2つの町での留学生活

近藤梨音

Hallo! ドイツ語学科3年近藤梨音です。私は去年の9月から在外履修としてDuisburg(デュイスブルク)で半年間過ごし、現在はTrier(トリア)で半年間の交換留学をしています。ドイツに来てから約10ヶ月、授業も全て終わり、あと2週間で帰国する予定です。本ブログ記事で、私の留学生活についてお話しさせていただきたいと思います。

まず、簡単に2つの都市を紹介します。デュイスブルクはノルトライン・ヴェストファーレン州にあり、ルール工業地帯に位置する、工業都市です。比較的に大きめの都市で、ゼメスターチケットを使うと公共交通機関は乗り放題なので、なんと州内はどこでも行けちゃいます!一方で、トリアはラインラント・プファルツ州の都市でドイツの西側、ルクセンブルクの国境近くに位置しています。トリアはドイツでいちばん古い街と言われており、街中にはポルタ・ニグラをはじめ、多くのローマ時代の建造物が残っています。都市と田舎という反対の生活でしたが、どちらも魅力があり、①利便性、②自然の豊かさ、③方言の面で違いを感じました。トリアはドイツ語の授業でも方言について触れることが多く、とても面白かったです。友達から方言を教えてもらうこともあり、ドイツ語の良さもまた感じました。

     工業地帯のデュイスブルク

     散歩にぴったりなモーゼル川

次に、留学で苦労したことをお話しします。まずは語学面です。日本にいたときには、ほとんどドイツ語を話す習慣がなかったので、初めはパン屋さんでパンを買うにも店員さんとの会話が怖くて、店に入ることができませんでした。また、日本語学科の授業に参加しても、ドイツ人の学生と話すにも自分のドイツ語が通じるのか不安でなかなか仲良くなることができませんでした。でも、だんだん生活に慣れていくうちに、失敗してもいいから喋らないと!という気持ちを持つようになり、自分から積極的にクラスメイトに話しかけていくようになりました。ドイツ人は真面目というイメージがありましたが、みんな優しくて面白くて、話すときには話題が尽きない!いつもすごいなと感心しつつ、ドイツ人の友人に助けられています。

2つ目は、モチベーションを保つことです。ドイツに来た直後はモチベーションが高く、単語帳を毎日見返したり、ポッドキャストを聞いたりなど、毎日授業外でも勉強していましたが、だんだん生活に慣れていく中で、やる気が全然出ないことはよくありました。ドイツの冬の暗さは想像以上で、晴れた日はあったのかと思ってしまうほど毎日悲しい気持ちになっていました…。

しかし、そのような苦労を乗り越えて、1年間の留学をして良かったと感じたことが多くありました。一つ目は語学力です。半年だけでは生活に慣れるだけで、あっという間に過ぎてしまいますし、「ドイツ語が話せるようになってきた、楽しい」、と感じるところで終わってしまいます。本当に語学力が伸びるのはその後からだと実感しました。最初の半年間でも、もちろん自分の成長は感じていましたが、大学が変わり、週3回のタンデムや、B2レベルの授業を通して、自分が前よりドイツ語でスラスラ喋れるようになっていて感動しました。ドイツ人同士の会話にも参加できるようになって、ドイツ語を話すのがさらに楽しいと思えるようになりました。

2つ目は意思が強くなったことです。元々私はあまり意思を主張する方ではないのですが、ドイツ人の友達と過ごすうちに、自分の意思を主張しないとやっていけないということに気づきました。これは一つのカルチャーショックでもありました。遊ぶときにはよく何したい?どこ行きたい?と聞かれるし、会話の中でも、なぜ?と聞かれることが多くて、ちゃんと言わないと伝わらない、逆に言えば、話すことがドイツ人と仲良くなる上で一番大切なことだと気づきました。日本では、空気を読む文化であるが故にいつも難しいですが、ドイツではいろんなアイデアを出すようにしたり、なんでも口に出して話したりということを心がけて、自分の意思をちゃんと持つことができるようになったと思っています。

そして3つ目はドイツでしかできないことを経験できたことです。一番印象に残っているのはクリスマスです。コロナ禍ではありながら、いろんな街のクリスマスマーケットに行けたことは本当に楽しかったです。また、私はドイツ人の家族のパーティーにお邪魔して実際のクリスマスを経験させてもらいました。家族全員で集まり、一緒にご飯を食べて、話をして、ボードゲームをする。本当に仲が良くて微笑ましかったです。日本ではクリスマスケーキを食べますが、ドイツではケーキは日常的に食べるので、クリスマスに食べるものではないと知りました(笑)。誕生日も家族と過ごすなど、日独の文化の違いを実感して印象的でした。

   トリアの観光名所ポルタ・ニグラ

少し長くなってしまいましたが、ここには書き切れないほどたくさんの経験をすることができました。大変なことも、もちろんありましたが、それを忘れられるくらい楽しい思い出でいっぱいです!いろんな人との出会いはとても刺激的で、自分の知らない世界もたくさん知ることができました。1年間ドイツ語と戦い続けてきましたが、残り2週間、友達との時間を最後まで楽しみたいと思います!!