000円
・上智大学及び上智大学短期大学部後援会会員と当該学生の2親等内の親族 32,000円
・その他:当センター主催の公開講座(2020年度以降)の受講歴がある方、
 2講座以上同時受講の方にも10%の割引が適用されます。
※2講座同時受講の場合は、どちらか一方のみ割引の対象とします。
 2つ以上の割引を適用することはできません。

書類選考

受講を希望される方は、書類審査が必要です。選考は、国際協力人材育成センターが行います。

春期:人道支援の基礎知識

春期の主な講義内容(全13回)

オリエンテーション
緊急人道支援の歴史、定義、範囲、基準①②③
緊急人道支援の仕組み:①②(国内外における支援調整、現地化
(ローカリゼーション))
緊急人道支援のイシュー:①〜⑥(保健・医療、食料・栄養、
水・衛生、難民・避難民、子どもの保護・教育、ジェンダー等)
振り返りとキャリア・ガイダンス

(※講義の内容は変更になる可能性があります。)

秋期:人道支援の基礎スキル

秋期の主な講義内容(全13回)

オリエンテーション
緊急下のプロジェクト・マネジメント①〜③
緊急人道支援の現場スキル①〜④
緊急人道支援のメディア対応
緊急人道支援のファンド・レイジング
緊急人道支援における安全管理①②
振り返りとキャリア・ガイダンス

(※講義の内容は変更になる可能性があります。)

2024年度春期「緊急人道支援講座」のご案内 (オンライン)

2024年度秋期講座については、「新着情報」をご覧ください。

FAQ

Q.この講座は、緊急人道支援の初修者を対象としているのか。

そうです。緊急人道支援に関心があり、将来、この世界で仕事をしていきたいと考えている方を対象としています。実際には、すでに緊急人道支援の仕事に就かれており、人道支援を体系的に理解したい、新たな知見を得たいといった方々も多く受講されています。その場合でも、講座は初修者を対象としていることを理解して参加頂いております。

Q.春と秋のどちらかのみを受講しても良いか。

はい。春講座は緊急人道支援の知識面を、秋講座ではスキル面を扱います。その意味では、春、秋の順番で受講頂くのが理想ですが、秋から受講いただくことも可能ですし、春か秋、どちらかのみを受講することも可能です。

Q.講座を受ければ、緊急人道支援のすべてを理解したと言って良いか。

緊急人道支援の世界は奥が深く、春と秋の両方の講座を受けても、十分ではありません。各回の講義は、あくまで初歩的な理解を目指しています。そこで学んだことを土台に、講義で紹介された参考文献や資料を読んだり、体験を積んで学びを深めて頂きたいと思います。

Q.毎回の講義で、予習や復習は必要か。

受講生の皆さんの多くが仕事をしながら学んでいます。そのため、予習や復習に多くの時間は割けないかもしれません。一方で、限られた講義の時間を有効に生かして頂くためには、事前に扱うトピックについて簡単に調べたりして、講義では積極的に質問をして頂きたいと思います(講師もそれを期待しています)。上記の理由から、講義によっては簡単な事前課題が出る場合もあります。それらの課題をこなすことで、講義の時間での学びが深まります。

Q.この講座は、主に海外の現場を想定しているのか。

基本的にはそうです。講師はみな海外で多くの経験を積んできた方々です。緊急人道支援には国際基準がつくられ、国際支援の手法や調整の仕組みが発達しており、受講生の皆さんにはこれらを理解頂くと同時に、最新のトレンドにも触れて頂きます。海外の事例が中心になりますが国内の活動でも参考になることが多いため、日本国内で災害対応に当たっている自治体やNPOの職員の皆様にもぜひ応募頂きたいと思っています。

Q.受講者の選考があると聞いているが、どのような基準で受講生を選んでいるのか。

受講生の選考は総合的な見地から行っています。本講座の趣旨を理解し、将来、この世界で仕事をしていきたいと考えている方を優先しています。残念ながら、定員上限を超えてしまった場合は、選考の結果、受講いただけない場合もあります。

Q.修了証(受講証明)はあるのか。

修了証は、所定の回数(10回)以上参加された受講生に無料で発行いたします。修了証は、その後の就職や進学に活かして頂く事を念頭に、受講内容を日本語と英語で記載し、具体的に本講座で何を学んだのかわかる工夫をしております。

Q.講座は今後もオンラインで実施するのか。

本講座は、初年度は四ツ谷キャンパスの教室で実施致しました。2020年度はコロナ禍でオンラインに移行しました。当初は臨時の措置という位置づけでしたが、オンラインになったことで日本全国そして海外からも受講生が集まりました。物理的な移動が必要でなくなったために、仕事をしながら受講し易いという声も受講生から聞いています。オンラインでも講義だけでなく、グループワークなど受講生が主体的に参加する工夫を行っています。今後もオンラインで実施していく予定です。

Q.講義を欠席しなければならない場合、録画ビデオを後日視聴することは可能か。

講義は、欠席された方のためにzoomで毎回録画し、受講生限定・期間限定で視聴可としています。機器の動作不良等の理由で録画できなかった場合はご容赦ください。

Q.オンラインだと講師や他受講生と雑談したりネットワークを作る機会が無いのでは?

