■ 研究会

2021年02月17日 12:45:15

オンラインセミナー「アンコールをめぐるグローバル規範再考」を2021年2月5日(金)開催しました。

上智大学アジア文化研究所共同研究「文化遺産の学際的研究」の一環として、セミナー「アンコールをめぐるグローバル規範再考」を2021年2月5日(金)、オンラインで開催しました。このセミナーは2019年度刊行『上智アジア学』37号(特集「アジアのパブリック・アーケオロジー」)所収論文のうちアンコールに関わる3本の論文執筆者が、刊行以降の研究成果を加えた内容を、特にカンボジアの大学生や若手研究者・実務家に知ってもらい且つ意見交換することを目的として開催されました。当日は、東京、プノンペン(王立芸術大学)、シアムリアプ(APSARA国立機構)の3都市をオンラインで繋ぎ、全てカンボジア語で実施しました。
冒頭で、司会をつとめるアジア文化研究所客員所員のニム・ソティーブン氏からセミナーの趣旨が説明されました。続いてアプサラ機構のイム・ソクリティ氏が「カンボジア史の中のアンコールとその景観」を発表し、様々な史資料に基づき古代から現代に至るまでのアンコールの解釈や場がもつ意味を紐解きました。次にニム・ソティーブン氏は「アンコールにおける文化遺産教育:学術分野から市民へ」の中で、カンボジアの文化遺産教育には2つの柱(1つはカンボジア内戦以降の王立芸術大学における専門家養成、もう1つは市民を対象とした普及教育)があることを提示し、両者の歴史的経緯とその成果を上智大学の活動を中心に説明しました。最後にアジア文化研究所の丸井雅子が「アンコールにおける考古学と地域社会の歴史的対話」を発表し、バンテアイ・クデイ発掘調査成果と近年取り組んでいるライフ・ストーリー研究をもとに再構築した、遺跡と人々の歴史的関係に迫りました。その後1時間にわたる質疑応答では、熱心な質問とそれに対する応答といった長いやり取りが続く一方で、チャットで最新情報の交換が参加者同士でやり取りされる等オンラインならではの光景もありました。
コロナ禍で、海外渡航のみならずカンボジア国内においても首都プノンペンとシアムリアプ間の移動は以前ほど頻繁には出来なくなった、と聞きます。実は、丸井とソティーブン氏は今から約1年前の2020年2月初旬、王立芸術大学考古学部にて集中講義を担当しました。その集中講義を終えた時、次年度(2021年)も引き続き開講することを計画していました。今回こうしてオンラインで小規模ではありますが大学生や若手専門家に向けてセミナーを開催したことで、より効果的な講義のあり方や受講者との相互理解を促す工夫への課題も見つかりました。今後もこのような機会を作り、積極的な発信と交流を継続していきたいと考えています。
最後に、ご協力いただいた王立芸術大学及びアプサラ国立機構に心からの感謝を申しあげます。

セミナー一部動画をYoutubeで2021年4月8日まで公開しています。
https://youtu.be/HVVbfYOBGzI




主催上智大学アジア人材養成研究センター
上智大学アジア文化研究所
京都大学 東南アジア地域研究研究所 IPCR事務局
アプサラ国立機構(カンボジア)
王立芸術大学(カンボジア)
日時2021年2月5日(金)14:30〜16:30(カンボジア時間)、16:30-18:30(東京時間)
zoomによるオンライン開催
テーマアンコールをめぐるグローバル規範再考
プログラムChairperson: Nhim Sotheavin
14:30-15:30 (in Cambodia time): Presentations
‐Im Sokrithy, APSARA National Authority, Angkor and its Landscape in the History of Cambodia
‐Nhim Sotheavin, Sophia University, Cultural Heritage Education in Angkor: From Academics in Archaeology to the Local Community
‐Marui Masako, Sophia University, Historical Dialogues between Archaeology and a Local Community in Angkor
15:30-16:30 (in Cambodia time): Questions
参考文献上智アジア学37号
https://digital-archives.sophia.ac.jp/repository/search?vt=&ct=repository&cat=02_11_37
言語クメール語