■ 講演会

2020年10月14日 11:54:10

<Sophia Open Research Weeks2020>シンポンジウム「アクションとしての地域研究とグローバル・スタディーズ ーー学び、伝え、支え合う」が2020年11月21日(土)に開催されます。

急速に進むグローバル化の波は移民・難民や国籍問題、環境破壊、地域文化の喪失など、地球規模の問題をもたらしました。そして2020年、新型コロナウイルスの感染拡大は私たちの生存や経済に大きな影響を与えています。本シンポジウムでは、貧困や災害、紛争の現場で教育、研究、そして社会奉仕をすすめてきた3名の専門家に話題を提供してもらいます。開発や人の移動が生み出すグローバル・イシューを地域研究の視点から紐解きながら、いま私たちができることは何かを考えていきます。


主催主催:上智大学アジア文化研究所
地域研究コンソーシアム(JCAS)
後援:上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科、地域研究専攻
日時2020年11月21日(土)13:00〜17:00分 (日本時間)
開催形態Zoom Webinar
プログラム10:30〜12:00 JCAS賞授賞式と記念講演
-------------- 休憩
13:00〜17:00 公開シンポジウム 全体司会 丸井 雅子(上智大学)
13:00〜13:10 趣旨説明 福武 慎太郎(上智大学)
13:15〜14:15 基調講演 石澤 良昭(上智大学)
「ソフィア・ミッションは難民を救済し、地域研究のアジア文化研究所を設立 ——カンボジアへ出かけて人材養成30年」
-------------- 休憩
14:20〜15:05 一般講演1 日下部 尚徳(立教大学)
「グローバル・イシューと地域研究 ——貧困・災害・紛争の現場から」
15:05〜15:50 一般講演2 陳 天璽(早稲田大学)
「グローバル・スタディーズのなかで考える「無国籍問題」」
-------------- 休憩
16:00〜16:55 パネル・ディスカッション「院生からの応答」
司会 戸田 美佳子(上智大学)
加藤久美子(上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科地域研究専攻)
平山草太(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科アフリカ地域研究専攻)
16:55〜17:00 閉会の挨拶 根本 敬(上智大学)
講演概要基調講演「ソフィア・ミッションは難民を救済し、地域研究のアジア文化研究所を設立 ——カンボジアへ出かけて人材養成30年」

上智大学は1979年に「インドシナ難民に愛の手を」のキャンペーンを新宿駅頭において開始。J.ピタウ学長は「難民を人間としての、人間らしさの根本にかかわる」問題として捉えた。1980年ピタウ学長の「アジアと協力して新しい世界を築く」構想が、新しい「アジア文化研究所」の創設であり、アジア関係の授業を開講する「アジア文化副専攻」が始まった。ピタウ・アジア文化研究所構想の一つとして、戦禍で失った人材を急ぎ養成するため、1996年、カンボジア現地に「アジア人材養成研究センター」を建設した。
ソフィア・ミッションのプロジェクトは、(1)カンボジア人留学生の学位取得プロジェクト/博士号取得7名、修士号11名(1997年〜)、(2)考古学の研修中に274体の仏像発掘、カンボジア人が民族の誇りを取り戻す(2001年)、(3)シハヌーク・イオン新博物館の建設と仏像公開(2007年)、(4)文科省上智大学21世紀COEプログラム採択(2007年)による「地域立脚型グローバル・スタディーズ」、カンボジアで地域研究国際シンポ4回開催、(5)アンコール文化遺産教育センター開設/日本国外務省草の根無償(2011年)、(6)学外共同研究「アンコール環境プロジェクトISO14001取得/アンコールのゴミゼロ活動の成功(2006年)」、(7)文科省グローバル30(国際化拠点整備事業)2009年〜2013年、(8)日本国外務省ODAアンコール・ワット西参道修復機材供与9,470万円(2015年)、(9)NHKプロジェクトX『挑戦者たち アンコール・ワットに誓う師弟の絆』放映(2001年)、(10) 上智大学創立100周年記念事業国際シンポジウム「過去から未来へ、アジアにおけるカトリック教会の使命:上智大学のカンボジアにおける人材養成」を発表/ローマ教皇庁立グレゴリアン大学で発表(2014年)、(11)カンボジア民族が誇りを取り戻したことで上智大学がアジアのノーベル賞といわれる「2017年R.マグサイサイ賞」受賞、(12)上智大大学院卒の2名のカンボジア人(オム・ラヴィ氏とエク・ブンタ氏)が日本・カンボジアの友好親善に貢献した理由で令和元年度日本国外務大臣表彰」を受賞(2019年)。

石澤 良昭(ISHIZAWA Yoshiaki)
上智大学アジア人材養成研究センター所長(特任)・教授。専門はカンボジア碑刻学・東南アジア史学。現地へ出かけてカンボジア人保存官の養成約30年、現在、アンコール・ワット西参道修復工事進行中。2020年国立プノンペン大学から名誉博士号(決定)。主な著作に、『〈新〉古代カンボジア史研究 』(風響社、2013年)、『カンボジア近世史:カンボジア・シャム・ベトナム民族関係史(1775-1860年)』(めこん、2019年)等、他多数。

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一般講演1「グローバル・イシューと地域研究 ——貧困・災害・紛争の現場から」

深刻な貧困や災害復興、長期化する紛争などの喫緊のグローバル・イシューに対して、地域研究者は問題の背景を分析し、解決にむけたシナリオを提示してきた。一方で、政策立案者や実務者とともに問題解決に向けた取り組みに直接関わる機会は限られている。本発表では、バングラデシュを事例にグローバル・イシューの現場で地域研究者や地域研究を学んだ人材がその知見をどのようにいかすことができるのか、社会連携の視点も踏まえて考察を加えたい。

日下部尚徳(KUSAKABE Naonori)
立教大学異文化コミュニケーション学部准教授。専門は南アジア地域研究、国際協力論。主な著作に、『ロヒンギャ問題とは何か』(編著、明石書店、2019年)、『わたし8歳、職業、家事使用人。——世界の児童労働者1億5200万人の1人』(単著、合同出版、2018年)、他。

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一般講演2「グローバル・スタディーズのなかで考える「無国籍問題」」

「世界人権宣言」において、「すべての者は、国籍を取得する権利を有する」とある。一方、世界には1200万人の無国籍者が存在する(UNHCR, 2018)。UNHCRは、2014年より無国籍キャンペーンを開始し10年間で「無国籍問題」を解決することを掲げた。はたして、無国籍者の存在は「問題」なのであろうか?これまで、日本、タイ、フィリピン、マレーシア、中東などで行ったフィールドワークの事例を紹介しながら、無国籍とグローバル・スタディーズについて考える。

陳 天璽(CHEN Tienshi)

早稲田大学国際学術院教授、無国籍ネットワーク代表理事。横浜中華街生まれ。国際関係に翻弄され生後間もなく無国籍となる。移民、無国籍者に注目した研究に従事。筑波大学大学院国際政治経済学博士。ハーバード大学フェアバンクセンター研究員、日本学術振興会(東京大学)研究員、国立民族学博物館准教授を経て現職。著書に『華人ディアスポラ』(明石書店)、『無国籍』(新潮社)、編著に『パスポート学』(北海道大学出版会)など。


申込https://forms.gle/zaT6oNU3dcBK3LZU9より、11月15日(日)までに登録してください。
500人の定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
・zoom webinarへのアクセスについては、受付締め切り(11/15)以降、参加者にメールで別途お知らせいたします。