IGCオンライン公開シンポジウム
「多様な教育機会」と子どもの福祉(ウェルビーイング)
―「多様な教育機会を考える会」の5年間の軌跡をふまえて―
「多様な教育機会」と子どもの福祉(ウェルビーイング)
―「多様な教育機会を考える会」の5年間の軌跡をふまえて―
開催日時 2021年1月10日(日)13:30 –17:30
開催場所 オンライン(zoomミーティング)
※事前登録が必要
▽ https://sophia-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tJUlfuCgpzoqGdUqQBau8mW3w4kd0L4kZoff
(登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。)
シンポジスト
・森 直人 (筑波大学)「教育/福祉へのコミュニケーション論的接近―議論のOSを設定する」
・澤田 稔 (上智大学)「教育における「緩さ」の意味論―学力保障と承認のパラドクス」
・金子 良事(阪南大学)「教育と比較した「福祉」の位置づけ」
指定討論
・末冨 芳 (日本大学)
・広瀬 裕子(専修大学)
司会
・山田 哲也(一橋大学)
2015年の通称「多様な教育機会確保法案」が提起した問題の射程は広く、その背景にある社会の変容も、公教育で進みつつある諸改革のゆくえも不透明です。また、これまで「正規の学校」の網の目からこぼれ落ちる人びとに居場所や学習機会を提供してきた支援の場は、フリースクールや夜間中学校のみにかぎりません。個別の法案への評価からいったん離れ、公立私立の学校をはじめとして、この社会に遍在し、成長する人びとの生を支えるあらゆる「多様な教育機会」を対象に、長く継続的な過程の一局面として現在を把握する視野の広さが求められます。
この公開シンポジウムでは、そうした問題意識を共有する者が集まり、5年にわたり考察を深めてきた「多様な教育機会を考える会」の立ち上げにかかわった3名が登壇し、これまでの議論の展開と共有をふまえた報告を行います。教育社会学・社会階層論、批判的教育学・カリキュラム論、労働史・社会政策論と、アカデミックな背景の異なる報告者が、それぞれの専門分野を越境しつつ考察してきた現時点での到達点を、参加者全体にむけて問いかけます。それは、格差・貧困が拡大するなかにある「多様な教育機会」の意義を福祉の観点からとらえ、教育/福祉の相互浸透や葛藤・摩擦を読み解く試みとなります。
1990年代のヨーロッパにおける福祉国家再編の政治をつうじて、その鍵となる教育領域に国際的な注目が集まりました。日本ではじめて条文に「子どもの権利条約」や「年齢又は国籍にかかわりなく」の文言を明記し、義務教育の原則を「就学義務」から「教育義務」へと切り替え、不登校/登校拒否、貧困、国籍、民族、言語、障害などによって公教育体系から排除されてきた人びとの学習権の実質的かつ完全な保障をめざした上記法案も、「子どもの貧困対策推進法」や「生活困窮者自立支援法」など福祉領域における教育重視の政策と連動したものとみるべきでしょう。
そこには重大な懸念も寄せられています。諸外国における同様の法改正が宗教右派や富裕層による「活用」につながったとする指摘があり、日本でも、公権力による家庭への介入の正当化と、公教育の単純で粗悪な「市場化」「民営化」につながりかねないとする危惧の声があがりました。教育政策における復古主義的価値観の高まりもあり、「排外主義的」な「包摂」の進展といった可能性すら視野に入れるべきでしょう。報告者の3名が共有する視角がもたらす射程を批判的に検討するため、指定討論者には、教育財政・子どもの貧困対策を専門とする末冨芳氏と、国家による地方教育/子ども福祉行政への「強制的」介入支援策を論じている広瀬裕子氏をお呼びします。
開催場所 オンライン(zoomミーティング)
※事前登録が必要
▽ https://sophia-ac-jp.zoom.us/meeting/register/tJUlfuCgpzoqGdUqQBau8mW3w4kd0L4kZoff
(登録後、ミーティング参加に関する情報の確認メールが届きます。)
シンポジスト
・森 直人 (筑波大学)「教育/福祉へのコミュニケーション論的接近―議論のOSを設定する」
・澤田 稔 (上智大学)「教育における「緩さ」の意味論―学力保障と承認のパラドクス」
・金子 良事(阪南大学)「教育と比較した「福祉」の位置づけ」
指定討論
・末冨 芳 (日本大学)
・広瀬 裕子(専修大学)
司会
・山田 哲也(一橋大学)
2015年の通称「多様な教育機会確保法案」が提起した問題の射程は広く、その背景にある社会の変容も、公教育で進みつつある諸改革のゆくえも不透明です。また、これまで「正規の学校」の網の目からこぼれ落ちる人びとに居場所や学習機会を提供してきた支援の場は、フリースクールや夜間中学校のみにかぎりません。個別の法案への評価からいったん離れ、公立私立の学校をはじめとして、この社会に遍在し、成長する人びとの生を支えるあらゆる「多様な教育機会」を対象に、長く継続的な過程の一局面として現在を把握する視野の広さが求められます。
この公開シンポジウムでは、そうした問題意識を共有する者が集まり、5年にわたり考察を深めてきた「多様な教育機会を考える会」の立ち上げにかかわった3名が登壇し、これまでの議論の展開と共有をふまえた報告を行います。教育社会学・社会階層論、批判的教育学・カリキュラム論、労働史・社会政策論と、アカデミックな背景の異なる報告者が、それぞれの専門分野を越境しつつ考察してきた現時点での到達点を、参加者全体にむけて問いかけます。それは、格差・貧困が拡大するなかにある「多様な教育機会」の意義を福祉の観点からとらえ、教育/福祉の相互浸透や葛藤・摩擦を読み解く試みとなります。
1990年代のヨーロッパにおける福祉国家再編の政治をつうじて、その鍵となる教育領域に国際的な注目が集まりました。日本ではじめて条文に「子どもの権利条約」や「年齢又は国籍にかかわりなく」の文言を明記し、義務教育の原則を「就学義務」から「教育義務」へと切り替え、不登校/登校拒否、貧困、国籍、民族、言語、障害などによって公教育体系から排除されてきた人びとの学習権の実質的かつ完全な保障をめざした上記法案も、「子どもの貧困対策推進法」や「生活困窮者自立支援法」など福祉領域における教育重視の政策と連動したものとみるべきでしょう。
そこには重大な懸念も寄せられています。諸外国における同様の法改正が宗教右派や富裕層による「活用」につながったとする指摘があり、日本でも、公権力による家庭への介入の正当化と、公教育の単純で粗悪な「市場化」「民営化」につながりかねないとする危惧の声があがりました。教育政策における復古主義的価値観の高まりもあり、「排外主義的」な「包摂」の進展といった可能性すら視野に入れるべきでしょう。報告者の3名が共有する視角がもたらす射程を批判的に検討するため、指定討論者には、教育財政・子どもの貧困対策を専門とする末冨芳氏と、国家による地方教育/子ども福祉行政への「強制的」介入支援策を論じている広瀬裕子氏をお呼びします。