教員免許状更新講習
平成19年6月の改正教育職員免許法の成立により、
平成21年4月1日から教員免許更新制が導入されました。
この教員免許更新制は、
その時々で教員として必要な資質能力が保持されるよう、
定期的に最新の知識技能を身に付けることで、
教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、
社会の尊敬と信頼を得ることを目指すものでした。
これを受けて、上智大学でも、
教職免許状更新講習を2010年度より開講していました。
しかしながら、令和4年5月の改正教育職員免許法の成立により、
令和4年7月1日から教員免許更新制は解消されます。
そのため今後は開講されないことになりました。
数学分野企画講習の紹介
上記の状況の中で、数学領域を中心として、
数学分野の選択講習を当初より毎年継続的に企画し開講してきました。
8年目となる2017年度からは、
情報理工学科の各分野と連携し、
情報理工学の広い範囲にわたる内容で、3日間の講習を開講してきました。
その後、2020年度からは感染症蔓延により開講中止となり、
2022年度の更新制解消を迎えました。
このように、本学数学領域では、制度導入から解消までの全期間にわたり、
本講習の企画・開講を続けたことになります。
数学分野企画講習の記録
担当者で特に記していないものは数学領域所属。
2019年度
- 講習題目:情報理工学の基礎〜情報通信から生命情報、情報数理まで〜
- 担当講師:小川 将克 教授(電気・電子工学領域)・林 等 教授(電気・電子工学領域)
・高橋 浩 教授(電気・電子工学領域)・澁谷 智治 教授(情報学領域)
・笹川 展幸 教授(生物科学領域)・新倉 貴子 教授(生物科学領域)
・平田 均 講師(数学領域)・角皆 宏 教授(数学領域)
- 開講日:2019年8月21日〜23日
- 講習概要:
- 1日目:中学高校の数学・理科の重要性や学びの楽しさを
生徒に伝えるための素材として、
教科書の内容が実際の情報通信にどのように生かされているか、
実例を上げて概説する。
- 2日目:細胞内・細胞間の情報伝達メカニズム理解と創薬への応用や
生命体における情報としての遺伝子の基礎と技術への応用について解説する。
- 3日目:前半=近年社会的要請から重視されている
高校「数学B」の「確率分布と統計的な推測」について
基礎的な事項について解説する。
後半=新単元である初等整数論を題材とし、
「実験・観察を通じて予想を立て証明を試みる」という数学的活動について
実習を交えて試みる。
2018年度
- 講習題目:情報理工学の基礎〜情報数理から生命情報、情報通信まで〜
- 担当講師:後藤 聡史 講師(数学領域)・笹川 展幸 教授(生物科学領域)
・中島 俊樹 教授(数学領域)・澁谷 智治 教授(情報学領域)
・新倉 貴子 准教授(生物科学領域)
・林 等 教授(電気・電子工学領域)・高橋 浩 教授(電気・電子工学領域)
- 開講日:2018年8月8日〜10日
- 講習概要:
- 1日目:中学高校の数学・理科の重要性や学びの楽しさを
生徒に伝えるための素材として、
教科書の内容が実際の情報通信にどのように生かされているか、
実例を上げて概説する。
- 2日目:前半=数字の並びパターンを通じて、数学の世界の面白さを紹介する。
後半=新課程で拡充された確率・統計について、大学レベルの数学の視点から見直し、
計算機の利用を含めた解説を行う。
- 3日目:生命体における情報としての遺伝子の基礎と技術への応用や、
細胞内・細胞間の情報伝達メカニズム理解と創薬への応用について解説する。
2017年度
- 講習題目:情報理工学の基礎〜情報数理から生命情報、情報通信まで〜
- 担当講師:五味 靖 准教授(数学領域)・大城 佳奈子 助教(数学領域)
・新倉 貴子 准教授(生物科学領域)・笹川 展幸 教授(生物科学領域)
・林 等 教授(電気・電子工学領域)・小川 将克 准教授(電気・電子工学領域)
・澁谷 智治 教授(情報学領域)・高橋 浩 教授(電気・電子工学領域)
- 開講日:2017年8月9日〜11日
- 講習概要:
- 1日目:石取りゲームなど数学的に必勝法が与えられる2人遊びゲームや、
結び目理論の話を取り上げながら解説する。
- 2日目:生命体における情報としての遺伝子の基礎と技術への応用や、
細胞内・細胞間の情報伝達メカニズム理解と創薬への応用について解説する。
- 3日目:中学高校の数学・理科の重要性や学びの楽しさを
生徒に伝えるための素材として、
教科書の内容が実際の情報通信にどのように生かされているか、
実例を上げて概説する。
2016年度