確かにオンラインだと、その部分は弱くなるかもしれません。本講座では講義の後に講師の方に少し残って頂いて受講生とお話し頂いたりしています。受講生の要望に応える形で、講座終了後にオンライン懇親会を開いたりもしています。受講生と講師の方々は連絡先を共有しているので、講義の外で連絡を取り合うことも可能です。今後も受講生同士の交流がし易いような工夫をしていきたいと思いますが、受講生皆さん自身で積極的に関係づくりを行って頂ければと思います。

受講者の声 (※ご所属およびポジションはインタビュー時点のものです。)

吉田さん (2020年秋期講座受講) 特定非営利活動法人パルシック パレスチナ駐在員

Q1.本講座を受講したきっかけを教えてください。

A. 受講当時は国内で難民支援に従事していましたが、いずれNGOの海外駐在員として緊急支援の現場で働きたく、そのために必要な基礎知識や現場のスキルを学ぶために受講を希望しました。

Q2.講座での学びやネットワークなどがその後の進路や考え方に影響しましたか。また、その後の仕事にどう活かされているか教えてください。

A. 実際に緊急人道支援の現場に長く従事をされていた講師の方々から、現場での実体験も含めてご指導いただき有意義な学びでした。今、私は緊急人道支援の渦中にいるため、講座で学んだ緊急時における支援のモダリティやDo no harmの原則などを基に日々の業務に励むことができています。

【受講を考えている皆さんへのメッセージ】
緊急人道支援における知識やスキルの学びのみならず、国内外で同支援に従事されている様々な職種の方の現場経験を知ることもできるため、将来につながる大変貴重な機会でした。

 

吉田さん、ご協力ありがとうございました!

 
進藤さん (2020年春期講座受講) 
JICA職員(国際NGOからJPO派遣制度でUNHCRヨルダン事務所、その後ICRCベネゼエラ事務所の勤務、大学講師を経て現職)

Q1.本講座を受講したきっかけを教えてください。

A. NGO職員から国際機関へのキャリア・チェンジを考え、特に関心の高かった緊急人道支援の業界・業務について学びたかったため受講しました。

Q2.講座での学びやネットワークなどがその後の進路や考え方に影響しましたか。また、その後の仕事にどう活かされているか教えてください。

A. 受講後、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、赤十字国際委員会(ICRC)で勤務しましたが、緊急人道支援の世界で、どの機関がどのような立ち位置かを講座で学んでいたことで大枠の理解が一歩進んだ状態で業務に取り組むことができました。また、志を一緒にする受講生に、励まされ、大いに刺激されました。

【受講を考えている皆さんへのメッセージ】
各機関で御活躍される豪華な講師陣から、一つ一つの疑問を丁寧に回答してもらえる貴重な講義です。講義のみならず、メール等での質疑にも、経験豊富な複数の講師陣より回答して頂ける贅沢な体制です。緊急人道支援を学んでみたいという方から、既に関係団体でキャリアを開始した方々など、多くの方々にお勧めします。
進藤さん、ご協力ありがとうございました!
 
佐久間さん(2019年春講座受講) 日本赤十字社 国際部

Q1.本講座を受講したきっかけを教えてください。

A. 学部生・院生時代に教育開発分野を学びましたが、紛争や自然災害といった人道危機における教育の役割についても関心があったことから、「教育」の視点からだけでなく、「人道支援」という視点からも「教育」について学んでみたいと思い受講しました。受講した当時は今と異なる部署におり、直接的に緊急人道支援に携わる機会はありませんでしたが、日本赤十字社に入社したこともあり、人道支援について体系的に理解したいと思ったこともきっかけです。

Q2.講座での学びやネットワークなどがその後の進路や考え方に影響しましたか。また、その後の仕事にどう活かされているか教えてください。

A. 講座を通して、人道支援の概念がいかに発展、体系化されてきたのかを学べたことはとても有意義でした。人道支援」という言葉は聞き馴染みがありましたが、それが単に人助けを指すのでは意味するのではなく、これまで人道支援活動に従事してきた人々の反省や教訓をもとに原則や支援の方法が構築されてきたと知り、驚いたことを覚えています。人道危機下において人々のニーズに応えるためには、困っている人々の助けになりたいという気持ちだけでなく、人道支援活動を展開するうえでのスキルを身につけることが欠かせないと気づきました。世界中で人道危機が絶え間ないなか、助けを必要とする人々に支援を届けるために、自分が立ち返ることのできる「人道支援」の基礎を学べたと感じています。また、普段は自分の所属組織から見た人道支援に目が行きがちですが、本講座で多種多様な組織、分野の視点から人道支援について、他の受講者とのディスカッションを通して考えを深められました。この学びにより、広い視点から人道支援を捉えることの重要性を認識することができました。

【受講を考えている皆さんへのメッセージ】
人道支援の切り口は、教育や保健、衛生、ジェンダーなど多岐にわたります。一方で実際の人道支援活動の場面では、様々な支援団体がそれぞれの強みを活かしながら、協働することも少なくありません。講義を通して、人道支援活動においてリードをとるような組織で活動される講師の方々から学べたことだけでなく、受講者同士でも繋がりを築けたことは、貴重な時間だったと感じています。私自身もまだまだ人道支援について学んでいるなかですが、人道支援分野について学ぶ仲間が増えたらいいなと思っています。

佐久間さん、ご協力ありがとうございました。

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