講演会

ラテンアメリカ・レクチャーシリーズ⑤「コロンビア和平プロセスの今―『合意後』から『紛争後』社会に向かう課題と展望―」(全3回)

講師

第1回「2016年和平合意の意義と課題―コロンビアにおける国内紛争と和平政策を振り返って―」【6月22日]
幡谷則子(上智大学外国語学部教授・イベロアメリカ研究所所員)

第2回「コロンビアの移行期正義―元非合法武装組織戦闘員に対する処罰の変遷―」【6月29日]
千代勇一(帝京大学外国語学部講師)

第3回「安定的恒久的和平構築―和平合意の実行を迎える現実と展望―」【7月6日]
リナ・マリア・ペナゴス(上智大学イベロアメリカ研究所客員研究員)

日時2017年6月22日(木)、6月29日(木)、7月6日(木)17:00〜19:00
場所

上智大学中央図書館9階921会議室(定員150名)

使用言語

6月22日・29日は日本語、7月6日はスペイン語(日本語要旨・解説つき)

参加費/予約

参加費無料/予約不要(先着順)

概要

第1回「2016年和平合意の意義と課題―コロンビアにおける国内紛争と和平政策を振り返って―」
安定的な民主体制を維持しながら、なぜコロンビアは半世紀以上も国内紛争を抱えたのでしょうか。本報告では、今日の和平プロセスに至るまでの同国の国内紛争と歴代和平政策を振り返り、現サントス政権の対話による和平交渉の意義を考えたいと思います。また、続く2回のレクチャーの前提ともなる2016102日の和平合意に関する国民投票の否決の背景も読み解いてゆきたいと思います。現在和平合意アジェンダに基づく政策実行をめざし、様々な制度改革が行われていますが、その中で、紛争の根本的原因であり、和平合意の根幹をなす「統合的農村開発」と土地問題を取り上げます。

第2回「コロンビアの移行期正義―元非合法武装組織戦闘員に対する処罰の変遷―」
コロンビア革命軍(FARC)との歴史的な和平合意が国民投票によって否決されたことは、国内外に大きな衝撃を与えました。国民投票でNOが投じられた理由の一つは、ゲリラに対する処罰の「軽さ」とも言われています。しかし過去の和平プロセスとの比較において、今回の合意内容にある元FARC兵への処罰は極端に軽減されたわけでもありません。本報告では、コロンビアの和平プロセスにおける非合法武装組織の戦闘員(加害者)の処罰がこれまでどのように行われてきたのかを検証し、今回の処罰に関する法的枠組みが形成されてきた背景を明らかにします。移行期正義の問題を巡る議論を整理しながら、今日のコロンビアが抱える制約とこれから適用される法的枠組みの意味を考えたいと思います。

第3回「安定的恒久的和平構築―和平合意の実行を迎える現実と展望―」
和平合意に対する国民投票が否決された背景には、コロンビア社会に根強い不平等の問題があります。中でも都市と農村、特に紛争地域との格差が著しいことが影響しました。国民は安定的恒久的和平を切望していますが、その構築にまつわる様々の課題に立ち向かうのは、実際のところ直接紛争被害に苦しんできた国内の周縁地域です。紛争地の現実には、和平合意アジェンダの実行にはまだまだ多様で複雑な障害があります。本報告では、紛争によって最も被害を受けた地域の一つ、北サンタンデール県のカタトゥンボ(Catatumbo)の事例を取り上げ、紛争地における安定的恒久的和平構築の課題と展望を考察します。

主催

上智大学イベロアメリカ研究所

ポスター画像

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