研究会・講演会など

シンポジウム【北米地域研究と水: 政府・市場・共同体の役割をめぐって】

報告 米国カリフォルニア州の水事業の歴史的変遷の報告がされ、現代社会が直面している水資源問題を考えさせるシンポジウムとなった。カリフォルニア州の水資源開発はこれまで、(1)植民地時代の地域共同体による小規模な開発(2)さらに大規模な事業の必要性が生じてからの19世紀後半からの政府主導の開発(3)1960年代以降のマーケット・メカニズムに委ねる形での開発という変遷を辿ってきたという。こうした歴史を踏まえた上で、まず経済学者エリノア・オストロムの言う「共同体の役割」に照らしたとき、現代の水資源開発において、共同体の果たす役割は終わってしまったのか、という問題提起から始まり、ダム時代に政府の果たしてきた役割について、続けてカリフォルニアの渇水問題の特徴(降水量の地域差、シーズンを通した水の需要の変動)に着目して発足したカリフォルニア渇水銀行についての報告が行われた。質疑応答でも活発な議論がなされ、各水資源対策の抱える問題点や、現アメリカ政権下での水事業の行方等等様々な質問が出る中で、3名の報告者がそれぞれ専門の立場からの回答をするなど学際的な刺激に満ちたシンポジウムであった。カリフォルニア州という一地域を取り上げたものであったがアメリカだけでなく現在日本でも水道事業の民営化が議論されている中で、このような研究は益々重要となってくるであろう。(報告:英米文学研究科博士後期課程 高橋悠香) 参加人数:約50名
米国カリフォルニア州の事例をもとに共同体・政府・市場が水資源管理にどのように関わってきたかを辿り、世界的な水資源危機が迫る現代においてはどのような役割を果たしてゆくべきなのか、今後を展望します。
日時 2018年11月12日(月)13:30- 15:00
場所 上智大学 中央図書館8階 L-821号室
プログラム 報告1「共同体」主体の時代:植民地時代から19世紀まで

報告者: 小塩和人(上智大学外国語学部英語学科教授)

報告 2 水資源開発と事業対象地域へのインパクト:1933年~2016年

報告者:名和洋人(名城大学経済学部経済学科准教授)

報告 3 カリフォルニア渇水銀行:ガバナンス論からの再評価

報告者: 遠藤崇浩(大阪府立大学現代システム科学域准教授)

使用言語 日本語
参加費/予約 参加自由
本シンポジウムはSophia Open Research Weeks 参加企画として実施するものです。
18 水シンポ  poster アメカナ