イスパニア語学科は、文学部外国語学科イスパニア語専攻(1955年設置)を前身とし、1958年の外国語学部の創設とともに現在の形でスタートしました。それ以来、毎年学びの志のある学生を受け入れ、そして送り出してきました。多くの卒業生が、日本とスペイン、日本とイスパノアメリカ(西半球のイスパニア語圏=スペイン語圏)の架け橋として活躍しています。
なお「イスパニア」とは、古代ローマ人がイベリア半島の名称として用いたラテン語Hispaniaにもとづく名称です(これが英語のSpainやイスパニア語のEspañaのルーツになりました)。古語かもしれませんが、それゆえのある種の雅さをもつ響きがないでしょうか。
イスパニア語学科は、イスパニア語の読む・書く・聞く・話すの4技能を修得するためのカリキュラムを用意していますが、言語を修得する「だけ」の学科ではありません。
言語の向こうには、生きた人間がいます。イスパニア語という言語を話し、その言葉をつうじて感情を表現し、コミュニケーションをとり、問題があればイスパニア語によって話し合うことでそれに共に取り組むという、大げさに言えばイスパニア語によって社会を築いている人々が生きている世界(=イスパニア語圏)があります。
その世界を理解するための「地域研究」が、イスパニア語学科のカリキュラムのもう1つの柱です。
このイスパニア語圏はヨーロッパ、アメリカ、アフリカの3大陸にまたがり、21の国・地域からなります。その母語話者は5億人近くに及び、第二言語や外国語としてイスパニア語を学び、用いている人々は世界中に数多くいます。このような巨大言語を修得すること自体も大きな意味のあることですが、そもそも、ある言語を修得することはその言語をつうじて社会を築いている人々を理解することと不可分です。
そのために、イスパニア語学科のカリキュラムは「言語修得」と「地域研究」を両輪として、イスパニア語圏に生きている多様な人々と自らの力でコミュケーションができ、その人々が築いてきた歴史、文化、経済などの具体的なあり方にもとづいてイスパニア語圏という世界を深く理解することを目標としています。
それによって、目の前にいる人の目を見ながら、あるいは書物の向こう側にいる生身の人物を想像しながら、その人々が使っている言葉を自らも用いて理解しようとする「言語と人間社会のスペシャリスト」になってほしいと願っています。