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【報告】Colloqium ハワイ人の「血」と「プライド」の諸相

報告  四條真也先生(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所ジュニアフェロー)をお迎えして、「ハワイの『血』と『プライド』の諸相」というタイトルでご講演をして頂きました。
先生によれば、ハワイ先住民人の血が50パーセント以上含まれている住人にだけ、住居用と農業用の土地を提供する、ハワイアン・ホームステッドという1921年より始まる土地政策が、排他的な人種意識を人々の間に生み出しました。ハワイ先住民人にとって親族は、血族に縛られないものであり、ハワイアン・ホームステッドが想定する血統は、伝統的な家族観と相反するもので、その幅を狭めてしまいました。
しかし、1970年代に勃興する主権回復、伝統文化復興の運動のなかで、ハワイ人の「プライド」が重視され始めます。先生は「プライド」を構成員の感情的な結びつきから定義する研究者の議論を用い、ハワイ人の「プライド」を多民族、多文化にまたがる価値観、とくに親族の範囲を超える伝統的なハワイ文化を土台とした、社会の包括的ネットワークを復活させたものとして解釈します。血統を基盤にする家族観により、排他的エスニシティーがハワイ先住民人の間に芽生えてしまいましたが、この「プライド」が包括的なネットワークに基づく伝統的な「ハワイ人」としてのアイデンティティーを、再び前景化したのです。
質疑応答も活発に行われ、非常に有意義な講演でした。(報告者:皆川祐太、文学研究科英米文学専攻博士後期課程3年)
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テーマ  ハワイ人の「血」と「プライド」の諸相
日時  2017年12月7日(木)17:00-18:30
場所  上智大学図書館7階721A アメリカ・カナダ研究所内 
使用言語  日本語
講師

四條真也(東京外国語大学 アジア・アフリカ言語文化研究所 ジュニアフェロー)

四條先生