1972年

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Las Palabras en la Arena 『砂に書いた言葉』
作者:Antonio Buero Vallejo(1916-2000, España) アントニオ・ブエロ・バジェホ

 

もう、半世紀近く昔の思い出になります。1972年大学3年生のときに、参加したスペイン語劇 ”Las palabras en la arena(砂に書いた言葉)” について遠い記憶を呼び起こして当時の思い出を書かせてもらいます。

幼稚園からセリフもなくただ立っているだけの木の役も通行人の役もやったことがない私が劇に出る、しかもスペイン語を使ったスペイン語劇ということで、今考えてもよく参加したものだと冷や汗が出ます。

当時は学生運動が盛んで、語劇には参加希望者も集まらず、なかなか開催ができないような状況でした。その中で「スペイン語劇の灯を消すな!」と級友の誰かが叫んだのでしょう。記憶は定かではありませんが、そんな声にのせられて参加したのだったと思います。

演じた劇の筋書きも既に忘却の彼方に行ってしまいましたが、最後に私が ”asesino(殺人者)!”と舞台中央で叫んで幕が下りるというくだりだけは鮮明に覚えています。これだけ書くと、もしかして「私が主役」だったのかなと誤解を与えてしまいますが、劇中では舞台狭しと動き回り流暢なスペイン語でセリフを叫んでいた一年下の吉川さん(前イスパニア語学科学科長)が目立っていました。彼女は召使役だったと思います。完全に主役(?)の私は「食われ」ていました。 

まぁ、素人集団の素人芝居ですが、みんなで一緒になって何かを作り上げるという経験は貴重なものだと思います。それ以降もスペイン語劇の灯は消えることなく後輩の皆さんが受け継いでおられることをうれしく思います。

 

1970年入学(第5期生)安孫子賢一