- 講習題目:論証問題と母関数の話
- 担当講師:辻 元 教授・中筋 麻貴 准教授
- 開講日:2016年8月7日
- 講習概要:
前半では問題や、与えられた量の評価、あるいはロピタルの定理など、
証明なしに便利に使っている定理を、どう教えたらよいかを取り上げます。
後半では等比数列、フィボナッチ数列などを題材に母関数の話を取り上げます。
2015年度
- 講習題目:無料のソフトウェアを活用した視覚的に理解する統計の授業
- 担当講師:加藤 剛 准教授
- 開講日:2015年8月8日
- 講習概要:
新指導要領に新たに多く盛り込まれた統計の内容を理解するには、
教科書に描いてある図を見るだけではなく、
現実の世界の動きや歴史的事実を表す数字や文字のデータを
自分で図に描いて観察する学習方法が効果的です。
この講習では、原則としてマウスクリックだけで操作できる
無料の統計データ分析用ソフトウェアを活用し、
現実にあるデータを自分の手でさまざまな図に描き、
データの視覚的理解を通して統計を学ぶ方法を紹介します。
(この講習に参加するには、
Windows OS (Vista, 7, 8, 8.1) が起動するノート型コンピュータを
ご持参いただく必要があります。)
2014年度
- 講習題目:集合と複素数
- 担当講師:平田 均 講師・都築 正男 准教授
- 開講日:2014年8月8日
- 講習概要:
高校数学Iで学ぶ集合の記法は現代数学の基本的用語であり、
理工系科目の基礎となる必修数学系科目の内容を理解するために
必要不可欠な存在である。
しかし、現実には高校数学教育の現場で
集合の単元に十分な時間を割かれていないと思われる。
また、高校の新課程において、複素数の単元が復活したが、
この内容を扱うのが初めての高校教員も多いであろう。
そのためこの講座では、集合とその性質について解釈すると共に、
複素数の導出とその性質を説明し、高校での指導の助けとする事を目的とする。
2013年度
- 講習題目:数学での答案の書き方〜複素数などを題材に〜
- 担当講師:角皆 宏 教授・平田 均 講師
- 開講日:2013年8月9日
- 講習概要:
数学の答案は、証明問題・計算問題を問わず「数式交じりの文章」である。
しかし、現状では、
記号・数値・変数などの「数単語」を羅列しただけの答案を書く者が多い。
このような現状を踏まえ、
「仮定」「結論」を明確にして「定義」に基づいて考えることを
問題解法・答案作成に結び付ける指導を論ずる。
後半では、高校の新学習指導要領に複素数平面の取扱いが復活することから、
特に複素数を題材とし、その理解を深めることも目的とする。
2012年度
- 講習題目:微分積分再訪
- 担当講師:筱田 健一 教授・角皆 宏 准教授
- 開講日:2012年8月9日
- 講習概要:
2012年度より先行実施される高等学校の新学習指導要領について、
主な変更点などを概観したうえで、
特に「数学III」に複素数平面の取扱いが復活することを踏まえて、
単に2次方程式を解くためという代数的な観点でだけでなく、
複素関数論を含む解析的な方向から、複素数について触れ直す。
それと共に、高等学校に於ける解析学的な内容について、
その背景や関連事項を解説し、教科内容の理解を深める。
2011年度
- 講習題目:初等整数論と数学活用
- 担当講師:筱田 健一 教授・澁谷 智治 准教授(情報学領域)
- 開講日:2011年8月9日
- 講習概要:
改訂された学習指導要領では、他の改善事項とともに、
思考力を育成すること、意義や有用性をさらに重視することが述べられている。
これらの事項を踏まえつつ、
新たに「数学A」に取り入れられた単元「整数の性質」を題材に、
ユークリッドの互除法から始めて、二元一次不定方程式など、
初等整数論の基礎についてまず解説する。
その後、これらが現代の情報化社会においてどのように活用されているかを、
暗号・認証などの具体例で説明する。
2010年度
- 講習題目:数学の言葉と数理実験〜数学的活動の試み〜
- 担当講師:角皆 宏 准教授・後藤 聡史 講師
- 開講日:2010年8月7日
- 講習概要:
前半は、数学での言葉のあり方として、
定義・証明と説明との違いや、定義すること・証明することの意義を再確認する。
「0.9999・・・=1か?」というような題材を通じ、
実数や極限についての理解を深める。
後半は、「実験・観察を通じて予想を立て証明を試みる」という数学的活動について、
スーパーサイエンスハイスクールでの出張授業の経験を踏まえ、実習を交えて試みる。
2015年度から高等学校新学習指導要領の新単元である初等整数論を題材とする。